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第一章~出逢い~
勇気を持って
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「玉座の下に、こんな避難場所が造られていたとは……」
玉座の下は大きな地下道となっており、このまま進むと外に出られるとの事だった。
松明をもったアダンは振り返り、胸に手を当て、皇子に頭を垂れた。
「我々は貴方を御守りするのが役目ですから」
「…感謝する、アダン。」
『安心するのはまだ早いです。煌ちゃんを何とか助け出さないと……』
『然し、我々に出来る事と言ったら……』
「………助けに、行かなきゃ」
「愛……」
「私、煌を助けに行かなきゃ…!。私のせいで……、衛兵さんも……ッ───」
「───衛兵は刺されていたが……、幸い急所は外されていた。……それに、煌は…、あれでもアマテラスの加護を受ける者、死にはしない」
「皇…子様……」
「だから、泣くな」
天道は愛を優しく抱き寄せ、額に口付けをする。
(!!……)
「元気が出る、おまじない…。そして、飛び切りの愛を…お前に。」
「え……」
「私が、煌を助けに行く。」
「皇子、それは危険です。貴方は、外に出る事は叶わない。そんな状態で真面に力を使える筈が……」
「だからと言って……、黙って見ている訳にも行かない。それに、同じ男として……───彼奴にだけは負けられない!!。」
メラメラと、皇子の髪の毛が真っ赤に燃え上がり、その髪は植物へと変化し、軈て綺麗な向日葵と薔薇を咲かせた。愛は驚愕した。
「お、皇子様!?か、髪が!!」
「これが、アマテラスから授かった…──私の力だ」
皇子は掌に燃え上がるような色をした弓を生み出した。
「……愛、私とお前は会って間も無い。この妃オーディションは、お前を捜す為に開いたものだったが……気が変わった。」
気配を感じた。
邪悪で───何処か哀しみを背負った
愛が振り返るとそこには
『ヨリシロ……コロス』
「月下…!!」
そして─────
「向日葵薔薇狙撃者」
皇子が1本 髪の毛を抜くと、向日葵と薔薇が混ざった矢へと変化した。その矢は愛の背後にいた月下に命中し、月下はこの間と同じようにそのまま灰となり、消えてしまう。
「お前を、私の妃として正式に迎える。
「き、妃って!!?…お、皇子様それは───」
「天道と呼べ。煌と平等にしてもらわないとな……」
愛は頬を両手で抑える。その頬の火照りと連動するかのように、背負っていたレイピアから強い光が放たれる。
「!…愛!!!……」
天道が咄嗟に愛の腕を掴む。更に光が増し────
「きゃあああーーーーーー!!!」
「くっ……!───愛!!!」
そのまま愛と天道は光に包まれ、消えてしまった。
。
。
愛達を逃がした後、煌は
月神の一族・コヨルシャウキと一戦を交える────はずが……
「コヨルシャウキちゃんって可愛いねーーー!!、歳、いくつ?」
「な、なんなんですの!!このナンパ男!!」
「はっはっはっ!、オレは世界中の女の子を平等に愛するイケメンさっ」
悪い癖が出ていた。
「だから……攻撃しないのか───」
「女の子は殴りたくねぇの。敵であろうともな」
「…随分なお人好しですわねぇ…。そうこうしてるうちに、依代が殺されるかもしれないと言うのに?。お前は、あの娘を無事に逃がしたと思い込んでるみたいだが……──残念だったねぇ……今頃、月下に殺されているだろうよ。」
「……それはどうかねぇ」
「何?」
「クソ気に食わねぇけど、オレと同等の力を使える、チビ皇子がいるんでね」
コヨルシャウキは俯き、肩を震わせた。
「……ふっ……ふふふ、あはははは!!!───…お愛でたいアタマしてんねぇ……。あの皇子はもうすぐ死ぬ─────」
「!?……何だと」
「皇子はねぇ……、力を使うと死ぬように呪いが掛けられてんだよ……」
「何言ってんだ…!!、天道は…呪いの事で一言もそんな事は……」
「あはは!、当たり前だろう───皇子もこの呪いの真実は知らないさ…。ふふ……御神体の1つでも滅べば、太陽は二度と……照らす事は無くなる。ツクヨミ様も嘸かしお喜びになるだろう。」
「お前……!」
「お前も今すぐ殺してy────」
カッ!!!!────────
コヨルシャウキの頭上から強烈な光が放たれ、ドスン!!!!────と、何かが落ちてくる音が響いた。
「いたたた………」
「…い、愛…大丈夫か?」
「だ、大丈夫………って、天道!?私を庇って下敷きに……!?」
「なんのこれしき……。お前に怪我が無くて良かった」
「…あ、あのさ……」
「あ、煌!!生きてたのね!……」
「お前達の下にさ……、その~……」
「「え?」」
恐る恐る、愛と天道は下を見る。そして……完全にペシャンコになったコヨルシャウキ。
「きゃあああ!?だ、大丈夫ですか!?」
「す、すまない……。どおりで衝撃が少ないわけだ」
「───…き、貴様ら……!!!───ああ!?アタシの一張羅と髪型が……!!!」
何処から出したのか、手鏡を見て、ボロボロになった自身の姿に、コヨルシャウキは眼に涙を浮かべ
「こんな姿じゃ………ツクヨミ様に嫌われちゃうじゃない!!!うわああああああんっっっ!!!!!泣」
小さな少女のように泣きじゃくるコヨルシャウキに、愛達は困惑した。泣き止ませようと愛はハンカチを手にグルグルとコヨルシャウキの周りを回る。
「な、泣かないでください!……このハンカチで涙を!!」
「お、おい愛!、そいつはお前を殺そうと…」
「不用意に近付いてはならぬ!」
「それでも……、泣いてる人を放っておく事は出来ない。───本当に、ごめんなさい。」
「っ……ぐすん、……何…いい子ちゃんぶってるんですの……───絶対に……許しませんわ!!この借りは必ず……。────月下!!この者達を相手してあげなさい!!!」
『ギョイ……』
「……貴女の、その澄み切った中にあるモノを、グチャグチャにしてあげる」
コヨルシャウキは高笑いをしながら、黒い渦の中に消えてしまった。そして、月下達が一斉に煌と天道に襲いかかる。
「ぐっ……!!!」
「離せ!!」
「煌!…天道!」
「っ……駄目だ、力が……」
「愛……!!、お前だけでも逃げろ!!」
「そ……そんな……!!」
『サセナイ────ヨリシロハコロス───コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス』
コ ロ シ テ ヤ ル
一体の月下は体から触手のような物を生み出し、愛に襲いかかる。その触手は愛の体を束縛し、体の自由を奪った。
「!!……っ……い、いやああああ!!」
「愛!!……ッ……クソッ!!!離せこの化け物が!!!」
「愛!!!……」
『オマエヲコロス!!』
(く…苦しい……体の自由が効かない………、怖い……怖いよ……!!)
『ヨワイヨワイ オマエノ ココロ』
「!……っ」
弱い心─────
それはいつだって、障害となっていた物。
(私は……弱い───そうだ、今だって、何もできない)
『コロシテヤル』
(心のどこかで、誰かに対して……───自分に対して思ってたこと)
どうやったら強くなれるの?
どうやったら、煌と天道を……此処に居る皆を守れるの?
「守り……たい」
『マモレナイ』
「守りたい……皆を────」
『オマエニナニガデキル』
「もう……逃げたくない」
『ヨワイクセニ!!シネ!!』
「う…!!あああああっ!!」
(体が強く締め付けられる。
痛い───苦しい───
でも………───────)
「みんなを……っ……守りたい!!!!!」
カッ!!!──────────
愛の気持ちに反応するかのように、レイピアは強い輝きを放ち、その光は月下を斬り裂いた。
煌達を拘束していた月下達は光に怯え、悲鳴を上げる。
「!…月下達の力が弱まった……」
「炎華琰蹴!!!」
自身の月下と天道の月下を慌てて力で消す煌に、天道は怪訝な表情を浮かべた。
「……なんの真似だ。」
「お前、力使ってないだろうな?」
「力?…先程、愛を守る時に使ったが?」
「はあ!?お前馬鹿かよ!!!」
「馬鹿はお前1人で十分だろう…………」
「っ……じゃあその馬鹿から忠告してやるよ!!。お前、力使ったら死ぬんだぞ!?」
「…そうか、それが私の呪縛の正体か───」
しかし天道は口角を上げて、構わず自身の力を使い、愛に襲いかかろうとした残りの月下を倒す。
「煌、私は死なない。私は、生きる意味を見つけた────」
「生きる…意味?」
「私は、愛が好きだ───」
「えっっっっ!!?」
「なっっっっ!!?」
「好きな者に口付けをしないまま、死ぬ訳にはいかんだろう」
天道が愛を抱き寄せると、愛のレイピアが反応し、天道の体は光に包まれた。
パリン──────!!
と、何かが割れる音。
愛は違和感を感じた。自分と背丈が同じくらいの人物に抱き寄せられていた筈なのに、顔に当たるのはガッチリとした胸板だったのだ。顔を上げると、身長が15cm以上伸びた
大人びた顔付きの天道が、優しく微笑んでいた。
「て、天道……?」
。
。
「何…………」
月明かりの下に佇む美しい青年───ツクヨミは、眉間に皺を寄せた。
「……我の呪縛を解くとは───」
「へぇ~!この天道ってヤツ、自分で呪い解いたのかよ」
「……この呪いは強力な筈だ。……何故───」
「……って事は、自分の世界でも生きようとしたって事だよな?」
「……生きる意味───を、見つけたと?」
「そーゆことじゃねーの?。……勝手だよなあ───死のうとして、自らあっちの世界に行ったクセに……」
「……────だが、光は闇に呑まれやすい。天道も、結局は闇に呑まれて消えていく。……アマテラスの御神体を持つ者全員な」
「───兄さん……、機嫌悪いね」
スサノオはツクヨミに口付けをし、ツクヨミの唇をペロリと嘗めた。
「大丈夫だよ……───オレが、殺してやるから。依代も御神体もこの世界も全部……」
玉座の下は大きな地下道となっており、このまま進むと外に出られるとの事だった。
松明をもったアダンは振り返り、胸に手を当て、皇子に頭を垂れた。
「我々は貴方を御守りするのが役目ですから」
「…感謝する、アダン。」
『安心するのはまだ早いです。煌ちゃんを何とか助け出さないと……』
『然し、我々に出来る事と言ったら……』
「………助けに、行かなきゃ」
「愛……」
「私、煌を助けに行かなきゃ…!。私のせいで……、衛兵さんも……ッ───」
「───衛兵は刺されていたが……、幸い急所は外されていた。……それに、煌は…、あれでもアマテラスの加護を受ける者、死にはしない」
「皇…子様……」
「だから、泣くな」
天道は愛を優しく抱き寄せ、額に口付けをする。
(!!……)
「元気が出る、おまじない…。そして、飛び切りの愛を…お前に。」
「え……」
「私が、煌を助けに行く。」
「皇子、それは危険です。貴方は、外に出る事は叶わない。そんな状態で真面に力を使える筈が……」
「だからと言って……、黙って見ている訳にも行かない。それに、同じ男として……───彼奴にだけは負けられない!!。」
メラメラと、皇子の髪の毛が真っ赤に燃え上がり、その髪は植物へと変化し、軈て綺麗な向日葵と薔薇を咲かせた。愛は驚愕した。
「お、皇子様!?か、髪が!!」
「これが、アマテラスから授かった…──私の力だ」
皇子は掌に燃え上がるような色をした弓を生み出した。
「……愛、私とお前は会って間も無い。この妃オーディションは、お前を捜す為に開いたものだったが……気が変わった。」
気配を感じた。
邪悪で───何処か哀しみを背負った
愛が振り返るとそこには
『ヨリシロ……コロス』
「月下…!!」
そして─────
「向日葵薔薇狙撃者」
皇子が1本 髪の毛を抜くと、向日葵と薔薇が混ざった矢へと変化した。その矢は愛の背後にいた月下に命中し、月下はこの間と同じようにそのまま灰となり、消えてしまう。
「お前を、私の妃として正式に迎える。
「き、妃って!!?…お、皇子様それは───」
「天道と呼べ。煌と平等にしてもらわないとな……」
愛は頬を両手で抑える。その頬の火照りと連動するかのように、背負っていたレイピアから強い光が放たれる。
「!…愛!!!……」
天道が咄嗟に愛の腕を掴む。更に光が増し────
「きゃあああーーーーーー!!!」
「くっ……!───愛!!!」
そのまま愛と天道は光に包まれ、消えてしまった。
。
。
愛達を逃がした後、煌は
月神の一族・コヨルシャウキと一戦を交える────はずが……
「コヨルシャウキちゃんって可愛いねーーー!!、歳、いくつ?」
「な、なんなんですの!!このナンパ男!!」
「はっはっはっ!、オレは世界中の女の子を平等に愛するイケメンさっ」
悪い癖が出ていた。
「だから……攻撃しないのか───」
「女の子は殴りたくねぇの。敵であろうともな」
「…随分なお人好しですわねぇ…。そうこうしてるうちに、依代が殺されるかもしれないと言うのに?。お前は、あの娘を無事に逃がしたと思い込んでるみたいだが……──残念だったねぇ……今頃、月下に殺されているだろうよ。」
「……それはどうかねぇ」
「何?」
「クソ気に食わねぇけど、オレと同等の力を使える、チビ皇子がいるんでね」
コヨルシャウキは俯き、肩を震わせた。
「……ふっ……ふふふ、あはははは!!!───…お愛でたいアタマしてんねぇ……。あの皇子はもうすぐ死ぬ─────」
「!?……何だと」
「皇子はねぇ……、力を使うと死ぬように呪いが掛けられてんだよ……」
「何言ってんだ…!!、天道は…呪いの事で一言もそんな事は……」
「あはは!、当たり前だろう───皇子もこの呪いの真実は知らないさ…。ふふ……御神体の1つでも滅べば、太陽は二度と……照らす事は無くなる。ツクヨミ様も嘸かしお喜びになるだろう。」
「お前……!」
「お前も今すぐ殺してy────」
カッ!!!!────────
コヨルシャウキの頭上から強烈な光が放たれ、ドスン!!!!────と、何かが落ちてくる音が響いた。
「いたたた………」
「…い、愛…大丈夫か?」
「だ、大丈夫………って、天道!?私を庇って下敷きに……!?」
「なんのこれしき……。お前に怪我が無くて良かった」
「…あ、あのさ……」
「あ、煌!!生きてたのね!……」
「お前達の下にさ……、その~……」
「「え?」」
恐る恐る、愛と天道は下を見る。そして……完全にペシャンコになったコヨルシャウキ。
「きゃあああ!?だ、大丈夫ですか!?」
「す、すまない……。どおりで衝撃が少ないわけだ」
「───…き、貴様ら……!!!───ああ!?アタシの一張羅と髪型が……!!!」
何処から出したのか、手鏡を見て、ボロボロになった自身の姿に、コヨルシャウキは眼に涙を浮かべ
「こんな姿じゃ………ツクヨミ様に嫌われちゃうじゃない!!!うわああああああんっっっ!!!!!泣」
小さな少女のように泣きじゃくるコヨルシャウキに、愛達は困惑した。泣き止ませようと愛はハンカチを手にグルグルとコヨルシャウキの周りを回る。
「な、泣かないでください!……このハンカチで涙を!!」
「お、おい愛!、そいつはお前を殺そうと…」
「不用意に近付いてはならぬ!」
「それでも……、泣いてる人を放っておく事は出来ない。───本当に、ごめんなさい。」
「っ……ぐすん、……何…いい子ちゃんぶってるんですの……───絶対に……許しませんわ!!この借りは必ず……。────月下!!この者達を相手してあげなさい!!!」
『ギョイ……』
「……貴女の、その澄み切った中にあるモノを、グチャグチャにしてあげる」
コヨルシャウキは高笑いをしながら、黒い渦の中に消えてしまった。そして、月下達が一斉に煌と天道に襲いかかる。
「ぐっ……!!!」
「離せ!!」
「煌!…天道!」
「っ……駄目だ、力が……」
「愛……!!、お前だけでも逃げろ!!」
「そ……そんな……!!」
『サセナイ────ヨリシロハコロス───コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス』
コ ロ シ テ ヤ ル
一体の月下は体から触手のような物を生み出し、愛に襲いかかる。その触手は愛の体を束縛し、体の自由を奪った。
「!!……っ……い、いやああああ!!」
「愛!!……ッ……クソッ!!!離せこの化け物が!!!」
「愛!!!……」
『オマエヲコロス!!』
(く…苦しい……体の自由が効かない………、怖い……怖いよ……!!)
『ヨワイヨワイ オマエノ ココロ』
「!……っ」
弱い心─────
それはいつだって、障害となっていた物。
(私は……弱い───そうだ、今だって、何もできない)
『コロシテヤル』
(心のどこかで、誰かに対して……───自分に対して思ってたこと)
どうやったら強くなれるの?
どうやったら、煌と天道を……此処に居る皆を守れるの?
「守り……たい」
『マモレナイ』
「守りたい……皆を────」
『オマエニナニガデキル』
「もう……逃げたくない」
『ヨワイクセニ!!シネ!!』
「う…!!あああああっ!!」
(体が強く締め付けられる。
痛い───苦しい───
でも………───────)
「みんなを……っ……守りたい!!!!!」
カッ!!!──────────
愛の気持ちに反応するかのように、レイピアは強い輝きを放ち、その光は月下を斬り裂いた。
煌達を拘束していた月下達は光に怯え、悲鳴を上げる。
「!…月下達の力が弱まった……」
「炎華琰蹴!!!」
自身の月下と天道の月下を慌てて力で消す煌に、天道は怪訝な表情を浮かべた。
「……なんの真似だ。」
「お前、力使ってないだろうな?」
「力?…先程、愛を守る時に使ったが?」
「はあ!?お前馬鹿かよ!!!」
「馬鹿はお前1人で十分だろう…………」
「っ……じゃあその馬鹿から忠告してやるよ!!。お前、力使ったら死ぬんだぞ!?」
「…そうか、それが私の呪縛の正体か───」
しかし天道は口角を上げて、構わず自身の力を使い、愛に襲いかかろうとした残りの月下を倒す。
「煌、私は死なない。私は、生きる意味を見つけた────」
「生きる…意味?」
「私は、愛が好きだ───」
「えっっっっ!!?」
「なっっっっ!!?」
「好きな者に口付けをしないまま、死ぬ訳にはいかんだろう」
天道が愛を抱き寄せると、愛のレイピアが反応し、天道の体は光に包まれた。
パリン──────!!
と、何かが割れる音。
愛は違和感を感じた。自分と背丈が同じくらいの人物に抱き寄せられていた筈なのに、顔に当たるのはガッチリとした胸板だったのだ。顔を上げると、身長が15cm以上伸びた
大人びた顔付きの天道が、優しく微笑んでいた。
「て、天道……?」
。
。
「何…………」
月明かりの下に佇む美しい青年───ツクヨミは、眉間に皺を寄せた。
「……我の呪縛を解くとは───」
「へぇ~!この天道ってヤツ、自分で呪い解いたのかよ」
「……この呪いは強力な筈だ。……何故───」
「……って事は、自分の世界でも生きようとしたって事だよな?」
「……生きる意味───を、見つけたと?」
「そーゆことじゃねーの?。……勝手だよなあ───死のうとして、自らあっちの世界に行ったクセに……」
「……────だが、光は闇に呑まれやすい。天道も、結局は闇に呑まれて消えていく。……アマテラスの御神体を持つ者全員な」
「───兄さん……、機嫌悪いね」
スサノオはツクヨミに口付けをし、ツクヨミの唇をペロリと嘗めた。
「大丈夫だよ……───オレが、殺してやるから。依代も御神体もこの世界も全部……」
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