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わたしの記憶

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商家の娘になった。
前は違うの。日銭でその日の食事が決まり、夜のお仕事で家にいない。

パパにもママも家にいる日々

お酒を毎日呑んでる、お洋服と宝石を買っている。
わたしにもくれた石は綺麗だった。大事にしまっていた。


「もっとお金持ちで偉かったのに。」
とママはまだ言っている。

お酒ばかり飲むパパもつまらないから、部屋でお人形で遊んでいた。
前のところから持ってきた布の人形で遊んだ。

ママからもらった石とは、ちょっと合わないなと思って。


ある日

パパとママが隠していた存在を見た。
「妹?」

お人形で、力無く座っている。
「いいえお人形よ。特別な人形なの」

ママとお部屋に入って、パパが倉庫に残った。


ママはあの人形は、放ったりなぐるためにあるって。
普段は倉庫の奥がおうち

ママの出身地の風習で
生きている人形のフリをさせるんだって。

わたしにもおしごとがあるってパパも言った。
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