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七話
嫉妬そしてキス
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颯太は慌てて、羅瑠璃の口を押さえる。
「小林さん、これは本当に違うんだ! 預かってるだけというか……」
弁解しようとするも、羅瑠璃は颯太の手を振り払う。
そして颯太の前に出て、小林愛美にビシッと指差す。
「おい、お前! 僕は今、颯太とデートしているんだ」
「えぇ……ごめんなさい。お邪魔しちゃったみたいで。私、これで失礼するね。本当にごめんなさい」
小林愛美は目を大きく開き、羅瑠璃を見つめた。
颯太は、片思い中の小林愛美に羅瑠璃と恋人だと思われたことがショックだった。
(あ~あ、俺の恋が……去っていく……)
小林愛美が去っていく後ろ姿を、呆然と見つめていた颯太は大きくため息をつく。
「はぁ……」と、ため息をもらす颯太の顎を、羅瑠璃は指でクイっと上に持ち上げる。
「なんだよ?」
不機嫌な顔で見る颯太を無視して、羅瑠璃は顔を寄せて頬にチュッとキスをした。
「……なっ⁉︎」
「唇にして欲しかったか? けど、ダメだぞ」
無邪気に笑う羅瑠璃を見て、怒る気持ちも失せてしまう。
「子供みたいな事するなよ。それに、羅瑠璃と恋人になるとか俺は言ってないぞ」
羅瑠璃はムッとして言い返す。
「なんだ? 颯太は僕のことが嫌いなのか?」
「いや……そういうわけじゃ……でもっ! さっきの小林さんに対する態度は失礼だろ。嫌われたらどうしてくれるんだよ」
「別に、僕は嫌われても構わない」
「俺はかまうの!」
羅瑠璃は不満げに言う。
「じゃあ、どうしたら僕の事を愛するんだ? いつ恋人になってくれるんだ?」
(まったく……)
颯太は心の中でボヤきながら答える。
「そもそも俺たちは男同士だし、恋愛対象外だ」
すると羅瑠璃はニッコリ笑い、いきなり爆弾発言をした。
「……颯太、器が小さい人間だな。僕がいた世界は性別は関係ない」
その言葉に思わず颯太の動きが止まった。
「えっ? い、いまなんて言った?」
「性別は関係ない。僕は颯太が好きだ」
「待て待て! 落ち着け。聞き間違いだよな? じゃなくて、俺は女性が好きだ。恋愛対象は女の子だって言ってるだろ」
「だから?」と、羅瑠璃は首を傾げる。
(ダメだ、話が通じない)
羅瑠璃には、颯太が慌てている様子が不思議で仕方がない。
そんな羅瑠璃を見て、颯太は頭を抱えて悩んだ末……意を決して言うことにした──。
「その……お前の気持ちは嬉しいけど、やっぱり男同士だから……」
颯太が話している途中、今度は羅瑠璃の手が颯太の口を塞いだ。
「僕は人間が嫌いだ。でも、颯太は好きになった。魂が綺麗だから」
「えっ? 魂?」
羅瑠璃は颯太から手を離し、再び子供用のブランコへ誘う。
「だから、僕が言ったことに間違いはない。颯太が女だろうが男だろうが、僕は関係ない」
颯太は苦笑いしながら、羅瑠璃を諭そうとする。
「いやいや……そういう問題じゃ……」
しかし、羅瑠璃は話を聞かずブランコからピョンと降りて言う。
「ほらっ! 颯太、デートの続きをするぞ」
(はぁ……諦めるしかないのか?)
頭を抱える颯太を、羅瑠璃は強引にブランコまで引っ張る。
「ちゃんと僕を見ろ!」
「勝手な……」と、言いながら颯太は羅瑠璃が乗っている隣のブランコに座った。
「デートの続きだ」
(あぁ……早く帰りたい)
心の中でボヤく颯太のことなど気にせず、羅瑠璃は楽しそうにはしゃいでいる。
そんな姿を見て、颯太はつい笑ってしまう。
(まぁいいか……そのうち諦めるだろ。小林さんには明日、誤解だって言えばいいよな)
それから公園で遊ぶこと数十分、羅瑠璃は地面に倒れ込んでいた。
「……もう動けない。でも、まだデートしたい」
「ブランコで何時間、遊んだと思ってんだ? もう帰るぞ」
羅瑠璃はゆっくりと起き上がり、ぶすっと口を尖らす。
「颯太、嫌な言い方! 帰る!」
拗ねた羅瑠璃は、颯太に背を向けてトボトボと歩き出した。
そんな後ろ姿を見て、颯太は羅瑠璃の後ろ姿に向かって言う。
「おいっ! 羅瑠璃!」
振り返った羅瑠璃に、颯太は手を差し出した。
「また公園に遊びに来たいだろ? 手を繋いだら恋人だと思われるぞ」
(しまった……つい言ってしまった)
だが、素直に羅瑠璃は差し出された手に指と指を絡ませ握る。
そのまま、二人で歩き出してから颯太は気づいた──。
(恋人繋ぎ……か)
手を繋ごうと言ったのは自分だが、まさか恋人繋ぎになるとは思わなかった。
二人で無言で歩き続けていると、羅瑠璃が急に立ち止まったので颯太も立ち止まる。
「颯太」
「どうした?」
「……あの女が好きなのか?」
「またか、しつこい。何を言わせたいんだよ」
羅瑠璃は真剣な顔で颯太を見つめた。
「答えろ」
「う~ん……そうだな。まぁ、好きかな?」
(こうなったら、羅瑠璃には正直に言った方がいいよな)と、颯太は決心する。
羅瑠璃は眉間に皺を寄せ、颯太を睨んだ。
そんな視線から逃げるように顔を背ける颯太だが、羅瑠璃に両頬を挟まれ強引に顔を向き合わされる。
「そうか。わかった」
(なんだよ? いきなり機嫌悪くなりやがって)
不機嫌な様子の羅瑠璃を見て、颯太は思いきって聞いてみる。
「お前、なんでそんなに怒ってるんだよ?」
すると、羅瑠璃は怒った表情のまま言い放った──。
「うるさい黙れ! 僕の方が愛してるし、あの女よりも可愛いからな!」
「…………お前、本気で言ってんのか? 百歩譲って男同士とか関係なく言うぞ。俺ら出会ってそんなに経ってないし、羅瑠璃が人間ではないってこと以外は何も知らない。それで、好き好きとはならないだろ?」
「そんなことない!」
羅瑠璃はプルプルと震えだし目から涙が溢れて流れ落ちる。
そんな姿を見て颯太は慌てて、羅瑠璃の涙を拭いながら言った。
「なんで泣くんだよ。帰ったらフレンチトースト作ってやるから泣くな。食べながらゆっくり話そう」
例え、相手が人間ではなくても、ワガママで自分勝手でムカつく奴でも泣いている姿は見たくない。
それは颯太の本心だった。
羅瑠璃は泣きながら頷いた。
二人は手を繋いだまま帰路につく──。
そんな後ろ姿を見守るように、輝く月が静かに雲の間から顔を出したのだった。
──アパートへ戻った颯太は、早速フレンチトーストの準備をする。
卵を割り牛乳に砂糖を入れて混ぜていると、羅瑠璃が背後から抱きついた。
「うわっ!」
思わず、材料を混ぜているボウルを落としそうになるほど驚いた颯太だが、なんとか持ち直して言う。
「お前なぁ~急に抱きつくなよ」
羅瑠璃は颯太の首に回した腕に力を込めた。
「……グェッ! 苦しい……首絞まってる……」
そんな言葉を気にも止めず、羅瑠璃は颯太に言う。
「颯太、あの女とセックスするのか?」
「また、なんでそうなるんだよ。ていうか、あの女じゃなくて小林さんだ。一体、そんな言葉をどこで覚えたんだか。閻魔大王のパパに舌を抜かれちゃうぞ」
「パパは関係ない! 僕の質問に答えろ」
(なんなんだ……)と、呆れながら颯太はフレンチトーストを焼き始める。
その間に、猫用のミルクを飲まない羅瑠璃の為にミルクティーの準備もした。
「で、なんだって?」
「だから、あの女とセックスするのか?」
(こいつの親は何を教えてんだ? ……そもそも本当に閻魔大王が親なのか?)
そう思いながら颯太は答えた。
「それは羅瑠璃に関係ないことだろ? それに俺が一方的に小林さんを好きなだけであって、そんなのは夢のまた夢だ」
「僕は、あの女より可愛いはずだ!」
「はいはい。だけど、お前は男だし第一女性じゃないだろ。俺の恋愛対象は女性だって言っただろ」
しかし、羅瑠璃は聞いていないのか独り言を言い出した。
「あの女を消さないと……」
そんな物騒な独り言が聞こえた颯太は、フライパンの火を止めた。
「ちょっと待った! なに物騒なこと言い出すんだよ。もう、やめやめ! 小林さんの話は終わりだ。それより羅瑠璃、皿を出して」
羅瑠璃は首を傾げながら食器棚から皿を取り出す。
「ミルクティーを淹れるから、カップも二つ準備してくれ」
出来上がったフレンチトーストとミルクティーをリビングのテーブルに置いて、二人はソファに座る。
それから羅瑠璃がいつの間にか食べ終わっていたようで、颯太の顔をじっと見つめていた。
「ん? 俺の分も食うか?」
すると、羅瑠璃は首を振りながら言う。
「違う……僕はお腹空いっぱいだ」
「そうなのか?」と、颯太が聞き返している隙をつき、羅瑠璃は颯太に抱きついて、唇を颯太の唇に押しつけた。
唇を離すと、今度は颯太の頬を舐める。
「ちょっ……やめろって!」
しかし、それでも羅瑠璃は舐めるのをやめない。
仕方なく、颯太は優しく頭を撫でて止めるのを待った。
(いくら何でも、これはダメだろ)
本気で自分を好きになってそうな羅瑠璃を見て、颯太は戸惑う。
「小林さん、これは本当に違うんだ! 預かってるだけというか……」
弁解しようとするも、羅瑠璃は颯太の手を振り払う。
そして颯太の前に出て、小林愛美にビシッと指差す。
「おい、お前! 僕は今、颯太とデートしているんだ」
「えぇ……ごめんなさい。お邪魔しちゃったみたいで。私、これで失礼するね。本当にごめんなさい」
小林愛美は目を大きく開き、羅瑠璃を見つめた。
颯太は、片思い中の小林愛美に羅瑠璃と恋人だと思われたことがショックだった。
(あ~あ、俺の恋が……去っていく……)
小林愛美が去っていく後ろ姿を、呆然と見つめていた颯太は大きくため息をつく。
「はぁ……」と、ため息をもらす颯太の顎を、羅瑠璃は指でクイっと上に持ち上げる。
「なんだよ?」
不機嫌な顔で見る颯太を無視して、羅瑠璃は顔を寄せて頬にチュッとキスをした。
「……なっ⁉︎」
「唇にして欲しかったか? けど、ダメだぞ」
無邪気に笑う羅瑠璃を見て、怒る気持ちも失せてしまう。
「子供みたいな事するなよ。それに、羅瑠璃と恋人になるとか俺は言ってないぞ」
羅瑠璃はムッとして言い返す。
「なんだ? 颯太は僕のことが嫌いなのか?」
「いや……そういうわけじゃ……でもっ! さっきの小林さんに対する態度は失礼だろ。嫌われたらどうしてくれるんだよ」
「別に、僕は嫌われても構わない」
「俺はかまうの!」
羅瑠璃は不満げに言う。
「じゃあ、どうしたら僕の事を愛するんだ? いつ恋人になってくれるんだ?」
(まったく……)
颯太は心の中でボヤきながら答える。
「そもそも俺たちは男同士だし、恋愛対象外だ」
すると羅瑠璃はニッコリ笑い、いきなり爆弾発言をした。
「……颯太、器が小さい人間だな。僕がいた世界は性別は関係ない」
その言葉に思わず颯太の動きが止まった。
「えっ? い、いまなんて言った?」
「性別は関係ない。僕は颯太が好きだ」
「待て待て! 落ち着け。聞き間違いだよな? じゃなくて、俺は女性が好きだ。恋愛対象は女の子だって言ってるだろ」
「だから?」と、羅瑠璃は首を傾げる。
(ダメだ、話が通じない)
羅瑠璃には、颯太が慌てている様子が不思議で仕方がない。
そんな羅瑠璃を見て、颯太は頭を抱えて悩んだ末……意を決して言うことにした──。
「その……お前の気持ちは嬉しいけど、やっぱり男同士だから……」
颯太が話している途中、今度は羅瑠璃の手が颯太の口を塞いだ。
「僕は人間が嫌いだ。でも、颯太は好きになった。魂が綺麗だから」
「えっ? 魂?」
羅瑠璃は颯太から手を離し、再び子供用のブランコへ誘う。
「だから、僕が言ったことに間違いはない。颯太が女だろうが男だろうが、僕は関係ない」
颯太は苦笑いしながら、羅瑠璃を諭そうとする。
「いやいや……そういう問題じゃ……」
しかし、羅瑠璃は話を聞かずブランコからピョンと降りて言う。
「ほらっ! 颯太、デートの続きをするぞ」
(はぁ……諦めるしかないのか?)
頭を抱える颯太を、羅瑠璃は強引にブランコまで引っ張る。
「ちゃんと僕を見ろ!」
「勝手な……」と、言いながら颯太は羅瑠璃が乗っている隣のブランコに座った。
「デートの続きだ」
(あぁ……早く帰りたい)
心の中でボヤく颯太のことなど気にせず、羅瑠璃は楽しそうにはしゃいでいる。
そんな姿を見て、颯太はつい笑ってしまう。
(まぁいいか……そのうち諦めるだろ。小林さんには明日、誤解だって言えばいいよな)
それから公園で遊ぶこと数十分、羅瑠璃は地面に倒れ込んでいた。
「……もう動けない。でも、まだデートしたい」
「ブランコで何時間、遊んだと思ってんだ? もう帰るぞ」
羅瑠璃はゆっくりと起き上がり、ぶすっと口を尖らす。
「颯太、嫌な言い方! 帰る!」
拗ねた羅瑠璃は、颯太に背を向けてトボトボと歩き出した。
そんな後ろ姿を見て、颯太は羅瑠璃の後ろ姿に向かって言う。
「おいっ! 羅瑠璃!」
振り返った羅瑠璃に、颯太は手を差し出した。
「また公園に遊びに来たいだろ? 手を繋いだら恋人だと思われるぞ」
(しまった……つい言ってしまった)
だが、素直に羅瑠璃は差し出された手に指と指を絡ませ握る。
そのまま、二人で歩き出してから颯太は気づいた──。
(恋人繋ぎ……か)
手を繋ごうと言ったのは自分だが、まさか恋人繋ぎになるとは思わなかった。
二人で無言で歩き続けていると、羅瑠璃が急に立ち止まったので颯太も立ち止まる。
「颯太」
「どうした?」
「……あの女が好きなのか?」
「またか、しつこい。何を言わせたいんだよ」
羅瑠璃は真剣な顔で颯太を見つめた。
「答えろ」
「う~ん……そうだな。まぁ、好きかな?」
(こうなったら、羅瑠璃には正直に言った方がいいよな)と、颯太は決心する。
羅瑠璃は眉間に皺を寄せ、颯太を睨んだ。
そんな視線から逃げるように顔を背ける颯太だが、羅瑠璃に両頬を挟まれ強引に顔を向き合わされる。
「そうか。わかった」
(なんだよ? いきなり機嫌悪くなりやがって)
不機嫌な様子の羅瑠璃を見て、颯太は思いきって聞いてみる。
「お前、なんでそんなに怒ってるんだよ?」
すると、羅瑠璃は怒った表情のまま言い放った──。
「うるさい黙れ! 僕の方が愛してるし、あの女よりも可愛いからな!」
「…………お前、本気で言ってんのか? 百歩譲って男同士とか関係なく言うぞ。俺ら出会ってそんなに経ってないし、羅瑠璃が人間ではないってこと以外は何も知らない。それで、好き好きとはならないだろ?」
「そんなことない!」
羅瑠璃はプルプルと震えだし目から涙が溢れて流れ落ちる。
そんな姿を見て颯太は慌てて、羅瑠璃の涙を拭いながら言った。
「なんで泣くんだよ。帰ったらフレンチトースト作ってやるから泣くな。食べながらゆっくり話そう」
例え、相手が人間ではなくても、ワガママで自分勝手でムカつく奴でも泣いている姿は見たくない。
それは颯太の本心だった。
羅瑠璃は泣きながら頷いた。
二人は手を繋いだまま帰路につく──。
そんな後ろ姿を見守るように、輝く月が静かに雲の間から顔を出したのだった。
──アパートへ戻った颯太は、早速フレンチトーストの準備をする。
卵を割り牛乳に砂糖を入れて混ぜていると、羅瑠璃が背後から抱きついた。
「うわっ!」
思わず、材料を混ぜているボウルを落としそうになるほど驚いた颯太だが、なんとか持ち直して言う。
「お前なぁ~急に抱きつくなよ」
羅瑠璃は颯太の首に回した腕に力を込めた。
「……グェッ! 苦しい……首絞まってる……」
そんな言葉を気にも止めず、羅瑠璃は颯太に言う。
「颯太、あの女とセックスするのか?」
「また、なんでそうなるんだよ。ていうか、あの女じゃなくて小林さんだ。一体、そんな言葉をどこで覚えたんだか。閻魔大王のパパに舌を抜かれちゃうぞ」
「パパは関係ない! 僕の質問に答えろ」
(なんなんだ……)と、呆れながら颯太はフレンチトーストを焼き始める。
その間に、猫用のミルクを飲まない羅瑠璃の為にミルクティーの準備もした。
「で、なんだって?」
「だから、あの女とセックスするのか?」
(こいつの親は何を教えてんだ? ……そもそも本当に閻魔大王が親なのか?)
そう思いながら颯太は答えた。
「それは羅瑠璃に関係ないことだろ? それに俺が一方的に小林さんを好きなだけであって、そんなのは夢のまた夢だ」
「僕は、あの女より可愛いはずだ!」
「はいはい。だけど、お前は男だし第一女性じゃないだろ。俺の恋愛対象は女性だって言っただろ」
しかし、羅瑠璃は聞いていないのか独り言を言い出した。
「あの女を消さないと……」
そんな物騒な独り言が聞こえた颯太は、フライパンの火を止めた。
「ちょっと待った! なに物騒なこと言い出すんだよ。もう、やめやめ! 小林さんの話は終わりだ。それより羅瑠璃、皿を出して」
羅瑠璃は首を傾げながら食器棚から皿を取り出す。
「ミルクティーを淹れるから、カップも二つ準備してくれ」
出来上がったフレンチトーストとミルクティーをリビングのテーブルに置いて、二人はソファに座る。
それから羅瑠璃がいつの間にか食べ終わっていたようで、颯太の顔をじっと見つめていた。
「ん? 俺の分も食うか?」
すると、羅瑠璃は首を振りながら言う。
「違う……僕はお腹空いっぱいだ」
「そうなのか?」と、颯太が聞き返している隙をつき、羅瑠璃は颯太に抱きついて、唇を颯太の唇に押しつけた。
唇を離すと、今度は颯太の頬を舐める。
「ちょっ……やめろって!」
しかし、それでも羅瑠璃は舐めるのをやめない。
仕方なく、颯太は優しく頭を撫でて止めるのを待った。
(いくら何でも、これはダメだろ)
本気で自分を好きになってそうな羅瑠璃を見て、颯太は戸惑う。
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