9 / 36
婚約
忙しさ
しおりを挟む
「これもお願いします」
「お前な」
「あの件で揶揄ったけど、これはないだろー」
議会の後のプロポーズに、あれはない!ムードがないと散々いったのを根に持たれたようだ。
王太子と騎士が文句を言う相手は、次期宰相で。
涼しい顔だが、幼馴染の2人には少々の不機嫌がわかった。
書類、資料、嘆願書。
仕事の山だ。
フィンステッド・ハレスこの国の王太子だ。
地方での衝突にならないよう、御令嬢から領地のことを聴く名目で集める。
そのため嘆願書を振り返り、頭に入れてもらう作業だ。
「これで揉め事になったら目も当てられん」
ローランドの危惧もわかるが王命だ。つまり、宰相の父も関わっている。
「まあその危惧より、今の事情を聴こうって試みだからな。」
王の判断で、王太子の相手探しでもある今回の機会だが、不穏ものぞく。
「『私も早く結婚したい』って顔だなー」
「だなっ!」
王太子と騎士のレイモンドは私と幼馴染。2人がかりでローランドを揶揄い、逃げるのが常だった。
そこら辺は子供の時から変わっていない。
「煩いぞ、レイ。お前も忙しいだろ。」
幼馴染ので気安さで愛称で指摘する。
騎士の仕事ではないが、3人の御令嬢に探りを入れる役目が与えられた。
あわよくば、婚約者を決めては?と目論みもあるが、まずは王太子の相手を決めなければどの結婚式もない。
「オレも早く結婚したい」
「諦めろ、俺が先だ。」執務中だが言葉遣いが“私”ではなくなった王太子に
「んんっ、これもお願いします。」と注意して、ローランドは気持ちを立て直し、山に書類を増やした。
「追加するなよ」
次期宰相も騎士も。臣下が先に結婚する訳にもいかず。
決まったら次は、生まれていない王子の相手にと貴族達の結婚ラッシュが予想された。
「まあわからなくもない現象だが。」
騎士の余裕の態度だが、相手を慎重に決めねばならない。婚約者もいないのは、弟が既に婚約がおり。
せっつかれていないためでもあった。
「私は早く、婚約者と仲を深めたいので。」そんな現象などどうでも良いと、ローランドの本音だ。
「ムッツリ!」「羨ましい」
「婚約者だ。」
レイも騎士として、結婚は頭にあるが。この2人の行く末を見守るしかなかった。
祝える状況になって嬉しいのは確かなのだが。
「長年思ってたもんなあ。権力使いすぎじゃねーか?」
「気合が入るくらいある。」
「あの顔で気合入ってたんだな。」
フィンステッド王太子が軽口を叩くも、こう話していては仕事が終わらない。
彼女を実家に帰してあげたいし。
いつ会いにいけるのか。ともどかしい思いもあるが、目の前の仕事は山積みだ。
きな臭さや、警備の強化と仕事が終わらないのが、
(苛立ってきた。)
「あ、やべちょっと行ってくるわ。」
ローランドの苛立ちを察知したのか、騎士然としてレイモンドが退室した。あの切り替えの速さは見習いたい。
今回の3人の令嬢を迎えるのこと自体デリケートな問題だ。
各地からとバランス良く集めたものの、各地の代表となって背負ってしまった。
誰かを選ぶのは決まっているが、決まらなかった令嬢はどうなるか。
騎士の嫁でも、王太子の幼馴染を夫に!となるか?
それも込みで当たるのを薄々感じているだろう。あんな身軽な動きをする騎士だが、察しは良い男だ。
「私の政局的に、中立派から選んだと思われるだろう。そう思われても彼女と居たい。」
ローランドの覚悟にフィンステッドは片眉を上げて反応する。
幼馴染の未来の宰相殿は、未来の王妃選びの重要さを知りながら
自分の伴侶を選びとれと発破をかけたのだ。
打算だらけ?
それでも真実思うことは忘れないようにしよう。
フッとわらい、妙に入った肩の力を抜く。
「私はこの国の王になるのだから。」
王になるために、通る道。
「未来の王にお仕えするのが私の役目ですから。」
頼りになる未来の宰相も相手を決めた。いや、やっと手に入れたと言うべきか。
気性もメイドとしての活躍と活動も目を見張るものがある。
(彼女の目からも、未来に王妃を見出してもらわねば。)
3人とも御令嬢と言う立場から、“メイドに見られている”という意識が希薄だ。
そこを利用して、人となりや行動を見せてもらう。
「頼りになる夫婦だよ。」
早く2人に休暇と結婚式を挙げさせたいと友として思う未来の王だった。
「お前な」
「あの件で揶揄ったけど、これはないだろー」
議会の後のプロポーズに、あれはない!ムードがないと散々いったのを根に持たれたようだ。
王太子と騎士が文句を言う相手は、次期宰相で。
涼しい顔だが、幼馴染の2人には少々の不機嫌がわかった。
書類、資料、嘆願書。
仕事の山だ。
フィンステッド・ハレスこの国の王太子だ。
地方での衝突にならないよう、御令嬢から領地のことを聴く名目で集める。
そのため嘆願書を振り返り、頭に入れてもらう作業だ。
「これで揉め事になったら目も当てられん」
ローランドの危惧もわかるが王命だ。つまり、宰相の父も関わっている。
「まあその危惧より、今の事情を聴こうって試みだからな。」
王の判断で、王太子の相手探しでもある今回の機会だが、不穏ものぞく。
「『私も早く結婚したい』って顔だなー」
「だなっ!」
王太子と騎士のレイモンドは私と幼馴染。2人がかりでローランドを揶揄い、逃げるのが常だった。
そこら辺は子供の時から変わっていない。
「煩いぞ、レイ。お前も忙しいだろ。」
幼馴染ので気安さで愛称で指摘する。
騎士の仕事ではないが、3人の御令嬢に探りを入れる役目が与えられた。
あわよくば、婚約者を決めては?と目論みもあるが、まずは王太子の相手を決めなければどの結婚式もない。
「オレも早く結婚したい」
「諦めろ、俺が先だ。」執務中だが言葉遣いが“私”ではなくなった王太子に
「んんっ、これもお願いします。」と注意して、ローランドは気持ちを立て直し、山に書類を増やした。
「追加するなよ」
次期宰相も騎士も。臣下が先に結婚する訳にもいかず。
決まったら次は、生まれていない王子の相手にと貴族達の結婚ラッシュが予想された。
「まあわからなくもない現象だが。」
騎士の余裕の態度だが、相手を慎重に決めねばならない。婚約者もいないのは、弟が既に婚約がおり。
せっつかれていないためでもあった。
「私は早く、婚約者と仲を深めたいので。」そんな現象などどうでも良いと、ローランドの本音だ。
「ムッツリ!」「羨ましい」
「婚約者だ。」
レイも騎士として、結婚は頭にあるが。この2人の行く末を見守るしかなかった。
祝える状況になって嬉しいのは確かなのだが。
「長年思ってたもんなあ。権力使いすぎじゃねーか?」
「気合が入るくらいある。」
「あの顔で気合入ってたんだな。」
フィンステッド王太子が軽口を叩くも、こう話していては仕事が終わらない。
彼女を実家に帰してあげたいし。
いつ会いにいけるのか。ともどかしい思いもあるが、目の前の仕事は山積みだ。
きな臭さや、警備の強化と仕事が終わらないのが、
(苛立ってきた。)
「あ、やべちょっと行ってくるわ。」
ローランドの苛立ちを察知したのか、騎士然としてレイモンドが退室した。あの切り替えの速さは見習いたい。
今回の3人の令嬢を迎えるのこと自体デリケートな問題だ。
各地からとバランス良く集めたものの、各地の代表となって背負ってしまった。
誰かを選ぶのは決まっているが、決まらなかった令嬢はどうなるか。
騎士の嫁でも、王太子の幼馴染を夫に!となるか?
それも込みで当たるのを薄々感じているだろう。あんな身軽な動きをする騎士だが、察しは良い男だ。
「私の政局的に、中立派から選んだと思われるだろう。そう思われても彼女と居たい。」
ローランドの覚悟にフィンステッドは片眉を上げて反応する。
幼馴染の未来の宰相殿は、未来の王妃選びの重要さを知りながら
自分の伴侶を選びとれと発破をかけたのだ。
打算だらけ?
それでも真実思うことは忘れないようにしよう。
フッとわらい、妙に入った肩の力を抜く。
「私はこの国の王になるのだから。」
王になるために、通る道。
「未来の王にお仕えするのが私の役目ですから。」
頼りになる未来の宰相も相手を決めた。いや、やっと手に入れたと言うべきか。
気性もメイドとしての活躍と活動も目を見張るものがある。
(彼女の目からも、未来に王妃を見出してもらわねば。)
3人とも御令嬢と言う立場から、“メイドに見られている”という意識が希薄だ。
そこを利用して、人となりや行動を見せてもらう。
「頼りになる夫婦だよ。」
早く2人に休暇と結婚式を挙げさせたいと友として思う未来の王だった。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
「あなたのことはもう忘れることにします。 探さないでください」〜 お飾りの妻だなんてまっぴらごめんです!
友坂 悠
恋愛
あなたのことはもう忘れることにします。
探さないでください。
そう置き手紙を残して妻セリーヌは姿を消した。
政略結婚で結ばれた公爵令嬢セリーヌと、公爵であるパトリック。
しかし婚姻の初夜で語られたのは「私は君を愛することができない」という夫パトリックの言葉。
それでも、いつかは穏やかな夫婦になれるとそう信じてきたのに。
よりにもよって妹マリアンネとの浮気現場を目撃してしまったセリーヌは。
泣き崩れ寝て転生前の記憶を夢に見た拍子に自分が生前日本人であったという意識が蘇り。
もう何もかも捨てて家出をする決意をするのです。
全てを捨てて家を出て、まったり自由に生きようと頑張るセリーヌ。
そんな彼女が新しい恋を見つけて幸せになるまでの物語。
運命の番?棄てたのは貴方です
ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。
番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。
※自己設定満載ですので気を付けてください。
※性描写はないですが、一線を越える個所もあります
※多少の残酷表現あります。
以上2点からセルフレイティング
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる