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4-②

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冒険者時代の私は、魔法使いとしていたが薬作りも行っていた。

普段に使うポーション、食事にも腕を振るったものだ。なぜ、面倒だからと酒と肉だけで済ますのか。

『冒険者は、体が資本なのに』
『やっぱ面倒だろ?酒がありゃイイ』

そんな台詞が返ってくるばかりだったな。面倒なのは分かるんだが。森に行けば採取した薬草、食べられる木の実もある。たまの魚もウマイ。

「用意すれば食うんだよな。」

不味い保存食は、本当に食べなきゃいけないくらいの時でしか、口にしたくない。味はマシなのを、長持ちするのを選ぶんだがな。

『美味しいと先に食べちまうだろう?』

そう言って保存食から食べる仲間も居たが。困った時にないのでは意味ないじゃないか?

『備えとは、自身を救う術である。』

まあそうじゃなくても、問題は尽きないがね。魔物の出現に突然の怪我、装備や道具が尽きる時の工夫。

精霊を宿した道具、武器や防具は見た事がある。
・家に代々受け継がれている品
・ある刀工が鍛えた精霊武器

“不思議な事象が起こる”
“曰く付き”

といえば妖精が関わっていた。

有名どころは、<呪いを解く><鍵回復の泉><夢に見るものの願いを聞くランプ>

夢で見たいものを言っても、気まぐれに願いを叶える。聴くだけという、笑い話のような物もあったな。

「回復魔法、か」

癒す力を狙われ、傷つく者が多い。争いの渦中に立たされることもままあった。秘匿しても、暴き出される。

欲と言うのは、どれだけ時代が巡っても闇深いものがあるな。

精霊の場合、その恨みから棲み家を穢してしまう。そこから冒険者への指名依頼を受けたのを思い出す。

“魔に沈む”
あの光景を、忘れる事は無いだろう。

回復魔法への独占

人を癒すのは、薬師の本分だろう。教会も救いの手を差し出す事を広まっている。命を取り留めるために作られたポーション、全てのヒトに効く薬というのは難しい。対象の魔力が問題を起こす。

外部と内部に浸透しない事によるらしい。

『普段と違う動きを見せる魔力の流れ』
『毒や魔力不足の場合』

回復魔法の利便性を突きつけられるが、担い手は少ない。強権を握りたい教会が欲しがる力だ。

そこを補う方法を模索しているのは、若いが回復魔法を使える者だ。自身の生まれ、その権力をフルに使って回復魔法を広める方法、ポーションの改良を試みている。

自身の自由のために、という動機であっても支援したい相手だ。

教会は知の探究を求めて選び、[隠者]の加護を受けているようだ。

祝福 好意を持って手伝う
加護 気にしている
守護 対象を守る

と言った違いだろうか。相手との関係性によっても多少の違いがある。その恩恵を受ける者もまた稀少なのだ。


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