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5-①
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「そうか、こっちに入れておいたのか。」
探し物を朝から始めて陽が傾いた頃。やっと!目当ての本を掘り出した。これは、何処へも“出さない”。禁書扱いにする、予定だ。
『人が知るには、世界は広すぎて理解には時間が足りない。』
そう書いたのは、エルフから天上人となった方の手記だった。<世界>の創造から、管理運用。こう書くと、城での組織運用など頭に思い描くが。
『<世界>の構造と歴史で言えば、その移り変わりに目を向ける必要があるだろう。
今を生き、次に繋ぐために。
この<世界>と精霊は、100年ほどの一生で伝達ミスがある。』
「いつの時代も、か 」
勝者が歴史を記していけば、伝える部分を選ぶからな。それを修正していたら作業が終わらないだろうな。
エルフという種族の視点として、手記と歴史を残している。我々が見た歴史、その事実として。
「これは、国によっては“隠したい事”なのだろうが。」
国が興り、廃れる事があっても我々は傍観者であった。関わりを持つ者もいるが、個人としてだ。その時に命を落としても、報復や関わりは最低限のする。
不文律、掟と言えるものだろうか。森の主、篭り人と揶揄される種族故か。
その土地に住む精霊との記録も貴重な財産だ。彼らにとって、移ろう世界は景色のようなのかもしれない。
<魔素の巡りを感じ、循環する世界のその一部である事。>
そのひと時だけの交流を楽しみ、思い返し、忘れていくのだろう。
記憶を持っていられるのは、ヒトの一生分だけだ。記録であるなら、次へと渡す事ができる。自身の体験ではなくても、共鳴するものがある。私はそう信じている。
<世界>を識るには、天上人の存在が不可欠だろうか。世界を渡り歩ける旅する者でも無い限り、関わり合う事も無い存在。
(それでも確かに、居る。私は合間見えた事がある。)
私が会ったのは<世界>、知識の探究をする者。
姿を見た事はないが、交流のある方もいる。おそらくと言うが十中八九、そうだろう確信があった。
代替わり、人ではないのか?
元は人、エルフ、精霊だったのかも知れない。
何十年、何百年を遡れば理解できるのか?
そもそも、理解が及ぶ存在なのだろうか。
どう知ろうとするか?世界を形どるモノ、同じくするモノ。
それぞれが、異なる方法で<世界>に近づこうとしている。真に迫ろうと。
かつて崩壊した<塔>
天まで届き、地を掘り進めた。
何故かわかっていないが、崩壊をキッカケに分かれてしまったと伝え聞く。
ダンジョンが<世界>の記憶に留めていると言う。
そのカケラを集めて、理解しようとする者。
魔術だった頃まで遡り、新たな魔法を求める者。
探究者、冒険者はいつの時代も旅に出る。
新たな<世界>を望むのも<愚か者>と呼ばれる者は歩みを進めるのだ。
探し物を朝から始めて陽が傾いた頃。やっと!目当ての本を掘り出した。これは、何処へも“出さない”。禁書扱いにする、予定だ。
『人が知るには、世界は広すぎて理解には時間が足りない。』
そう書いたのは、エルフから天上人となった方の手記だった。<世界>の創造から、管理運用。こう書くと、城での組織運用など頭に思い描くが。
『<世界>の構造と歴史で言えば、その移り変わりに目を向ける必要があるだろう。
今を生き、次に繋ぐために。
この<世界>と精霊は、100年ほどの一生で伝達ミスがある。』
「いつの時代も、か 」
勝者が歴史を記していけば、伝える部分を選ぶからな。それを修正していたら作業が終わらないだろうな。
エルフという種族の視点として、手記と歴史を残している。我々が見た歴史、その事実として。
「これは、国によっては“隠したい事”なのだろうが。」
国が興り、廃れる事があっても我々は傍観者であった。関わりを持つ者もいるが、個人としてだ。その時に命を落としても、報復や関わりは最低限のする。
不文律、掟と言えるものだろうか。森の主、篭り人と揶揄される種族故か。
その土地に住む精霊との記録も貴重な財産だ。彼らにとって、移ろう世界は景色のようなのかもしれない。
<魔素の巡りを感じ、循環する世界のその一部である事。>
そのひと時だけの交流を楽しみ、思い返し、忘れていくのだろう。
記憶を持っていられるのは、ヒトの一生分だけだ。記録であるなら、次へと渡す事ができる。自身の体験ではなくても、共鳴するものがある。私はそう信じている。
<世界>を識るには、天上人の存在が不可欠だろうか。世界を渡り歩ける旅する者でも無い限り、関わり合う事も無い存在。
(それでも確かに、居る。私は合間見えた事がある。)
私が会ったのは<世界>、知識の探究をする者。
姿を見た事はないが、交流のある方もいる。おそらくと言うが十中八九、そうだろう確信があった。
代替わり、人ではないのか?
元は人、エルフ、精霊だったのかも知れない。
何十年、何百年を遡れば理解できるのか?
そもそも、理解が及ぶ存在なのだろうか。
どう知ろうとするか?世界を形どるモノ、同じくするモノ。
それぞれが、異なる方法で<世界>に近づこうとしている。真に迫ろうと。
かつて崩壊した<塔>
天まで届き、地を掘り進めた。
何故かわかっていないが、崩壊をキッカケに分かれてしまったと伝え聞く。
ダンジョンが<世界>の記憶に留めていると言う。
そのカケラを集めて、理解しようとする者。
魔術だった頃まで遡り、新たな魔法を求める者。
探究者、冒険者はいつの時代も旅に出る。
新たな<世界>を望むのも<愚か者>と呼ばれる者は歩みを進めるのだ。
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