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調教部屋
4. 死ななくて済んでよかったわね。
しおりを挟むいつの間に眠っていたんだろう。
どんな不安の中でも、こんないい匂いの柔らかなベッドの上では心地良いに決まっていた。
目を覚ましたとき時間の感覚はわからなかったが、天窓からうっすらと光が差し、体内時計も合わせればいつも新聞配達をする朝4時ごろと予想できた。
何も考えたくない自分は手渡された六法全書を隅から読み漁った。
意味のわからない部分も多かったが、人間の作る人間を裁くためのルールには、奥深い人間の考えや欲も見え隠れして面白かった。
法からいろんな人の考えやあらましが見え、自分の今の立場を忘れさせてくれた。
朝食もどこのホテルのレストランかと見まごうほどだった。
だがそれを食べ終えたころ、一人の男性が入ってきた。
化粧をしていてなよなよとしているが、確かに男性で、若かった。
弘和さんと年はかわらなそうなその人はジミーと呼びなさいと言ってきた。
ジミーはまず僕をお風呂場へ連れて行き、裸にした。
陰毛がないのにおどろいていたが、にやっと少し笑って見せた。
そしてやはりお尻の穴へと手をのばす。
「ここね、中を綺麗にするの。知ってる?」
僕は首を振った。
「あら、私の勘では君、男性経験あるって思ったんだけど……」
「……レイプされたことは…あります……」
僕は小さい声で答えた。
「あらっ!じゃぁ、レイプされた挙句に調教されて売られちゃうの!?
ひさーん!!
……なんてね。
そんな人生送ってる輩は五万といるわ。
死ななくて済んでよかったわね。
性を売り物にできるだけ救われてるって考えなさーい」
この人もいろんな人の人生を見てきたのだろうか。
僕はこの人の言うことを守ろうと思った。
「調教」と言われるだけあって、こまごましたことから始まった。
まずは腸内洗浄。セックスの仕方。性の病気について。後処理の仕方。
まるで保健体育の勉強のようだった。
だが、身体を使っての慣らせていく段階から、僕の身体をおかしくしていく。
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