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報告書

13-②

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今回の事で、城が凍り付かなかったのは奇跡だ。竜人のツガイ問題では、国が滅びる話もある。私の生まれる前の時期にエルフの記録にあった、事実らしい。

「今回は竜人を引っ張り出す。あの力と、怒りの理由を見せるために。」

大事な者を害された時の怒りは共感できるだろう。

被害が最少源だった理由は、ツガイと言われたあの子の気性が温厚だったから。

かつての国が滅びた原因は『ツガイを泣かせたから』。冗談みたいだが、本当の話らしい。
『そんな事で?』という者もいれば『当然だ』と納得する者もいるんだとか。納得する傾向は、ツガイを求める種族が多いな。

(エルフだと、多種族にあまり興味を持たないからなあ。)

ツガイと獣性の強さが影響すると発表している研究者が居たな。著者も獣人だった。妖精族の著者は、『魔力の相性により本能的に合う者を察知できる』という説を唱えていた。これにより、獣人でなくても若干のツガイを求める本能はあると。

“衝動的に求める”というのが感覚的な説明なんだよな。

獣人同士でのツガイであれば、理解し合うが他では難しい。それに、竜人は他種族しかツガイが居ないらしく、相手になる者は結果的に力が弱い。その点、関係構築が難しいと聞く。

竜人最強説は、ツガイを害された時の破壊によるもの。これは狼獣人にもあるが。

(今回はこの2種族の、両方がいるんだよな)

警戒をしていたし、しているんだが。今回の事件では被害を受けた方だ。助け立ちにも入ったお蔭でこの程度ですんだ。

褒賞を出したいくらいだ、酒くらい贈るか。城を預かる者としては賄賂になりそうだが、個人的になら良いだろう。

雪嵐よりストーム、直接的に起こった事件。
私にも読めないが。

子供を襲った。
ゆらっと魔力が出そうになる。久しぶりに感じた怒りを、落ち着かせる。

(私の仕事は、今後の対応を完璧にする事。)

あの子の周囲には人を配置した。決して、あの子を傷つけさせない!ここは安心だと思ってもらえるように。

(後見人としての役割も果たさねば!)

私は精力的に動いた。それを“少し、焦り過ぎている”と心配されたのか酒に誘われた。

ドワーフと酒は、酒量に注意だが。私向けに用意された酒は、少し酒精は抑えてくれたらしい。今回の事で労ってくれるようだ。

「見張りの仕事はなされていた。外部の魔物の警戒や異変の察知。良い動きだったな」
「ああ、そうだな。だが、ここも一枚岩じゃない。それが裏目に出た。」

聞き役に徹してくれるようだ。今日は終わりにして、呑んでしまおう。

「内側からかの問題発生は、なかなか防げん。」

無力を感じた。
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