【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ

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3歳

18

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教会には、子供とその母親。子供に混じってお泊まりしている。


街の親戚や知り合いに身を寄せ、サディスと2人でお世話になっている。
孤児院にいる子達で賑やかだった。煩いとも言う。

手当てや食事の配膳と手伝いに回っている。私は「部屋でおとなしくしていてください」だった。

鍋を回すくらい手伝えるだろうか?と顔を出すが、戦力外。
子供にお手伝いは要らないタイミングらしい。

(子供達の相手が適任か。)

「ほら、あっちで遊ぶよー。」



水魔法をふよふよ浮かせ、読み聞かせて寝かせる。奥様方に好評だった。
3日かもすれば慣れ、魔物の群を鎮圧したと言う話も伝わった。

(すぐではない)

後始末。教会へ治療に来る人も多い。

冒険者もポーションで治らない場合は身体を癒している。手当ての用意や水を出しに回った。

「お水でーす」
「ありがとよ坊主!」

「俺らが恐くないのか。」


「武器を向けられてないし?」

「すごい肝の座った子だなあ」
「良い冒険者になるぞ!」

(貴族の子供とは思ってないな)
明かすつもりもなかった。心地よい。

個室を通りがかると知っている顔を見た。
「コック!」

冒険者の装備、無精髭のある30過ぎの男だ。同じチームの人と話している。怪我をしている様子はない。
『強い冒険者だったんだぞ!』

記憶にあるより、清潔感のない姿でも懐かしい笑い方をしていた。うちの料理人になる。冒険者だったと聞いていて、夕食用の肉を狩って帰る姿がよくあった。

(お金なかったから。)

「ん?坊主?どこの子だ」

「なんでお前の“呼び名”知ってるんだ?」


冒険者のチームを解散してヴェーネン家に、後から来た人だ。そして。ある後悔をしていた。
『知っていりゃあマシだったかもな』

冒険者のチームを解散した理由は、チームの一人が大怪我を負った事からだった。


蛾の魔物の鱗粉を浴びて、怪我が悪化し腕が使えなくなった。
対処法はある。“魔力を含んだ水で洗い流し続ける”

単純だけど、森の中では難しい。けど、水魔法を使える人に協力してもらえば悪化は防げたかもしれないと薬師に言われた。

「鱗粉はね、水魔法で流せば悪化しないの!覚えていて“後悔しないように”。」

水魔法で水差しを満たしておいた。

「お礼は、その腕で払ってくれれば良いから!」


振り返らず出て行く。そろそろ帰る頃だ。サディスの我慢できている間に、私は急いで戻った。
「冒険者ギルドは?」
「今は無理でしょう。」

「そっか。」

冒険者ギルドマスターは、エルフで森に詳しい。本を貸してもらったり、若い冒険者の宿がわりに屋敷は使われる。

もともと、先代が誘致するため 建築されていた別棟。町人に住んでもらうのは難しいけど、魔物を討伐する冒険者なら便利な宿だ。収入と冒険者の確保ができる。

森からくる魔物、平原に出てくる魔物には対処方法が違うけど戦える人が多い方が安心だ。氾濫に備える。
メイドの仕事は増えるけど。

(頑張れ)

水を運ぶ仕事は、代わりに水魔法でやるから。
はやく会えた方が良いけど3歳の説明力と説得は、難易度が上がる。

焦っても仕方がないので書庫に篭ることのした。魔導具の修理したいけど、できる限りになる。
機構は覚えているけど、魔力不足になった魔導具に注ぐ。当主の音声と魔石。

「なんか後々、使うかも」

仕事机に入れておいた。走り書きのメモと古い手記。
(先々代のものだ。)

魔石で封してある。個人的な物か。


屋敷に冒険者がいるから洗い物を手伝い、書庫にいて冒険者と接触を避けているのだろう。
「教育に悪いから?」

荒っぽい口調、貴族の考えとは違う冒険者。自由と腕っ節が頼りだと自慢げだ。
眩しく見え憧れるのもわかる

話をするのが楽しかった。10歳にはなっていた頃とは違うか。
弓矢、魔力強化。魔力不足になると心配されるか、成長にも良く無いかも。


お昼寝した方が良いか?と大人達の間で子育ての経験者が、2人。
『育て方は違うし、貴族の子とはまた違っているだろう』と提案は控えめだ。

書庫に居れば、おとなしいと覚えた様子。私は、のんびり過ごせていた。
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