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<辺境 編>

竜の翼とともに

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『ヴェーネン家の当主を連れ帰って欲しい』

その依頼を『竜の翼』が受理したその後
王城から遠く離れた森にて


王城の持つ森、その調査を受け持った貴族がある男に条件を出して働かせていた。

『女に会いたいなら、結果を出せ。』

それで10年以上、男は働き続ける。自身が貴族の家、当主である事も捨て。
自身の子も屋敷に置いて、存在を忘れるくらい。


「バカじゃないの?」

その子供が大きくなって、冒険者として現れた。

魔物の襲来する場で、子供がいる?幻覚を疑うレベルだ。
同じ髪色、瞳に色だけが同じ。

「私は、彼女に会うんだ。そのために…」


知っている姿は、屋敷にあった姿絵よりげっそりと何かに取り憑かれたといわれて信じるほど。
呆然と宙を見るかのような視線を切るように、子供は魔法を行使した。

「頭を冷やして。」
殺傷力はないものの、気分的にスッキリする…筈。

水浸しだ。

「貴方の立場なら、人を雇って探すのが一番手っ取り早かった。」

武力もない、森での歩き方も知らない男にこの森は優しくない。辺境の森でさえ危うそうだ。

この場所は、許可がなければ入れない。危険な魔物も多く、冒険者も命を落とす。

子供、セリもここに来れたのは伝手が使えたお蔭だ。
許可と実力の面でここまで来れなかった。今でも“おんぶに抱っこ”状態。

まだ若い冒険者が来るには危険地帯。それを高ランク冒険者でもあり、護衛を担う竜人と狼獣人で突破した。
そしてやっと目の前に立てる。

「さっさと帰って、やる事やって!」


セリが積年の鬱憤をのせた。相手はヴェーネン家の当主に座っているべき人。
ずっとここで、魔導具を使っての調査を指揮していたらしい。
拠点は警備の冒険者と貴族の騎士がいた。

ロードとカナンが、その警備の騎士らしき人達を戦闘不能にして、グスタフは設置してある魔導具に興味がいっている。


「キースとシュルトに報告して、後は依頼料を当主からぶんどるだけ。」


やつれて疲れ切った男を『竜の翼』は辺境のへ連れ帰った。

しかしその後、再びの依頼が出される。その後で
セリュート・ヴェーネンが、後継者から外される。当主が戻り後継ぎはまだ猶予がある。

セリは憂いなくヴェーネン家を出て、『竜の翼』の下へ。
ロードの腕の中へ帰って行った。

2つ目の依頼を受ける時点でまだ12歳にはなっていないが、これからを十分やっていけると確信している。


「行こうか、セリ。」
「うん、もっと森の奥?」

「はいはーい、いちゃついてないでこっちだぞー。」
「この先だな。」

たまに、使用人から手紙が送られてくる事もあったが、概ね、冒険者をして過ごしている。


<終わり>
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