上 下
42 / 67
報告書

14-②

しおりを挟む
紅茶とお菓子を並べ、交渉事を始めるといった風の準備に気付かない訳がないか。
にっこり笑う。多分この提案に食いつく。

(この子好みの条件が揃っているのもあるな)

まったくといった雰囲気で付き合ってくれる分、この子は優しいなあ。

貴族であるから、お願い事にも色々と気配りできなければすぐに食い尽くされてしまう。難儀だが、対抗できる強さも持っている。

その分、純粋な子供時代は少なかっただろうが。この子の研究気質も助けになっているのだろう。

教師の役をした分、贔屓にしたいが。あの子の味方になってくれそうなので巻き込まれてもらおう。

「自身が連れてきた、竜人とも密接に関係しているなら断らないよな?」

つい、癖を真似て聴いてみる。

熱い紅茶を優雅に飲み、茶菓子に合う甘味を食べた。私も食べるが、バターの味わいが旨いな。なぜ貝殻の形なのかは分からないが。

「それで?どうしろっていうのさ。」
「好きなように、関わってくれれば良い。」

「ふーん。条件は付けないの?」
「必要なさそうなんだ。協力者をひと塊に集めてしまおうと思ってな。」

「監視を置けば良いって話でもないからね?」
「そうだな。実力者を揃えておかないと。

周りに城側の者を側に置く。それを目撃させて、印象付けるのが狙いだ。

危険は抑えられる、心配する必要はない。

「これが、騎士と兵士だけでは駄目なのは個人戦でわかってしまっているからね?」

「ああ。ここの武力では、竜人を抑えられないと見られる。」

事実、特大魔法とは相性が悪い編成だ。獣人の多くは、身体強化を得意としているからな。その点、魔力の強い者が側にいれば抑止力になると考えてくれる。

実際、私のこの子は魔法で竜人を抑える役目もある。

城を守る。それは、竜人とそのツガイの子供も含まれる。私は双方を護る。そのために采配と最大の防御をしておこう。

「既に、人族の商人に様子を見てもらっている。」
「ああ、知ってるよ?商人としてだけじゃ無くっても面倒を見そうな勢いだよね。」

世話焼きだが、中立的な考えだ。弟妹の多い長男で、面倒見の良いと評判なのもあの子にとって良い影響になるだろう。


「周囲が獣人だけなのも心配だ。人族は脆い。獣人が丈夫なだけかもしれないが。」

「いや?能力が違うから。」

文化圏も違うのは理解しているつもりだが、思い至らない事もあるだろうしその補助は必要だ。

「護衛には、狼獣人を配置する。彼の上司は、思うところがあるようだが、狼自身にはツガイの問題は見て見ぬフリできないらしい。」

「ふーん?」

関心があるのか無いのか分からない返事だが、多分興味ある方だと判断した。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

異世界超人

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:3

【完結済み】番(つがい)と言われましたが、冒険者として精進してます。

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:113pt お気に入り:631

もしもギャルが異世界転移したら~ギャルの日帰り異世界旅行~

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:15

婚約破棄された令嬢は魔法で仕返しいたします!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:134pt お気に入り:82

異世界転移したと思ったら、実は乙女ゲームの住人でした

恋愛 / 完結 24h.ポイント:120pt お気に入り:2,213

処理中です...