【完結】譲れば良かったのかしら?それでも結果は変わらない

BBやっこ

文字の大きさ
上 下
2 / 2

しおりを挟む
葬儀が終わり弔問客も帰って行った。

居間には当主と、その子供が2人。
そして、後釜におさまった女。

当主は、子供達に言葉をかけているが彼らは視線が合うことはなかった。
哀しみに襲われるも、仕事は無くならない。

当主が休むように言葉をかけ、自身は執務室へ行った。

残った子供達と女。メイドも残る。
静かな空気を破ったのは女だ。


「怨んでかまわない」

ぽつりとこぼしたのは本音で、彼女の息子に聞かせる言葉。
妹は幼く、首を傾ける。

兄の方は何か言葉を紡ごうとしたが、発せられる事はなかった。


女の置かれた状況も難しかった。
国で見染められ、この国まで来た。

相手には正妻がいる。自分は第二夫人とされるようだったが
彼女は承諾しなかった。

貴族女性として、自身が正妻ならと折れる者もいるが
異国の女を自身と並べる事に拒絶をした。

淑女の、家の教育として。誇りとして。

結婚で子供もできた。
愛を求めた事はないが、他の女が家に入る。

それが嫌だった。

せめて、自国の貴族女性なら?

そう悩むも、受け入れる事はない。
このままだと私が追い出されるのか?子供達は。

そもそも、私が出て行かねばならないのか。

プライドが許さなかった。
そして、自害を選ぶくらいには。

もう、感情がこれから先に起こる事をうけいれたくなかったのだろう。
自身で命を絶つほどに

「じゃあ私の得た物を全て譲れば良かったの?あの方はそんな施し、つっぱねたわよ」

女は母の気性を一番、理解していた。
その黒衣は哀しげだったと記憶に残る。


時は過ぎる、彼女は第二の母として籍を入れ弟が生まれる事になる。


ただ、この人を母と呼ぶ事はない。
それだけが、生母に手向けられる事だった。


家はというと貴族としてうまくやっている。
これくらいの複雑さは、よくある事だ。


気持ちの整理は一応、兄妹共についているのだった。
生まれてきた弟には、思うところはない。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【完結】大事な弟を…嫁に行くっていう家に、騎士の姉が潜入しました。<ショート5話展開>

BBやっこ
恋愛
仲の良い姉と弟、弟の夢は…お嫁さん。 可愛い弟を応援する姉は、騎士になって養子を得る人生設計を順調に送っていた。 そんなある時実家にいる弟が手紙でお嫁さんになると知り? 相手方に乗り込む事に!5話になった。 BLか迷ったけど、女騎士視点が多いので家族愛で。

【完結】 いっさいの遺産を、あげません。 死にましたが、アンタら不倫の清算をなさいな。

BBやっこ
恋愛
この日、資産家のご婦人が亡くなった。 彼女が持つ莫大な財産。その財産を狙う、いえ相続するのは娘夫婦。その子供。 しかしその夫婦の生活は破綻しており、2人も愛人を持ち葬儀にまで連れてきていた。互いに。 罵り合うのも常にようで、1歳になるお子様だけが哀しみに泣いているようでした。 皆様が集まったのは、故人の遺産がどうなるか遺言が公開される日だった…。 その結末。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた

miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」 王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。 無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。 だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。 婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。 私は彼の事が好きだった。 優しい人だと思っていた。 だけど───。 彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

拝啓、許婚様。私は貴方のことが大嫌いでした

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【ある日僕の元に許婚から恋文ではなく、婚約破棄の手紙が届けられた】 僕には子供の頃から決められている許婚がいた。けれどお互い特に相手のことが好きと言うわけでもなく、月に2度の『デート』と言う名目の顔合わせをするだけの間柄だった。そんなある日僕の元に許婚から手紙が届いた。そこに記されていた内容は婚約破棄を告げる内容だった。あまりにも理不尽な内容に不服を抱いた僕は、逆に彼女を遣り込める計画を立てて許婚の元へ向かった――。 ※他サイトでも投稿中

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

【短編完結】記憶なしで婚約破棄、常識的にざまあです。だってそれまずいって

鏑木 うりこ
恋愛
お慕いしておりましたのにーーー  残った記憶は強烈な悲しみだけだったけれど、私が目を開けると婚約破棄の真っ最中?! 待って待って何にも分からない!目の前の人の顔も名前も、私の腕をつかみ上げている人のことも!  うわーーうわーーどうしたらいいんだ!  メンタルつよつよ女子がふわ~り、さっくりかる~い感じの婚約破棄でざまぁしてしまった。でもメンタルつよつよなので、ザクザク切り捨てて行きます!

【完結】婚約者とのお茶の時に交換条件。「 飲んでみて?」

BBやっこ
恋愛
婚約者との交流といえば、お茶の時間。客間であっていたけど「飽きた」という言葉で、しょうがなくテラスにいる。毒物にできる植物もあるのに危機感がないのか、護衛を信用しているのかわからない婚約者。 王位継承権を持つ、一応王子だ。継承一位でもなければこの平和な国で、王になる事もない。はっきり言って微妙。その男とお茶の時間は妙な沈黙が続く。そして事件は起きた。 「起こしたの間違いでしょう?お嬢様。」

処理中です...