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影の戦い

家族

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執務室に訪れた私は、メイド長の報告も聞くように招かれた。

王太子様、騎士様、ローランド様と幼馴染3人が揃い踏みでございます。
ただ、フィンステッド様もレイモンド様も仕事モードのキリっとした空気。

それもその筈、メイド長からの報告を受けている最中のようです。
外で控えていようかと思ったのですが、招かれたのでそばで聞く事になった。私にも聞かせたい内容のようで。

「イザベラ様から、部屋付きをもう一人加えて欲しいと要望がきました。」
正規の手順通り、メイド長に願い出たそうです。

「ナナミ様からも、話があったよ」
王太子様にも城の作法の詳しいメイドをって話があったと告げられた。

両方、私の名指しで。

「マライヤを引き入れれば宰相の家を味方につけられると思ったんでしょうね。」
ローランド様の言う通りでしょう。


“絡め手”突然な動きのような気がするけど

「まあ。考えられるよな。」王太子様は想定内の出来事のようです。

メイド長は報告が終わったと退室を願い出た。この後も指導の仕事が入っているのでしょう。
お疲れ様ですと黙礼し、見送ります。


部屋の沈黙が少々重い。
利用される立場になってしまっては、メイドの仕事は続けられないと思えた。


「君の仕事ぶりは優秀だ。」ローランド様のお褒めの言葉にも気持ちは上向かない。
「それよりも公爵家の嫁のが求められているわ。」


否定の材料はないのです。

ローランドは慰める術を思いつけない様子を

(役立たず)
(へたれ)

2人の友人が視線で物申しても無理な話。

「んんっマライヤ。以前からの申請が通ったんだ。」


(話を変えやがった)
(逃げたな)

王太子でも騎士にも2人の世界に入れないのをマライヤ走りませんでした。



そして、

「起きてください。マライヤ。」
「はい!」

どアップのローランド様から目が覚める馬車の中。隣にいらっしゃり、枕にしてしまっていた?

この状況は
「旅に出る準備をしていただけますか?」と昨日の話から。寮から持ち出した荷物は少ない。

私の実家へ帰る許可を得て、ローランド様と馬車に揺られているところです。

既に、領地に入り懐かしい風景が広がっている。公爵家の馬車は揺れも少なく、朗らかな陽気で
つい。うとうと、と。

久しぶりの実家はもうすぐ。


すでに父と手紙で了解を得ていると聞いた時は、
“ローランド様は私より父と仲が良いのでは?”

と言いたかった。

その場に居た王太子様と騎士様に、後で揶揄われる事になります。
フィンステッド様もレイモンド様も笑いの種にして、自分の相手がいないのを誤魔化します。


私でも母と手紙のやりとりで、父と兄とは又聞きのような情報しかなく。
(両方、手紙を出すの面倒なのだと思ったのに。)

ローランド様とは文通してたの?会ったら文句を言うつもりです。



「お帰り!マライヤ」
「ただいま!母さん。」


「ローランド様よ」

3年ぶりになる我が家へ帰ってきたのだ。
未来のお婿さんと一緒に。
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