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奇跡

5. うわっ!! 恥ずかしい!!!

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手島さんからの電話で谷垣さんが意識も取り戻し、無事だと聞かされた。
涙が溢れだし、声を殺すのに口を手で押さえた。

オレが号泣してどうすんだよ。
一番心配して、心を傷めてたのは手島さんの方なのに……。

〔ずっと付いて蘇生してくれていたのが夏斗くんだったんだね。
他の秘書達から富士城興産の社長秘書の若い男性がずっと社長の傍で名前を呼んでたって。
夏斗くんは、弘和さんの命の恩人だ……〕


うわっ!!
恥ずかしい!!!

あの時はもう無我夢中で訳わかんなくなってたし、とにかく助かってほしいとばっかり思ってて……。

〔夏斗くん……ありがとう……〕

「……うん……」




「おい!!何してんだ!!」

オレはパーティーが終わった会場の廊下の隅で慌てて電話を切り、オレを呼ぶ宮城社長の下へと駆け寄った。
パーティーは一時騒然となっていたが、谷垣氏の心臓も動き出し病院に搬送されてからは、落ち着きを取り戻し続行されていた。

しかし、宮城社長自身がAEDの手配をスタッフに頼んだり、医療従事者をあたったりしたため、キャッスルプレスと富士城興産との間に何かあったに違いないと会場ではまことしやかに噂されていた。

「なんだよ!俺が何したって言うんだ!!まったく……。
俺が命救ってやったんだぞ!!!
人を殺人鬼のように言いやがって……」

こんなパーティー来るんじゃなかったと輩のごとく大きな声で話しながら一階のロビーに差し掛かった。


「社長、声が大きいです。
こちらは横浜の都市計画に関連する企業が皆さん参加されていたもので、社長が今一番力を入れていたものじゃありませんか」

オレは宮城社長に耳打ちし、気持ちを抑えるように諭した。

「元はと言えばお前のせいだ!!
お前がお節介にも、あいつを助けようなんてことするから!!」


「あーあ、知らん顔で立ち去ればよかった。

どうせ、もう長くないジジィだ。
あのまま死んでくれたらよかったのによぉー。

ちぇっ、何だって俺の目の前で倒れるかなぁ……。
あー……運悪いわぁ!」








バキッ!!!!



ホテルの一階ロビー。
まだ、パーティー関係者が沢山いる中で、オレは宮城社長を殴っていた。


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