旅人プラリネと殺人鬼シャルロットの旅

逢坂美羽

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第4話 テリーヌの街

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 僕とシャルロットは、朝起きてから、テリーヌの街を知るために酒場の方に向かっていた。テリーヌの街は、活気に溢れているけれど、活気に溢れている分、裏路地などに食べ物に困っている人たちがたくさん座っていた。助けてあげたいけれど、僕には、助けられるほどの力が無いので、通りすぎるしかなかった。

 「プラリネ、あの子達を助けたいって思ったでしょ?」
 「助けたいと思ってもその場凌ぎにしかならないからね...僕には、助けれらないよ」

 僕は、下を向いて歩いていた。

 「私がやったみたいに国を壊せば救える命が増えるかもね…」

 シャルロットは、不敵な笑みを浮かべて僕の事を見ていた。

 「それは、駄目だよ…良い策とは、言えないと思う。シャルロットの思ってるほど、国自体は、独裁という訳では、無さそうだし。一部の貴族は、違うけれど、生きていれば生活に差がつくのは、不思議な事じゃ無いと思う。」
 「ふーん」

シャルロットは、つまらなさそうな顔をしていた。

 
 僕達は、酒場についていた。僕は、一応表の依頼と裏の依頼を両方確認するようにしている。昨日、シャルロットが言っていた。僕を暗殺するという高額依頼は、確かにあった。普通に出歩いていたので、少し不味いと思った。

 「プラリネ、大丈夫だよ。私が幻影魔術を掛けてるから、別の人にしか見えないから」

 シャルロットは、本当に気が利く子だと思った。

 「シャルロットありがとう」
 「別にお礼の言われるほどの事は、してないよ。プラリネと行動を共にするんだから障害が出ないようにするのは、普通でしょ?」
 「それでもありがとう」

 僕は、一通り依頼を見てから、人探しをして欲しいという依頼を手に取っていた。

 「プラリネ、その依頼は、報酬が安いけど良いの?」
 「シャルロットと最初にする依頼だから、これくらいで良いんじゃないかなと思ってね。」


 そして、依頼主の話を聞くことにした。依頼の内容は、母親が娘と喧嘩して娘が飛び出してしまい、二時間ほど探しているが見つからないから見つけて欲しいという物だった。街も入り組んでいるので、見つけにくいのも無理も無い。

 「プラリネ、どうやって探すつもり?闇雲に探しても迷子の子が動いていれば、ほぼ会えないと言っても良いよ」
 「まあ、ちょっと待ってよ」

 僕は、目を閉じて深く集中して母親の気配に似ている娘の気配を探していた。

 「おーい、プラリネ.....目を閉じていても見つけられないと思うけどなー」
 「見つけた」
 「そんなので見つかる訳ないでしょ…冗談は、やめてよ」


僕は、シャルロットの手を引いて気配を察知した場所に走っていた。五分ほど離れた所で娘さんは、座っていた。

 「お母さんが心配しているから帰ろ?」
 「うん...」

 娘さんは、素直に僕と手を繋いでいてくれたので、素早く母親の元に送る事が出来た。こんなにあっさりと見つけられると思っていなかったのか、母親は、びっくりしていて、報酬を少し弾んでくれていた。


 「ねぇ、プラリネ、私も殺し屋だから気配察知くらいは、普通に出来るけど、どんな人かを正確に特定するのは、普通の人では、ほぼ無理なんだよね...」

  シャルロットは、不満そうな目で僕を見ていた。

 「僕は、戦闘経験が少し多いだけだよ」

少し僕が誤魔化したのか気に入らなかったのか、シャルロットは、凄くイライラしていた。

 「何か私、ちょっとイライラしたから、別行動するから。また宿でね」



 シャルロットの機嫌を悪くしたのか、一人で何処かに歩いて行った。僕は、引き続き依頼を受けるために酒場に行って魔物を討伐する依頼を受けて、昨日の森に魔物を倒しに行く事にした。


 イノシシの魔物を十匹倒す依頼だった。簡単な依頼なのですぐに終わって、テリーヌ街に帰ると、街の方が少し騒がしかったので、近くに行くと酒場の外でシャルロットが貴族と言い合いになっていた。

 「私は、普通にお酒を飲んでいたのにそっちが勝手に声を掛けてきて、急に体を触ってきたんだろ」
 「小娘黙れ、ただの冒険者風情が胸を触られたくらいでうるさいわ」

 貴族と揉めるのは、今後の事もあるからあまり良くないから止めようとしていると周りの野次馬が邪魔でシャルロットの方に近付く事が出来なかった。

 シャルロットの目つきが急に変わり貴族を殺そうとしているのか槍を手に持った瞬間に貴族の護衛が魔法でシャルロットの動きを封じた後に腕に魔法が使えなくなる拘束具をつけられて、槍を取り上げられて、シャルロットの幻術魔法も解けていた。



 「へぇー幻術魔法の姿も美人だったが、本物の姿は、より美人じゃないか」
 「よく見るとお前は、国王殺害で指名手配されているパネトーネ・シャルロットじゃないか」

魔法が使えない状態なのにシャルロットは、笑っていた。

 「まあ良い、シャルロットお前を私が直々に処罰してやる。取り敢えず私の家に連れて行け」
 「おじさんに私を裁く権利は、無いと思うんだけどな」

シャルロットは、抵抗せずにそのまま貴族のおっさんの家に連れて行かれていた。

 ▲◆▼★■


 私は、貴族に連れていかれた後に大体何をされるのかは、予想は、ついていた。

 「シャルロット、私に仕える気は、無いか?良い思いをさせてやるぞ」

 おっさんの顔は、私の体を舐めまわすように見ていた。女だから仕方ないのかもしれない...

 「お前に仕えるなら、死んだほうがましだ」

 唾を貴族のおっさんの顔に向かって吐いていた。おっさんの口の周りにベッタリと私の唾がついていた。

 「そんな目で見られるとゾクゾクするな」

 おっさんは、口の辺りに私の唾がついたのを拭き取るのでは、無くて舐めてニヤニヤして全部飲み込んでいたので、気持ち悪すぎて、寒気がしていた。


 おっさんは、私の方に近付いて来て、服を破いてきていた。予想をしていた事だったので、動揺する事すらも無かった。

 「結局、そういう事したいだけか。まあ仕方無いか。魔法か槍が使えたら今すぐにでも殺してるのに...」
 「何も出来ない状況で何を言っても無駄だ」


 私は、抵抗する事も無駄だと思い。抵抗しないでいるとおっさんは、私の体を舐めたり触ったりしていた。一通り満足したのか、おっさんは、自分のズボンを下げて私の口に自分のを咥えさせようとしていた。



 すると、私が捕まっている部屋の扉が吹っ飛んでいった。プラリネが凄く怒っているのが一目で分かった。

 「プラリネ、どうして来たの?貴族に逆らうと色々と困るから私なんか放っておけば良かったのに、付き合い短いんだから…」
 「私なんかって言うなよ...僕は、君と居た数日は、本当に楽しかったから、助けたいと思ったし、僕達は、仲間だろ?」

 シャルロットは、不安そうな顔をしていた。僕は、不安を打ち消して貰う為にニコっとシャルロットに笑顔を見せた後に貴族を睨んでいた。


 「誰か知らんが…こんな事をして良いと思ってるのか?今後、生きづらくなるだけだぞ。この女をこのまま置いて行けば許してやるから」
 「どの口が言ってるんだ。屑が…」
 「護衛たち、口の聞き方すらも分かってないこのガキをを殺せ」

護衛の二人が僕に攻撃をしてきたので、すぐに気絶をさせていた。貴族は、びっくりした顔をしていた。

 
 「別に驚く事は、無いと思うけどな」
 「この国では、一番や二番目に強い奴だったんだぞ…」
 「じゃあ、この国には、強い奴が少ないだけじゃないのか?」

 貴族は、後ずさりながら逃げようとしていた。僕は、見逃す訳も無く、貴族の首を掴んで宙に浮かしていた。少しずつ力を強めては、弱める事を繰り返していた。

 「逃げるんじゃない。何かしなければいけない事があるんじゃないか?お前の返答次第では、殺す」
 「別に何もしてないだろ。貴族特権だ、女を捕まえて好きに遊んでから飽きたら捨てる事の何が悪い」

本当に何も反省してないようだったので手の力を段々と強めていった。

 「すまん…冗談だ…苦しい」
 「今までやった事を償えば許して貰えると思うか?」

 ここで、こいつがどう答えるかで僕は、殺すか決める事にした。

 「もちろんだ。許して貰えると思っている」
 「法で裁けない屑は、殺す」


 僕は、手の力をゆっくりと強めて貴族を殺していた。シャルロットの方を見ると、少し残念そうな顔をしているような気がした。シャルロットの拘束を解いてから、僕は、シャルロットに上着を着せていた。


 「プラリネ、助けてくれてありがとう。気ままに旅をするなら、何でこいつを殺しちゃったの?」

 正直、僕一人の旅ならこんな奴は、殺す事も無かったと思う。シャルロットにしようとしていた事とシャルロットが抵抗をしていない事の両方で凄く怒りの感情が抑えられなかった。


 「言わせて貰うけど、シャルロットは、可愛いんだから自分をもっと大切にしなよ。無理だと思っても抵抗は、正直して欲しかったよ。抵抗しようとせずに諦めた顔をしてたのも、僕は、怒ってるから。お願いだから自分を大切にして欲しい」

 僕が思った事を普通に言ったつもりだけど、シャルロットの顔が真っ赤になっていた。言った後に僕の言った事は、女たらしみたいかもと思ったけど、深く考えれば僕も恥ずかしくなりそうなので、すぐに考えるのを止めていた。 

 僕が貴族を殺してしまったので、僕たちは、逃げなければいけない。戦争であれば、人を殺せば英雄だけど、戦争の起きていない状態で人を殺せば、ただの罪人なので、出来るだけ証拠を消してから、僕は、シャルロットを連れて逃げる事にした。屋敷から出て、走っていると。

 「プラリネって追われてたんじゃなかったけ?」
 「軍を勝手に抜けたら勝手に終われるようになっただけだよ…まあ、落ち着いた場所で話すよ」
 「分かった」


 テリーヌの街から出ようかとシャルロットに提案すると、幻術魔法があるからあと少しくらいは、大丈夫だと言われて、少しだけテリーヌの街に滞在することに決めた。
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