【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ

文字の大きさ
上 下
25 / 110
6歳

23-別棟

しおりを挟む
屋敷に帰ってきた。危なげなく、緊張する若い冒険者と相乗りしながら買い出し用馬車で帰る。
慣れた時間になった。
「あの子、誰?」
「教会で預けられてたっぽいけど。」

「屋敷の使用人の子じゃね?ちっせえし。」

(まるぎこえなんだよなあ。わざとなのかな?)

「お兄ちゃん達、冒険者?」
「おう!強そうだろ!」

愛想笑いで返しておいた。体格は恵まれているし、頑張って稼いでくれ。その流れで徴収するから。

新人の域を出ない4人と接待な会話をして、屋敷に到着した。オジサマに挨拶してすぐ別棟の手伝いに、水瓶を満たして庭に水を撒く。

「あ、チーすっ!」

滞在している冒険者の挨拶らしきものに、ぺこりと頭を下げる。多分、庭師の親戚の子とか思われていそう。
この後、馬の世話をして台所に顔を出そう。野菜の皮剥きくらいできるようになっている。

教会で教わった事にしている、前の記憶だった。訓練方法もそのままだ。
標的に水球を当てて、制御と魔力の扱いを身体に覚えさせるのが日課。

「あれって、給水魔法だろ?」
「冒険者には不利だな」

「水なら、外れだろ。組みたくないよな。」

“かわいそうに”と魔力属性が水の場合の評価だ。攻撃魔法が重視される中での話。
水魔法をとやかく言うのは、初心者である。

「あのなあっ!」
教官役の男性が説教に入った。

「魔法は便利くらいに考えとけっ!貴族様くらい魔力があれば戦力だが、それ以外は生活魔法だ。」

長い期間の野宿は、水が大事だ。まだ遠出しない初心者にはありがたみが分からない。ダンジョンでも水の確保は難しくなる。川が見つけられるここら辺では、ね。

弱いと文句を言われ、便利の使われて不遇。これで回復魔法でもできれば、大事にしてもらえるんだろうな。
ぺこりっと教官の冒険者に頭を下げられたので、返礼しておいた。

(バレてるな。)

オジサマに一連の事が報告されそうだけど、まあいっか。

買った練習用の弓矢を出す。水の魔石に魔力を込める内職で稼いだ。防具もナイフもなしだけど、練習しないと。
そしてまた、若手に入る人達が通り過ぎる。

「お、冒険者志望か?」
「なかなか当たってるじゃーん。」

「見てやろうか?」
(暇なの?)
断っておく。嫌がらせではないのは分かるんだけど。ごめん、邪魔。

「お前らーっ邪魔すんなよ!」

「ほいほーい。」
「たくっ挨拶くらいするだろ。」

屋敷に住んでいるよしみで、子供に気遣っているなら立派かも。
腕を上げて欲しいものだ。

身体強化を弓矢まで包むイメージで…(放つ)
標的が吹っ飛んだ。

今の体力では一回が限度。

「何やって…」
「どうしたの?」

メイドのステラが固まっていた。音に驚いたのかもしれないけど用件を言う。
「手伝って」

鍛錬中なんだけど。仕事が多いのかな?けどなあ私の仕事じゃないのは、確かなんだよね。
「どうしようかな。」
「暇でしょ!手伝いなさいよっ」

(この態度で、他の貴族家へに紹介は無理だよなあ。)

「ステラか。」

弟子庭師のダズが現れた!
「大変なら俺が手伝うって言ってあっただろ?」

私に気遣いながらも、ステラの手伝いを名乗り出ていた様子。仕事量が増えているか。今の人数だと負担が大きいよなあ。

「はやめにメイド募集した方が良い?」
「クビにする気!?」

「人が増えて大変そう。」

別棟に住んでいる冒険者は、基本的に自分達の事はするけど屋敷に人がいれば仕事も増える。
食堂は手伝いに入って、上手くやっているけど掃除場所や補充が細々あって大変だ。


「それより、楽になるよう魔道具が欲しいわよ!」
「あ~それは検討しても良いかも。」

久しぶりに屋敷の人と長い会話をして、庭から執務室へセリは向かった。


「まったく。あの子、生意気に遊んでばかりじゃない!」
「あの弓矢の腕でか?兎くらい獲ってこれそうだ。」

「狩人にでもなるの?あんな子供が」
「口悪いぞ。貴族の子供だ。あの態度はダメだ。」

「子供に?」

「貴族の、だ。ここは緩いが、無礼打ちっつーのがあるんだぞ?」

「えっ」


仲良くなってるなあと聞こえた会話を後に立ち去った。
しおりを挟む
ツギクルバナー
感想 3

あなたにおすすめの小説

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

婚約破棄されたので森の奥でカフェを開いてスローライフ

あげは
ファンタジー
「私は、ユミエラとの婚約を破棄する!」 学院卒業記念パーティーで、婚約者である王太子アルフリードに突然婚約破棄された、ユミエラ・フォン・アマリリス公爵令嬢。 家族にも愛されていなかったユミエラは、王太子に婚約破棄されたことで利用価値がなくなったとされ家を勘当されてしまう。 しかし、ユミエラに特に気にした様子はなく、むしろ喜んでいた。 これまでの生活に嫌気が差していたユミエラは、元孤児で転生者の侍女ミシェルだけを連れ、その日のうちに家を出て人のいない森の奥に向かい、森の中でカフェを開くらしい。 「さあ、ミシェル! 念願のスローライフよ! 張り切っていきましょう!」 王都を出るとなぜか国を守護している神獣が待ち構えていた。 どうやら国を捨てユミエラについてくるらしい。 こうしてユミエラは、転生者と神獣という何とも不思議なお供を連れ、優雅なスローライフを楽しむのであった。 一方、ユミエラを追放し、神獣にも見捨てられた王国は、愚かな王太子のせいで混乱に陥るのだった――。 なろう・カクヨムにも投稿

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます

今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。 しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。 王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。 そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。 一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。 ※「小説家になろう」「カクヨム」から転載 ※3/8~ 改稿中

聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!

さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ 祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き! も……もう嫌だぁ! 半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける! 時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ! 大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。 色んなキャラ出しまくりぃ! カクヨムでも掲載チュッ ⚠︎この物語は全てフィクションです。 ⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに
ファンタジー
 この世界には魔法が存在する。  そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。  その属性は主に6つ。  火・水・風・土・雷・そして……無。    クーリアは伯爵令嬢として生まれた。  貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。  そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。    無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。  その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。      だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。    そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。    これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。  そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。 設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m ※←このマークがある話は大体一人称。

王太子妃が我慢しなさい ~姉妹差別を受けていた姉がもっとひどい兄弟差別を受けていた王太子に嫁ぎました~

玄未マオ
ファンタジー
メディア王家に伝わる古い呪いで第一王子は家族からも畏怖されていた。 その王子の元に姉妹差別を受けていたメルが嫁ぐことになるが、その事情とは? ヒロインは姉妹差別され育っていますが、言いたいことはきっちりいう子です。

処理中です...