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変態ではない(ロード編)

下着

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「黒だな。」

ピラリと摘んだ指先の下着は
女物。全体がレースでサイドが紐。

縁が丸く花びらのように飾っている。

生地に面積が小さくなる程、高価になるという
下着の値段は、意味が分からないと前なら言っていたが

今は気にならない。

真剣に並んでいる下着を吟味している。

俺の番に着せるためだ。
・・脱がすためともいう。

紳士オンリーの倶楽部では
贈り物を吟味できるように商人が出入りするところがある。

既婚者から夜の相手へのプレゼントを相談、都合できる場所というのは
いくつかある。
その客層、馴染みになる商人と客をあわせる場は、
一人で行かなくても秘密に買えるため
需要があるようだ。

女物の下着や夜の玩具は特に。

そんな物に目を向ければ、

「下着だけにしとけよ」
と、じとりとした目で言い放つカナン。

今回、シュルトの知っていた倶楽部での
カナン付きの買い物だ。
まあ、カナンは財布だな。

「ちっ。早く決めろよ。」
特定の相手がいなければ買い物の必要がない物たちだ。
監視目的の同行だな。シュルトの采配だろう。


こっち。いや、こっちか?と急かされるのを無視して
吟味する。

「オマエ、セリのサイズわかんのかよ?」と
今更なことを言う。

「当たり前だろ?これくらいだ。」
と腰から尻のラインを空中で撫でた。

「うわっ」とひいた声など気にならない。

胸はこれくらいと、手のひらを見ながら
にぎにぎ、とサイズ感を思い出す。

「サイズ的にこっちか。と黒い上下を1セット決める。
他には…」
と目移りしてきた。

「3セットくらいにしとけよ」
カナンから制限が入る。

「何でだよ」

と少しイラついたように問答する。

ここのもの全部買えばいいのに。
「ちゃんと選んで買え」「エロ下着は早い」
「顔がだらしねえ」と、口を挟んでくる。

「『セリの好みは?』知ってるのか」との言葉に

「うぐっ」と二の句をつげない。
セリの装備はそんな金がかかっていないものだ。

丁寧に繕って使っている、一般的な初級冒険者の装備。

よくある服で、デザインが良いわけではないく
同じものを複数、着回していたようだ。

好みはさっぱり反映されていない。
機能性を重視しているため野暮ったさが残る。

聞いてみるも、本人もデザイン性は後回し。
今後は、
上から下までオレの選んだ物を身につけさせて…

「あ~のな、買うなって言ってねえよ。
ここで散財しないで、セリの好みを踏まえて買ってけよ。

他の街でも探すんだろ?」

「まあな。」セリにぴったりの物を手に入れたい。
オーダーのが良いか。

とりあえず、あの下着より
肌に映える繊細なパンツを履かせたい。

「お、これどうだ?」カナンが持ったのは、

腹まで隠れる長さのレースが付いたブラ
肌が透けて見えてそそりそうだ。
セットの
白の花で埋めつくされているパンツもイイ。

「それ。」と購入決定。

「んーピンクは?」
「子供っぽくて嫌がられないか?」
少々子供っぽすぎるリボンだ。

翠色の下着が目にとまる。


俺の色を纏うセリ。

艶のある絹が秘所を守る
着けているところを想像して、

「これに決めた。」

他には?と目を再び商品に向けようとしたところで。

「はい!おしまーい。」と会計を終えたカナンに
引きずられる。

まだあってもいいのでは?いっそ全部買った方が・・

とまだ目線を向けていると

『あんまあげると受け取ってくれないかもよ?』
と言われ、思考が停止した。

ちなみに、
セリに着せた翠色は、ひらりっとベッドから落ちて
防御力は発揮されなかった。
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