【完結】「鏡よ、鏡っ!」と手持ちの鏡に問いお姫様は、部屋に男子禁制なお年頃。

BBやっこ

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姿見の気持ち

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公爵家には、家宝というにはシンプルな装飾の鏡がある。

代々の女性が所有者となるこの鏡。
代々の公爵が、その鏡が持つ秘密を持っている。


据え置く場所は、衣装室の入り口。

他にも鏡があるが、身体を磨き上げてドレスを着る。ヘアスタイルを整え、
宝飾を身につける。

男のそれより当然、時間のかかる身支度を行うのだ。


その様子を垣間見ることができる。

髪飾りの位置を見て、すでに仕上がったその姿を少しだけ。


何のために作られた鏡かはわからない。
しかし、公爵家では防犯の意味合いよりもこの使い方で受け継がれている。

権力者とは孤独だ。
時間に追われ、妻との時間も後継に後を継がせるまでなかなか得られない。

社交も仕事のうち。パートナーとして頼もしい。


ただ、娘とは。まだ8歳だ。
寝る時間も大切で、顔を合わせるのも難しい。

だから、少しだけ。装いを最終的に確認する姿を覗き見る。

姿を見れるだけでも、幸せを認識できる。
年頃に恋もするのだろう。

もう少し大きくなったら、寝る前に少しお茶ができるだろうか?


誕生日に贈った手鏡の相手は、執事だが愚痴の相手には良いだろう。

娘へ無礼を働く王子には、勉学の時間を増やすよう進言する事にして。


妻が、もう一つ鏡を贈りましょう?と言っているのはどうするか。

近々、娘の部屋へドレッサーを贈るか。

『鏡よ鏡』で母と知らず、娘が話せる魔法の道具を。

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