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番外編1

3. 《隼人side》愛おしさが溢れそうになる

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《隼人side》

ようやくこの日が来た。
今日からはナツがずっと側に居る。
仕事に集中と思いながらも浮足立つ自分。

5G事業への参入も進み、通信業界での有力者との会合もナツの作成した資料やデータのおかげでスムーズに契約まで漕ぎ着けそうだ。
そのまま直帰のため待たせた自家用車の前、ナツが出迎える。

今まで尽力してくれた俺についている秘書は本社から来ている者や元父さん付の者で能力も高く、プライドも高い。
助けられた場面は数知れないが、年上がゆえに価値観の違いや融通が利かない部分もあって、話を合わせなくてはいけないことも出てきたリと、心を開くことは出来ずにいた。

そこをナツに全てを任せることにする。
そうなれば俺個人的にはもちろん嬉しいことだが、仕事においても頼もしい存在となるに違いなかった。
だが、今の秘書たちにどうナツを受け入れさせればいいのか。
俺はナツの能力に賭けることにした。

どの秘書もはじめはこの若造がという空気を出し当たりもきつかった様だが、斜に構えることもせず素直に、でも適格に仕事を覚えていく姿に次第に誰も文句を言わなくなっていった。
随分無理もしたと思う。
でも俺と共に生きるために今までどれほどの努力を積み重ねてきたのかがわかった。


「このまま自宅へ」
運転手にそう伝えるとナツは一瞬秘書の顔から高校生の時の俺のよく知るナツの顔になった。
目配せで後部座席に誘導すると顔を赤くして従う。抱きしめたい衝動を抑え、膝を擦り合わせるとナツも緊張しているのが伝わってきた。

それでも車を降り、マンションのエントランスに向かう道中も秘書という立場を崩さずにいたが、渡している家のカードキーでオートロックを開けた時のナツはさすがに嬉しそうに頬を綻ばせて、なんとも可愛くて愛おしさが溢れそうになる。
玄関まで待てず触れる。振りほどかれたが、ナツの熱く汗ばんでいる手は俺のスイッチを入れるのに十分だった。

プライベート空間に入ったとたん、気持ちが溢れ出し久しぶりに触れるナツの感触に力が入り過ぎ、怒らせたかと思ったがそれはナツらしい照れ隠しで……。
「ただいま」の言葉に、あー今日から本当に一緒に暮らすのか……と感慨深く、そして、ナツの興奮した顔と強引なキスにたまらずソファーに押し倒した。

好きだ……愛している……俺の…俺の…ナツ……

触れると身体をくねらせて荒い息遣いのナツ。さっきまでの冷静で的確なアドバイスをする秘書の顔とは全く違う、俺だけに見せる顔になっていた。

抱き合い身体を擦り合わせ、それでも足らずに二人慌てるように固いモノを取り出すと、ナツのそれは熱くドクンドクンと脈打ち、先からもう雫を流していた。
早く触ってと競り出す身体が愛おしく、俺の手で包み高みに上るナツに興奮しきりだった。




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