【長編・完結】300歳エルフは、まだ森には帰りませんよ。 〜目まぐるしく過ぎた日々と、お茶を飲むひと時を。〜

BBやっこ

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報告書

12-②

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「勘違いだな!書類仕事が1番疲れる。」

待っていた討伐完了の知らせ、それに喜んだものの。私に待っていたのは浮かれた雰囲気とは別に、“トップの仕事”が山積みだった。

別部隊の戦力を動かした事
外部からの力を借りた事
成果物の振り分け


祝いの采配は他の部署に任せ、せっせと報告書を綴る。

「解体はどれくらい掛かりそうだ?」
「3日、順次持って帰っても、運ぶのに1日作業だろう。」

ドワーフ達が解体に名乗り出た。魔石、毛皮の報酬はその一部。
稀な魔物素材に、喜んでいる。

「商人も出てくる。商機だからな。」
「おうよ!こっちも狙ってる部位を競り落としてやらあっ」

普段のここでの暮らしは、篭る前に持ち込んだものを計画的に卸している。交易も、商隊の訪れもない。
ここはそういうところだ。

交戦がないから忘れるが、人族の国境と接しているんだよなあ
正確にはその間に、精霊の棲み家となっている

ダンジョン扱い、平野のダンジョンとでも言っているが
宝箱は無い、森と雪で迷う。

迷いの森

(流石、辺境。)
商人がこんな所で、新鮮で珍しく新しい商品を狙わない訳ない。

「熱心な事だ」
「商人はそうじゃなくっちゃ、暮らしが暗くなるだろ?」

「そうだな

活気がある日もなければ退屈だ。

魔物は来なくて良いんだぞ!仕事が増える、


仕事にかかる。

食肉、素材。竜人への依頼達成の金。
部隊への褒賞も出して、労う会議に出席。感謝の言葉とまた出席。

それとは別に、魔物の今後の動向を注視しなければ。

『何故あんな大型の魔物が、この辺りに出たのか?』
答えは出ていない。連鎖的な理由であれば対処

『早期の対処が1番被害が少ない』ギルドマスターが言ってたな。

「大物を仕留められ、逃げていた魔物も戻ってくるだろう。」

あれだけの厄介な魔物は、出て来ないと思うが。
こちらが団体で居れば、その様子に避けて行く魔物が多い。ここでは単独で狩るか・狩られるかの世界だ。

(そんな世界に独りで居た子供か。)
今は回復するまで待つ時だ。焦らせては駄目だ。


食事も片手間に、会議に書類にの日々を過ごす。


『討伐隊の無事の帰還を祝う会』顔を出さねばな。
それも仕事だった。私にも出されるが、味わっている余裕が欲しいと思う。

「肉が届いたぜ!」

「助かる。これで住民も討伐達成の実感も湧くだろう」

浮かれた酒から食事、次には魔物素材の競りの企画を見る。

「一大イベントだな。」

住民はそれで良い。不安だった分、楽しんで欲しい。
そうはいかないのが、仕事だな

温かくなった頃、ゆっくり休める夢を見てペンを進めた。
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