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精霊様との交流は魔法で厳重に記録している。
好みや性格、起こった事。
棲み家を構え、“聖域”と呼ばれる空間を創っている。
ある土地では。彼の方に会う事ができる者として血脈が選ばれるのは、利に叶っていると考えられている。方針が変われば、付き合い方も伝わる。
エルフにとっても、外界は目まぐるしく変わる。
精霊様には羽を休めに来た鳥のように、ひと時の時間なのだろう。
土地を支配する精霊様への対応をしくじれば去られるか、弾かれる。これは、我々の文化圏ではあまり見られない事だ。
<精霊の棲み家>は妖精、魔素を巡らせる存在だ。
力が集まれば、ヒトも増える。しかし、魔素が溜まればダンジョンを作り出す。そうなれば、人は住まず放逐された魔物が跋扈する危険地帯となる。
精霊獣や妖精には、対抗する術を持つ者もいるが。
安心して住める場所は限定的になるだろう。そういう意味でも、精霊の棲み家は彼らの拠り所になる。
空間を閉じてしまえば、精霊様との交流はできなくなる。その選択肢をあちらが持っている。つまり、ご機嫌伺いをする方である訳だが。
“精霊獣を御しよう”とする抗争があった。
神格化している文化でこの事実を言えば、抹消されそうな事を書いたが。
この危機を、後世に伝えない選択肢は無い。
なぜなら、全てを巻き込む畏れがあるからだ。この危惧が、取り越し苦労である事を望む。
その存在との関わりを根底から崩し、世界を壊す所業でであると。
その精霊への貢ぎ物は、酒や花である事もあった。人との繋がりを求め、飾り立てた娘が接待に上がる。
何があったのか詳細は分からない。
しかし、なにかが起こり精霊の怒りに触れた。作物は枯れ、人々は散り散りにその土地を捨てたそうだ。
なんとか土地を戻そうと相談を受けることもあった。エルフだから知っていると思われるのか、冒険者だった記録を引っ張りだすが精霊も堕ちる事があるのだな。
あれは“呪い”だ
精霊からの呪いは、恐ろしいものだった。それを受けた人側も。
『あれはもう手に負えない』一縷ののぞみ、と頼られた事もあったが…。
「そんな事もあった。祝福と呪いは紙一重かもな」
執着と力になれば、関係性とは適度な物が大事だな。
祈祷で和らげる事しかできず、呪いを受けたモノは輪廻へ還ったそうだ。そんな苦い記録も綴られていた。
私はいまだに正解が分からない。
どうすれば、何があれば?
土地の者も必至に抗ったのだろうが、一度外れてしまった歯車を戻す事はできなかった。
運命の悪戯なのか、せせら嗤うように荒廃した土地だけが残った。
新たな精霊が棲むかは、まだ分かっていない。
好みや性格、起こった事。
棲み家を構え、“聖域”と呼ばれる空間を創っている。
ある土地では。彼の方に会う事ができる者として血脈が選ばれるのは、利に叶っていると考えられている。方針が変われば、付き合い方も伝わる。
エルフにとっても、外界は目まぐるしく変わる。
精霊様には羽を休めに来た鳥のように、ひと時の時間なのだろう。
土地を支配する精霊様への対応をしくじれば去られるか、弾かれる。これは、我々の文化圏ではあまり見られない事だ。
<精霊の棲み家>は妖精、魔素を巡らせる存在だ。
力が集まれば、ヒトも増える。しかし、魔素が溜まればダンジョンを作り出す。そうなれば、人は住まず放逐された魔物が跋扈する危険地帯となる。
精霊獣や妖精には、対抗する術を持つ者もいるが。
安心して住める場所は限定的になるだろう。そういう意味でも、精霊の棲み家は彼らの拠り所になる。
空間を閉じてしまえば、精霊様との交流はできなくなる。その選択肢をあちらが持っている。つまり、ご機嫌伺いをする方である訳だが。
“精霊獣を御しよう”とする抗争があった。
神格化している文化でこの事実を言えば、抹消されそうな事を書いたが。
この危機を、後世に伝えない選択肢は無い。
なぜなら、全てを巻き込む畏れがあるからだ。この危惧が、取り越し苦労である事を望む。
その存在との関わりを根底から崩し、世界を壊す所業でであると。
その精霊への貢ぎ物は、酒や花である事もあった。人との繋がりを求め、飾り立てた娘が接待に上がる。
何があったのか詳細は分からない。
しかし、なにかが起こり精霊の怒りに触れた。作物は枯れ、人々は散り散りにその土地を捨てたそうだ。
なんとか土地を戻そうと相談を受けることもあった。エルフだから知っていると思われるのか、冒険者だった記録を引っ張りだすが精霊も堕ちる事があるのだな。
あれは“呪い”だ
精霊からの呪いは、恐ろしいものだった。それを受けた人側も。
『あれはもう手に負えない』一縷ののぞみ、と頼られた事もあったが…。
「そんな事もあった。祝福と呪いは紙一重かもな」
執着と力になれば、関係性とは適度な物が大事だな。
祈祷で和らげる事しかできず、呪いを受けたモノは輪廻へ還ったそうだ。そんな苦い記録も綴られていた。
私はいまだに正解が分からない。
どうすれば、何があれば?
土地の者も必至に抗ったのだろうが、一度外れてしまった歯車を戻す事はできなかった。
運命の悪戯なのか、せせら嗤うように荒廃した土地だけが残った。
新たな精霊が棲むかは、まだ分かっていない。
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