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報告書
10-③
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増援を得て、すぐに事態が好転する訳ではなかった。
“説得”。会議と戦力となる者達を統一しなければならなかった。
(この会議の時間が惜しい!)
内心は焦る。最適な解答だと私は確信しているが、納得するかは別か。
「我々で討伐すべきだ!」
「どこぞの誰とも知らん者に手柄を取られてたまるか!」
血の気の多い。獣人の特性が、視野を狭くする方へ向かっている。私からの提案、決定も気に入らないんだろうな。
「この地を知っている我らこそ、討伐を成してここを守れるのだと証明すべき!」
「城壁の強固な守りに、魔導具も設置。薬師との協力もあれば勝てぬ事があるか?十分勝ちを見込める。」
自身が討ち取って、名誉としたい。
ここで武勇を立てて、勲章を得たい。
そう聞こえるのは、気のせいであって欲しい。
大型の魔物、その性質を調べるとかなり頭が回る。その上、残虐だ。大軍で討伐に向かったとしても、陣形を崩される。
スピード、身軽さ、毛皮は強固であり血に飢えている。
アレは食糧を得ようとしているんじゃない。暇を持て余して遊んでいる。
私はそう思う。
それを言えば、魔物の心が分かるのか?と茶化されそうだが。
あの獲物の血の残り方。仕留めるまで弄んだ痕跡。
弱肉強食とは言え、命のやり取りで屠る事より強さを誇示してトドメを刺している。確実に、性格が悪い魔物だろうな。
それを、食糧と防具の供給があったために決起すべきと煽っている。
物資だけでは、雪の積もる足下は安定せず地の利にも勝てない。多少、寒さを防いで行軍できるというまでだ。
この広いフィールドで、魔物を探し討伐する。
相対した時、どれだけ攻撃できる?
獣人の兵士、騎士の強みはその隊列とスピードだろう。それを上回る相手に真っ向勝負をしては戦力が瓦解するだけだ!
それが理解できないのだろうか、そんな訳ない筈だが。目の前にあると勘違いしている勝利の栄光に目が眩んだか。
こうなると、一枚岩じゃないのが決定に響くな。
騎士団の団長。文官のトップとそれぞれ配置でまとめ役が集まっている。
私に城主としての決定権があるとしても、軍と騎士を動かすのは会議を通さねば難しい。
(このまま、何も決定が無いで進めば時間だけが消費される。)
「皆、聴いてくれ。報告には魔物の出現の報告が増えた。その原因の調査も進めているが、今の最大の不安は大型の魔物の存在だ。
警戒は続けているが、警戒網に掛かれば屠る事も必要だな?」
討伐隊を組む。今は警戒地域での見回りだが後に、討伐隊へと編成する!
人材の推薦を、まとめよう。」
これで、もしもの時に陣形は作れる。戦える兵士・騎士が居る中で外部の者に頼るのに、これほど抵抗があるとはな。
その後、討伐隊ができた際の<同行依頼>を竜人に打診する事になる。
“説得”。会議と戦力となる者達を統一しなければならなかった。
(この会議の時間が惜しい!)
内心は焦る。最適な解答だと私は確信しているが、納得するかは別か。
「我々で討伐すべきだ!」
「どこぞの誰とも知らん者に手柄を取られてたまるか!」
血の気の多い。獣人の特性が、視野を狭くする方へ向かっている。私からの提案、決定も気に入らないんだろうな。
「この地を知っている我らこそ、討伐を成してここを守れるのだと証明すべき!」
「城壁の強固な守りに、魔導具も設置。薬師との協力もあれば勝てぬ事があるか?十分勝ちを見込める。」
自身が討ち取って、名誉としたい。
ここで武勇を立てて、勲章を得たい。
そう聞こえるのは、気のせいであって欲しい。
大型の魔物、その性質を調べるとかなり頭が回る。その上、残虐だ。大軍で討伐に向かったとしても、陣形を崩される。
スピード、身軽さ、毛皮は強固であり血に飢えている。
アレは食糧を得ようとしているんじゃない。暇を持て余して遊んでいる。
私はそう思う。
それを言えば、魔物の心が分かるのか?と茶化されそうだが。
あの獲物の血の残り方。仕留めるまで弄んだ痕跡。
弱肉強食とは言え、命のやり取りで屠る事より強さを誇示してトドメを刺している。確実に、性格が悪い魔物だろうな。
それを、食糧と防具の供給があったために決起すべきと煽っている。
物資だけでは、雪の積もる足下は安定せず地の利にも勝てない。多少、寒さを防いで行軍できるというまでだ。
この広いフィールドで、魔物を探し討伐する。
相対した時、どれだけ攻撃できる?
獣人の兵士、騎士の強みはその隊列とスピードだろう。それを上回る相手に真っ向勝負をしては戦力が瓦解するだけだ!
それが理解できないのだろうか、そんな訳ない筈だが。目の前にあると勘違いしている勝利の栄光に目が眩んだか。
こうなると、一枚岩じゃないのが決定に響くな。
騎士団の団長。文官のトップとそれぞれ配置でまとめ役が集まっている。
私に城主としての決定権があるとしても、軍と騎士を動かすのは会議を通さねば難しい。
(このまま、何も決定が無いで進めば時間だけが消費される。)
「皆、聴いてくれ。報告には魔物の出現の報告が増えた。その原因の調査も進めているが、今の最大の不安は大型の魔物の存在だ。
警戒は続けているが、警戒網に掛かれば屠る事も必要だな?」
討伐隊を組む。今は警戒地域での見回りだが後に、討伐隊へと編成する!
人材の推薦を、まとめよう。」
これで、もしもの時に陣形は作れる。戦える兵士・騎士が居る中で外部の者に頼るのに、これほど抵抗があるとはな。
その後、討伐隊ができた際の<同行依頼>を竜人に打診する事になる。
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