【長編・完結】300歳エルフは、まだ森には帰りませんよ。 〜目まぐるしく過ぎた日々と、お茶を飲むひと時を。〜

BBやっこ

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報告書

10-①

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“こんな時に客を迎える?”

そう言いたげな態度も分かる。しかし、協力な助っ人になりうる2人だ。
馬車の迎えも入らず、歓迎の宴など煩わしと言う。

転移魔法で来た。この国で唯一使える魔法使いでもあり知人だ。
「よく来たな」

そう平然と答えたが、結構な疑問があった。
(転移に使った魔石は、どうしたのだろう?)

かなり大物の魔石が必要な筈。中程度の魔物の魔石を多く使ったか?
いくらになるのか?

ついそう考える。だが、この男が自身の懐を痛める訳ない。払えないという意味じゃない。公費として払わすくらいするだろう。
そしてそれが、当然という理由も揃えてしまうのだ。

貴族らしい

見た目は本当に高位貴族。実際そうなのだが、中身は私に言わせればやんちゃ坊主だ。その子が連れて来た冒険者の男。

護衛役にも見えるが、そんな性格をしているだろうか?

意外とおとなしそうに見える竜人。翠色の髪と黄色の瞳がそう見えるのだろうか。

特に言葉を発する事なく、荷物を持ち込んだ。追加の食糧その他諸々が魔法鞄の中に入っている。その他は2人の荷物だろう。

たぶん紅茶葉も持って来ているな。

紅茶をご馳走になりながら、この急遽決まった訪れについて話を聴こうと思う。
建前と本音をしっかり、な?


竜人は部屋を用意して、先に休んでもらった。

討伐依頼を出すかもしれないと打診するのは、この貴人に交渉してみようか。

「突然だったな?」

本来なら、最初から参加していても変ではない。いや、興味の範囲にならないと思ったのだが。

この子の研究は魔法が主だ。薬学をわざわざ雪深いこの地で?「寒いところは行きたくないけど?」と言って来そうだ。

それを覆しても来た理由は、一緒に来た竜人だろうな。

獣人の兵士の警戒具合がすごかった。
本能的に危険と感じずにいられないらしい。私にはわからない感覚だ。そう思うが、竜人の魔力量は凄いものがあった。

氷の魔力が、この地でより活性化されるような感覚。

これは、城に引き篭もるタイプではなさそうだ。すんなり討伐の依頼を受けてくれそうな予感がする。

横顔を通り過ぎるときに見たが…凶悪な笑顔。

こんな地で、何か目的のモノでもあるのだろうか?考えは読めなかった。

機嫌は良さそうだが、暴れたら多大な損害になる相手。丁重にもてなす手筈だ。
最高級の部屋に詰めて置くとも言う。


そんな扱いで良いらしいとはお茶を一緒にする事になったこの子の言だが、はてさて。

それくらい信じて良いものかな?
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