上 下
40 / 67
報告書

13-③

しおりを挟む
「解決と鑑定魔法を行う。」
「あの子は。やはり人族の国から来たと思うか?」

酒が注がれたので、継ぎ返した。ドワーフには薄い酒だろう?

「まだ詳しくは分からないが、敵国だと思って緊張していたのかもな」
「ふぅ。あの子供にとってここは、敵陣だった訳だ?」

過酷な環境で、子供が耐える現実に火酒を煽る。やり切れなさが少し薄れる気がしたが。傷があるのは、我々ではないのだ。

「子供が傷つくのは、堪えるな」
「まあだが、これからだ。やってやれることがあるだろ?」

しばらく、酒に付き合ってもらう。100や200歳に比べて、まだ10歳程度か。

「何を憂いてる?あの、とんでも男の面倒を見てもらう事か?」
「ああ。竜人とツガイを離す事は、不可能だ。」
「申し訳ないと思うのは、筋違いさ。」

「そう言っても子供だ。」

“助けを求める子供に手を差し出せないなんて、あまりにも情けないだろう?”
そう言葉にする前に、その夜は酒で流した。


数日後。
予定されていたイベントが開催された。団体の演武の後、トーナメント戦のメインは騎士と兵士だったが。今回は別の思惑が動いた。

竜人が、個人戦の最後を騎士団長と戦う。

その圧倒的な力を見せつけた。魔導具で映していた画面は見えない。特別の観覧席からも戦う姿は見えなかった。

地下の訓練場での戦闘は、氷の魔法で覆われてしまった。

騎士団長は粘るも、勝機はないだろう。

この男を止めるのは、私の役割でもある。力で真っ向勝負より、魔法でだ。
もう1人の魔法職と共に。

武術。怒りを勝ってはならない。ツガイ以外、興味が無いような男を怒らせるな。そう伝わったと思う。訓練所の整備が大変になってドワーフ達への酒が増えたものの、イベントは無事終了した。

個人戦の参加者との食事も和やかに終わり、交流と竜人への印象も変わっただろう。獣人の力を尊ぶ傾向が、事態を好転してくれると思えた。


「いや、伝わってないのか?あの竜人に、護衛依頼を出したいと希望が出た。」
「また無茶を…」

本人が断った依頼を受けるように圧など。冒険者ギルドでもやらんぞ(冒険者ギルド長の経験者)

「はあ」
「全く商人が元気なのは良いがなー騎士、貴族まで感化されおって

「組んで、自分たちの安全を確保したい?いや、王都に戻ってからの布石か。」
竜人の力は、王位継承権や貴族の箔になると考えたか?

「バカな考えを」

「その通り。」
それで王位や甘い汁を吸いたいんdsろうが、その前に破滅さ。

「こっちまで巻き込まないでくれ。」
「本当に、凍ったら魔導具がおっつかんな!」

雪を溶かす魔導具は、今も活躍している。魔法による氷など溶かすなら、働かせ過ぎだな。

王都がここのように凍りつかないように、私は仕事をした。

しおりを挟む

処理中です...