【長編・完結】300歳エルフは、まだ森には帰りませんよ。 〜目まぐるしく過ぎた日々と、お茶を飲むひと時を。〜

BBやっこ

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報告書

11-①

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「あの会議と『構わない』のひと言で依頼を受理された!私の脱力感を分かっているか?」
「城主の席といえど、宮遣いの辛いところだね?」

簡単に受ける竜人、あんなに説得に時間のかかった会議との差に余計疲れを感じてしまったのを思い返す。本人のいる部屋で言えば、悪口ではないぞ?

「酒を呑みながら、愚痴くらい言いたいものだ。」

そして今、忙しい書類仕事に見切りがついて酒を楽しんでいる。最上級の部屋、竜人の部屋で酒盛りに混じっていた。

周りの者には“城のトップ”として振る舞わねばならない。ここのメンバーであれば仕事の愚痴をこぼしても無関係だ。素晴らしい!

それに気にかけなければいけない存在がいる。保護した人族の子供。

この子の事は、記録に残さず口頭での報告に止める。結構な秘匿事項になりそうだ。しかし、私の個人的な記録には残しておこう。まあそれも、ここの任期が終わってからで良さそうだな。

「今は、気を、抜きたい~」

個人の風呂も大浴場も気持ち良いが、気が抜けない。この城の中で私が個人で居られる場所は少ない。期限付きの城主の役目とはいえ、これもまたトップの苦悩か。

「そうそう、やってられんな!」
「そう?慣れれば権力も楽しいんじゃない?」

「飽きるっ。何か問題があれば私がさっさと解決したい。何故わざわざ、考えられる想定を共有する時間が必要なのか?戦力の把握ができているなら、欠点となる状況も理解できるだろう?」

飲み過ぎだと言われようと、私の口は滑らかに動いた。

「食事も貰っている。」

作法を気にせず、好きな物を食べるっ。久しぶりに感じる。

「会食でもない、酒も飲める!なんて良い場所なんだ」
「酔ってるんじゃないよね?」

「これくらいでは酔えんなー。好きなワインに夕食もここで貰ってしまおう。戻って今日の書類を少しやったら、寝る!」

今後も、良いワインを持ち込もう。子供向けには菓子か、何か甘い物を商人に選んでもらおう。何が好きだろうか?

研究者の男と話、魔法の考察をしてと久しぶりに研究者としての自身を楽しめた。

「向き・不向きがあるな」
獣人が書類仕事もそう言われるが、私は問題があれば現場に行きたい。

「ストレスだ!」
「髪に響くらしぞ」

「貴族の間であるシャンプーが流行っているらしいよ?」
「効果はあるのか?」

真面目に成分の話を始めている。2人共要らないだろうに。

(ふふふ、楽しいな)

夢見心地の気分も、あの当時は本当にピリピリしていたんだと実感できる。
脅威が去った極北の城、その一室で私は平穏を享受していた。
次の問題までであっても構わない。しっかり対処して見せよう?今回のように。
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