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故郷に帰らなかったのは言い訳すれば、『研究にのめり込んでいた』だ。
“風の流れを読む”エルフに伝わっている『便利な狩りの知恵』程度のものを研究の形にまとめた。“ある兆候”を予見するのに使うためだ。
冒険者の時は、ダンジョンの不穏な気配も感じられた技術だ。何回も危機を回避する事ができた。ある時は『魔物の暴走が起きるかもしれない』と発見して。調査の依頼を受けた。
妖精を見つけて追えば、新たな<転移陣>の発見もしたな。
風、私の得意な属性だ。
故郷の集落では、風と緑、光などの属性持ちが多い。弟のところは、火や土と闇だったか。
<ライトエルフ>、<ダークエルフ>などと呼び分ける時代があったらしいが、エルフで済むだろうに。廃れた記録だ。
ちなみに、400を間近になった年寄りはハイエルフと呼ばれ森の奥に居を移すのが慣例だ。
新しい者達へ譲るのが正しい形だと信じられている。
『新しい風を入れるため』、『巨木もいつかは朽ち果て森に還る』。
そう、繰り返されてきたらしい。
魔素を運ぶ、妖精達も巡る道がある。気候、嵐を呼ぶ。
<魔力の素である>と考えられている“魔素”の研究はダンジョンにまで及んだ。
魔物が倒された後の“ポップ”という現象、<宝箱の配置>、魔物が再び現れる“リポップ”。
妖精が関わっているとされる不思議現象。魔素と絡んでいるため、全く違っているというわけではないが。妖精が視える者、精霊獣と相性の良い者が少ないために調査は進んでいない。
ダンジョンの始まりも不思議だ。
最初のダンジョンが生まれる状態、その仕組みと条件が揃った形を『魔木』と呼んでいる。
種のように魔素を排出、魔物を集め、成長する。
力を与え、暴走させる事が狙いだとされる。意思があるのかは分からないがm放っておけば、魔物の氾濫が起きる危険があった。
「魔木の周囲が更地になれば、生存競争の一種として頂点に君臨できるか。」
「魔素が満たされ、魔物の屍は栄養になるか?成長も条件も満たされるなら、利に叶っている。」
研究を続ければ、放っておく事ができない物だ。魔木以外にもダンジョンの生まれる方法はあるようだが、『ダンジョンの核を中心に、魔素を得るための機構がある』とされる。
そこに意思が宿っているかは、不確かだ。今のところ交流した者は記録に残っていない。
それより、魔物の氾濫が起こるような事は阻止したい。
「風が運んでいるなら、察知できるか?」
「魔物の調査も必要だ。」
研究の協力体制を敷き、貴族の伝手を使って調査場所を決定した。
「<極北の城>を知っているか?」
薬草の研究施設でもあるその城で、危機への対処に奔走するようになった。
結局、故郷に帰郷する事なく過ぎていったが。皆、今も森で変わりなく過ごしているだろう。
“風の流れを読む”エルフに伝わっている『便利な狩りの知恵』程度のものを研究の形にまとめた。“ある兆候”を予見するのに使うためだ。
冒険者の時は、ダンジョンの不穏な気配も感じられた技術だ。何回も危機を回避する事ができた。ある時は『魔物の暴走が起きるかもしれない』と発見して。調査の依頼を受けた。
妖精を見つけて追えば、新たな<転移陣>の発見もしたな。
風、私の得意な属性だ。
故郷の集落では、風と緑、光などの属性持ちが多い。弟のところは、火や土と闇だったか。
<ライトエルフ>、<ダークエルフ>などと呼び分ける時代があったらしいが、エルフで済むだろうに。廃れた記録だ。
ちなみに、400を間近になった年寄りはハイエルフと呼ばれ森の奥に居を移すのが慣例だ。
新しい者達へ譲るのが正しい形だと信じられている。
『新しい風を入れるため』、『巨木もいつかは朽ち果て森に還る』。
そう、繰り返されてきたらしい。
魔素を運ぶ、妖精達も巡る道がある。気候、嵐を呼ぶ。
<魔力の素である>と考えられている“魔素”の研究はダンジョンにまで及んだ。
魔物が倒された後の“ポップ”という現象、<宝箱の配置>、魔物が再び現れる“リポップ”。
妖精が関わっているとされる不思議現象。魔素と絡んでいるため、全く違っているというわけではないが。妖精が視える者、精霊獣と相性の良い者が少ないために調査は進んでいない。
ダンジョンの始まりも不思議だ。
最初のダンジョンが生まれる状態、その仕組みと条件が揃った形を『魔木』と呼んでいる。
種のように魔素を排出、魔物を集め、成長する。
力を与え、暴走させる事が狙いだとされる。意思があるのかは分からないがm放っておけば、魔物の氾濫が起きる危険があった。
「魔木の周囲が更地になれば、生存競争の一種として頂点に君臨できるか。」
「魔素が満たされ、魔物の屍は栄養になるか?成長も条件も満たされるなら、利に叶っている。」
研究を続ければ、放っておく事ができない物だ。魔木以外にもダンジョンの生まれる方法はあるようだが、『ダンジョンの核を中心に、魔素を得るための機構がある』とされる。
そこに意思が宿っているかは、不確かだ。今のところ交流した者は記録に残っていない。
それより、魔物の氾濫が起こるような事は阻止したい。
「風が運んでいるなら、察知できるか?」
「魔物の調査も必要だ。」
研究の協力体制を敷き、貴族の伝手を使って調査場所を決定した。
「<極北の城>を知っているか?」
薬草の研究施設でもあるその城で、危機への対処に奔走するようになった。
結局、故郷に帰郷する事なく過ぎていったが。皆、今も森で変わりなく過ごしているだろう。
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