上 下
51 / 155
ハヤの実家

5. 親公認って感じでいいかなぁなんて……

しおりを挟む
震える手島さんに寄り添い、オレはなだめていた。

「いや、性奴隷になるってのは、オレの覚悟だし……。それでハヤの側に一生居られるならって思ってるしさ。
親公認って感じでいいかなぁなんて……」

本当は今でも逃げ出したい。
でも、それ以上にハヤと生きていきたい。
その為の覚悟だったんだ。


「夏斗君、先ほど私が社長に愛されて、今こうしているんじゃないかと尋ねたね」

おもむろに顔を上げた手島さんが話し出した。


「それは、違うよ。
私は……私のほうはあの方をずっとお慕い申しあげております。
でも社長は……。

私が14歳の時、何もわからないまま先代の社長にここに連れて来られたんです。
売られて行く身だと、後で知りました。
一通り調教が済み、実践という事を聞かされてピンと来ないままその日を迎えてしまいました……」

そこまで言って一度言葉を詰まらせた。

手島さんは何かを思い起こしながら一点を見つめ、小刻みに震える自分の肩を抱き込む。
そしてはぁ……と息を整えた。

「社長が先代の社長から今の会社を引き継ぐことが決まった時、社長は私に首輪をはめました。
私を買ったのが、今の谷垣社長だったんです。

社長にとって、私はそれだけの存在。
『首輪』とは性奴隷の証、私たちの認識ではそうでした。
だから……」


「……なぜ私が社長のお側に居ると思いますか?」

「えっ?」

手島さんの体験の続きを聞きたかったのに、突然質問され驚いた。

「そ…そりゃあ、……好き…だから?」

「……違う。私の気持ちなんて……。

社長の奥様は才能や美貌だけで見染めた方でした。社長にとって奥様はあと継ぎを産んでもらうだけのもの。
奥様も、キャッスルプレスの社長夫人という肩書が欲しいだけの人で、それを承知で結婚なさいました。
ですので、夫婦仲は元々冷え切っていました。

しかしこれだけの大きな会社の社長となると、奥様以外の女性の方とのスキャンダルはご法度。
そんなものを狙っている輩は沢山いましたからね。
イメージもクリアにしていかないと、いつ外資系の企業から乗っ取られるかもわかりません。秘書も女性では格好のネタにされます。

私は、その為に社長のお側に居るんです」

「秘書という仕事の傍ら欲求のはけ口。
性奴隷なんて、求められはしますが単なる退屈しのぎのオモチャに過ぎないんです」


そんな………。

オレはこの世界を……遥か上の世界を目の当たりにし、言葉を失った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

僕はオモチャ

ha-na-ko
BL
◆R-18 エロしかありません。 苦手な方、お逃げください。 18歳未満の方は絶対に読まないでください。 僕には二人兄がいる。 一番上は雅春(まさはる)。 賢くて、聡明で、堅実家。  僕の憧れ。 二番目の兄は昴(すばる)。 スポーツマンで、曲がったことが大嫌い。正義感も強くて 僕の大好きな人。 そんな二人に囲まれて育った僕は、 結局平凡なただの人。 だったはずなのに……。 ※青少年に対する性的虐待表現などが含まれます。 その行為を推奨するものでは一切ございません。 ※こちらの作品、わたくしのただの妄想のはけ口です。 ……ので稚拙な文章で表現も上手くありません。 話も辻褄が合わなかったり誤字脱字もあるかもしれません。 苦情などは一切お受けいたしませんのでご了承ください。

蜘蛛の糸の雫

ha-na-ko
BL
◆R-18 ショタエロです。注意必要。SM表現、鬼畜表現有り。 苦手な方は逃げてください。   「なぜか俺は親友に監禁されている~夏休み最後の3日間~」スピンオフ作品 上記作品の中の登場人物、谷垣隼人の父、谷垣弘和とその秘書手島友哉の過去のお話しになります。 ----------------------------------- 時代は1987年 バブルの真っ只中。 僕は手島友哉(てしまともや)。 10歳。 大金持ちの家の使用人の息子だ。 住み込みで働く父さんと義母さん。 ある日、お屋敷でのパーティーで皆から注目されている青年を見た。 スラッと足が長く、端正な顔立ちは絵本に出てくる王子様のようだった。 沢山の女性に囲まれて、とても楽しそう。 僕は思わず使用人用の宅舎から抜け出し、中庭の植え込みの茂みに隠れた。 姿が見えなくなった王子様。 植え込みから顔をだした僕は、誰かに羽交い締めにされた。 これが運命の出会いとも知らずに……。 ※このお話の中ではハッピーエンドとはなりません。 (あくまでもスピンオフなので「なぜか俺は親友に監禁されている~夏休み最後の3日間~」の作品の中でとなります。) ※青少年に対する性的虐待表現などが含まれます。その行為を推奨するものでは一切ございません。 ※こちらの作品、わたくしのただの妄想のはけ口です。 ……ので稚拙な文章で表現も上手くありません。 話も辻褄が合わなかったり誤字脱字もあるかもしれません。 苦情などは一切お受けいたしませんのでご了承ください。 表紙絵は南ひろむさんに描いていただきました♪

膀胱を虐められる男の子の話

煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ 男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話 膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)

無理やりお仕置きされちゃうsubの話(短編集)

みたらし団子
BL
Dom/subユニバース ★が多くなるほどえろ重視の作品になっていきます。 ぼちぼち更新

おとなのための保育所

あーる
BL
逆トイレトレーニングをしながらそこの先生になるために学ぶところ。 見た目はおとな 排泄は赤ちゃん(お漏らししたら泣いちゃう)

童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった

なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。 ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…

部室強制監獄

裕光
BL
 夜8時に毎日更新します!  高校2年生サッカー部所属の祐介。  先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。  ある日の夜。  剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう  気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた  現れたのは蓮ともう1人。  1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。  そして大野は裕介に向かって言った。  大野「お前も肉便器に改造してやる」  大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…  

処理中です...