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8 誕生日プレゼント
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こんなハイテンションにする気は無かった。
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ジルと約束してから一週間たった。今日は私の誕生日です!ヤホーイ!いつでも誕生日っていうものは楽しみだな。プレゼントが一番の楽しみだ。何くれるんだろうな~。前なんていつも1人誕生日だったからな…シクシク。
そう内心でワクワクしながらリビングに入ると
「「リナ、誕生日おめでとう!」」
お父様とお母様がいた。そしてテーブルの上にはケーキが。
「うわぁ!」
「どうだ?すごいだろ?」
「すごい!お父様!お母様!大好き!!」
そう言って飛び込むと、お父様の顔が崩れて、へにゃってなった。お父様は私に甘い。お父様が飴とすればお母様は鞭だ。
「そして、プレゼント…」
プレゼント!?
「の前に」
まだあんかい!!お母様。私はプレゼントが大好きでたまらないんだ!何が入っているのか分からないけからこそなおいい!それに前世ではもらったこと数えるほどしかないからね!
ちょっと自暴自棄になりそう…
「リナに話さないといけないことがある」
「私に?」
さっきまでの雰囲気が少し変わり、お父様の顔が真面目な顔になる。まぁ、柔らかい雰囲気はそんなに変わってないけどね。
「ああ、実はな、私たちは貴族だ」
「え?」
「公爵家…私達は貴族界ではあまり知られていない。上級貴族しか知らない公爵家だ」
「公爵家……ええええ!!?」
マジで!!いや、上級貴族ってことは知ってたよ。でもね、王家に近いと言われている公爵家!?マジで!?というか何故今?
「驚くのも無理ないか。しかも私達は王家を裏で支えているから表に出られない。下級貴族は全く知らない公爵家だ。けどその分他の公爵家よりは地位は高いだろう」
ま、マジで……あれ?乙女ゲーで…ああ!!!最後のあの一文!!ずっと謎に思って覚えてた一文!
[後の始末はあの公爵家がなんとかしてくれるよ]
攻略した対象が最後に言う言葉!あの公爵家……私の家族じゃねぇか!!あ、あれ?良く考えれば似たようなこともちらほら出てきたぞ?
「もうリナは5歳。この公爵家は継げないけど、貴族として生きていける。後継は弟に任せたからね」
「なんで?」
「私達の仕事は危険なことがいっぱいあるの。だからお父様は継がせたくないのよ」
なんと…娘思いなお父様。たしかに公爵家は継ぎたくない。仕事大変そう。略すとこの公爵家は国の依頼を遂行する暗殺一家。前世では一匹オオカミだったのに依頼に追われてた。それが一家ときたらどれだけか…
「リナ。因みにここは屋敷の離れだ。歩いて5分の所に本物の私達の家があるから。行くぞ」
「プレゼントもそっちにあるりますしね」
離れ……これは納得する。でも…これってなんだろう……不安で仕方がない…
× × ×
「ここよ」
お父様とお母様に手を引かれて歩くこと5分。でっかい豪華な洋風の屋敷の玄関にいる。お父様とお母様の手を握っている両手が震え、全身に伝わる。背中も冷や汗でびっしょり。
「お、お母様…本当に…ここ…?」
いや、これさ、見ただけなんだけど、横に飾ってある小さいモニュメント……あれだけでも高い匂いがする。ここでこれから過ごせと?周りの物が高すぎて今全身が震えてるんだけど…動いたら、足を踏み入れたら…日本の一般市民の泥を啜って生きてきた様な私には耐えられない!!いや、一般市民じゃないけどね!
「お、お父様…ここにあるものが…高そうで……さわれませんし…身動き取れません…」
「ははは!面白いこと言うな。壊してもそんなに金はかからない。まずはお前の部屋をプレゼントしよう」
金がかからないって…へ、部屋…というかさっきから使用人らしき人がチラチラいるんだけど…も、もしかして…ものすごいお金持ち…?こんな…こんな無駄なことに金使えるのは…前世では稼ぎは良かったけど、武器とかの仕入れに莫大な金額がかかるから、プライベートで使えるのは報酬の割に結構少なかったりする。
「ここだ」
連れてこられた部屋はピンクのお姫様の様な部屋………ではなく、私に合わせた目に良い色をしていて、落ち着いた部屋だ。高そうだが、置いているものも、想像してたのより少ないし、豪華じゃなく見える。
「いきなり豪華になっても居心地が悪いでしょ?」
「お、お母様……ありがとう!!」
こんな気を使ってくれるなんて!!お母様わかってるぅ!
「服も置いてある。それとこの部屋の隣」
お父様は部屋ある私が持っていた本が置いてある本棚の一つの本を押す。すると、本棚が動いて、通路が現れる。
「おお!凄い!」
「こういうの好きだろ?中はまだ何も置いてないけど、リナが完成させると良いよ」
なんと!自分で好きな部屋を作って良いと!やった!!これでなんか出来る!!いつも制限されてたし、黒蓮達と会うのもバレないように気を使ってたから!!やった!!
「目が輝いてるわよ。そんなに嬉しかったのね」
あったりっまえ!!そういえばケーキはもう食べている。美味しかった。でもスポンジはちょっと硬かったな。
「そうだ!アクセサリーも揃えて置いたぞ!」
お父様が指をさした方を見ると、化粧台の上とかに凄いたくさん宝石のついたアクセサリーがたくさん置いてあった。眩しい!!た、高そうだな…まぁ、ね、これでも控えめ…なの、かな?たまに見かける貴婦人?はゴテゴテだったしね。
「あ、ありがとう!!最高のプレゼントだよ!!」
「そうか、喜んでくれて父様嬉しいぞ!!」
「ええ、そうね。それで、リナ」
雰囲気がガラッと変わって重くなる。ワントーン低いお母様の声はよく響いた。
「な、何?」
「貴方の本当の姿を見せてくれないかしら?」
え?…な、なんで?
「ツヨミラ!」
「あなた、良い加減引きずりたくないの。リナ、私達は貴方が生まれた時に位の高い精霊様に会ったの。それで、貴方の色彩は珍しいから隠すと。けど、最初は、赤ちゃんの時は貴方の姿は覚えていたわ。けど段々貴方のいない時に貴方を思い出せなくなるの。自分の産んだ娘だと言うのに。これはもう精霊様のせいじゃないでしょ?貴方自身が隠している。そうとしか思えないの…」
し、知ってたんだ…違和感がないようにしたんだけどな……なんで、私はオッドアイなんかにしたんだろう……
「お母様…お父様………怖がらない?…捨てない?………気持ち悪がらない?」
捨てられた。前世で、親に捨てられた。暴力を振るわれた。罵倒され続けた。その記憶が蘇る。
『お前なんて産まなければよかった!』
『この化け物が!死ね!』
『私の子なんかじゃない!血なんて繋がっていない!!』
『邪魔だ!消えろ!!忌々しい!!』
『ば、バケモノ!!近づくな!!』
罵倒され続けた記憶。痛みの記憶。私を暗殺者にした記憶。
「何言ってるの?私達は貴方の親よ?愛しの娘がどんな姿であろうと、どんな姿になろうと、愛す自信はあるわ」
「ああ、当たり前だ。お前は俺たちの唯一の娘だ」
その言葉を聞いて、考えたことがどうでも良くなった。
嗚呼……なんだか暖かいな…この人達なら……お母様とお父様なら…受け入れてくれるかもしれない………
「わかった………解除………」
私を覆っていた魔力の膜が消えていく。目は金と銀に、肌はより、透き通る白に、髪は流れる銀に、毛先は魔力の濃さが光になり、揺らめく。そして、耳には黒い蝶のイヤリングか現れる。より、明確に顔が露わになる。
「これが…私本来の…姿」
まだ怖い。ああ言ってたけど、前例があるせいで、不安は拭えない。緊張のせいか、喉の水分が乾き、喉と喉が引っ付いてくるような気持ち悪い感覚に襲われる。私は両親の顔をまともに見れなかった。あの時は最初から認めてもらえると思っていたから…期待しないために…
そして、二人は私に手を伸ばす。思わず、肩を揺らしてしまう。
殴られるんじゃないか、突き飛ばされるんじゃないか、と。あの時のように。
けど、私は温もりに包まれた。前に、一度感じたことのある暖かさ。
両親は私を抱きしめてくれていた。
「馬鹿ね。こんなに綺麗なのに、私達が嫌うわけないじゃない」
「心配したのは、目の色か?そんなことはどうでも良いだろ。金の目はツヨミラの色と私の髪と同じじゃないか」
「きっと本で見たのでしょう?あなたは賢いし、絵本にも載っているもの。オッドアイの差別が。それが怖かったのでしょう?大丈夫、リナ。貴方はここにいても良いのよ」
「私………は…ここに…いても………いいの?」
「「当たり前よ(だ)」」
ここにいてもいい。
胸が暖かくなった。
認めてもらえた。
私がオッドアイを選んだ理由。もしかして、差別対象でも、異端でも、認めて欲しかったのかな?前では親に認めてもらえなかったから、今世で認めて欲しかったからなのか。異端を持っていても、認めてくれる人を見つけたかったからか。
前前世のジャンヌも最期は認めてもらえなかった。信じた者に裏切られて、騙された。だからなのかなぁ?ジルには認めてもらえたけど、親は違かった。一番近くて、愛おしい家族。その家族に認めてもらったのが、前と違くて…暖かくて…!認められて!
涙が止まらないんだ!!
「おがあさま、おどうさま…わだしは…わだしは………ぞのごどばが、いぢばんの、だんじょうびブレゼンドです!!」
「リナ、愛してるわ」
「俺も、愛してるぞ」
私はその日、お母様とお父様の腕の中で、泣き続けた。大好きな両親の温もりに包まれながら。
× × ×
「眠ったか?」
「ええ、泣き疲れたのでしょう」
「娘にいらない心配をさせていたな」
「ええ…精霊王様達が教えてくれなければ気づかなかったでしょうね」
「情けないな。娘のことにも気づけなかったなんて」
サヴァンはベットに寝ているリナの頭を優しく撫でる。リナの手はサヴァンの服の裾を掴んで離さない。
「あの時は驚きましたね。精霊王様達が全員リナと契約しているなんて」
「そうだな。けど、最初に訪ねてきた精霊はいなかったな。俺たちの契約精霊は精霊王の次に高位の精霊だ。その精霊が頭を下げていたから精霊王だと思ったんだか…」
「案外一番高位の精霊、精霊帝様かもしれませんね」
「まさか」
ありえない、とサヴァンとツヨミラは笑う。
「リナの周りは高位の力を持った者が沢山いるわね」
「そうだな。リナの拾ってきた犬、リルは犬じゃなくて狼で、伝説のフェンリルだったりするんじゃないか?」
「それこそありえませんよ。あなた」
「それもそうだ」
2人は愛しい娘の寝顔を見ながら、冗談を交えた談笑をする。こうして、夜は更けていった。
だが、この会話を見ていた二つの影があった。二つの影は鏡を通して、三人のいる部屋を覗いていた。
『黒蓮、リナの親って勘、良すぎませんか?合ってますよ?』
『神よ。聞くでない。私も驚いている』
精霊帝の黒蓮とリナを転生させた神様だった。
『そういえばあの二人も結構強かったですよね?』
『ああ、最高位精霊と契約するほどだからな。それより、あのフェンリル、送ったのは貴方だろう?』
『はは、バレバレですね。そうですよ。最初の約束に入っていましたし』
『後で好きなだけ毛並みを触らせるというやつか』
『そうですよ。ああ、黒蓮。後でリナに私があげた収納を見るように言っておいてください。他の神々からの特典と拾って世話をしてくれたしお礼とか、賭けしてたお詫びが入ってるので』
『了解した。では、そろそろ行くとする。私はそのために造られたシステムだからな』
『ごめん』
『謝る必要は無い。貴方は神であろう。それに私には感情というものが無いからな』
『限りなく近いように作ったんだけど…』
『それは、情報でしかない。だから感情があるように見える、ただそれだけのことだ』
『いつか、君がシステムじゃない本当の感情を手に入れられるよう、願おう』
『そうか。役目を果たしたら、我が主人と同じ、人間として生まれてみたいものだ』
『出来る限り、その願いを叶えよう』
『頼むぞ。神よ』
黒蓮は、指を一回鳴らし、その場から消えた。
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きゃー覗き魔ー(棒)
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ジルと約束してから一週間たった。今日は私の誕生日です!ヤホーイ!いつでも誕生日っていうものは楽しみだな。プレゼントが一番の楽しみだ。何くれるんだろうな~。前なんていつも1人誕生日だったからな…シクシク。
そう内心でワクワクしながらリビングに入ると
「「リナ、誕生日おめでとう!」」
お父様とお母様がいた。そしてテーブルの上にはケーキが。
「うわぁ!」
「どうだ?すごいだろ?」
「すごい!お父様!お母様!大好き!!」
そう言って飛び込むと、お父様の顔が崩れて、へにゃってなった。お父様は私に甘い。お父様が飴とすればお母様は鞭だ。
「そして、プレゼント…」
プレゼント!?
「の前に」
まだあんかい!!お母様。私はプレゼントが大好きでたまらないんだ!何が入っているのか分からないけからこそなおいい!それに前世ではもらったこと数えるほどしかないからね!
ちょっと自暴自棄になりそう…
「リナに話さないといけないことがある」
「私に?」
さっきまでの雰囲気が少し変わり、お父様の顔が真面目な顔になる。まぁ、柔らかい雰囲気はそんなに変わってないけどね。
「ああ、実はな、私たちは貴族だ」
「え?」
「公爵家…私達は貴族界ではあまり知られていない。上級貴族しか知らない公爵家だ」
「公爵家……ええええ!!?」
マジで!!いや、上級貴族ってことは知ってたよ。でもね、王家に近いと言われている公爵家!?マジで!?というか何故今?
「驚くのも無理ないか。しかも私達は王家を裏で支えているから表に出られない。下級貴族は全く知らない公爵家だ。けどその分他の公爵家よりは地位は高いだろう」
ま、マジで……あれ?乙女ゲーで…ああ!!!最後のあの一文!!ずっと謎に思って覚えてた一文!
[後の始末はあの公爵家がなんとかしてくれるよ]
攻略した対象が最後に言う言葉!あの公爵家……私の家族じゃねぇか!!あ、あれ?良く考えれば似たようなこともちらほら出てきたぞ?
「もうリナは5歳。この公爵家は継げないけど、貴族として生きていける。後継は弟に任せたからね」
「なんで?」
「私達の仕事は危険なことがいっぱいあるの。だからお父様は継がせたくないのよ」
なんと…娘思いなお父様。たしかに公爵家は継ぎたくない。仕事大変そう。略すとこの公爵家は国の依頼を遂行する暗殺一家。前世では一匹オオカミだったのに依頼に追われてた。それが一家ときたらどれだけか…
「リナ。因みにここは屋敷の離れだ。歩いて5分の所に本物の私達の家があるから。行くぞ」
「プレゼントもそっちにあるりますしね」
離れ……これは納得する。でも…これってなんだろう……不安で仕方がない…
× × ×
「ここよ」
お父様とお母様に手を引かれて歩くこと5分。でっかい豪華な洋風の屋敷の玄関にいる。お父様とお母様の手を握っている両手が震え、全身に伝わる。背中も冷や汗でびっしょり。
「お、お母様…本当に…ここ…?」
いや、これさ、見ただけなんだけど、横に飾ってある小さいモニュメント……あれだけでも高い匂いがする。ここでこれから過ごせと?周りの物が高すぎて今全身が震えてるんだけど…動いたら、足を踏み入れたら…日本の一般市民の泥を啜って生きてきた様な私には耐えられない!!いや、一般市民じゃないけどね!
「お、お父様…ここにあるものが…高そうで……さわれませんし…身動き取れません…」
「ははは!面白いこと言うな。壊してもそんなに金はかからない。まずはお前の部屋をプレゼントしよう」
金がかからないって…へ、部屋…というかさっきから使用人らしき人がチラチラいるんだけど…も、もしかして…ものすごいお金持ち…?こんな…こんな無駄なことに金使えるのは…前世では稼ぎは良かったけど、武器とかの仕入れに莫大な金額がかかるから、プライベートで使えるのは報酬の割に結構少なかったりする。
「ここだ」
連れてこられた部屋はピンクのお姫様の様な部屋………ではなく、私に合わせた目に良い色をしていて、落ち着いた部屋だ。高そうだが、置いているものも、想像してたのより少ないし、豪華じゃなく見える。
「いきなり豪華になっても居心地が悪いでしょ?」
「お、お母様……ありがとう!!」
こんな気を使ってくれるなんて!!お母様わかってるぅ!
「服も置いてある。それとこの部屋の隣」
お父様は部屋ある私が持っていた本が置いてある本棚の一つの本を押す。すると、本棚が動いて、通路が現れる。
「おお!凄い!」
「こういうの好きだろ?中はまだ何も置いてないけど、リナが完成させると良いよ」
なんと!自分で好きな部屋を作って良いと!やった!!これでなんか出来る!!いつも制限されてたし、黒蓮達と会うのもバレないように気を使ってたから!!やった!!
「目が輝いてるわよ。そんなに嬉しかったのね」
あったりっまえ!!そういえばケーキはもう食べている。美味しかった。でもスポンジはちょっと硬かったな。
「そうだ!アクセサリーも揃えて置いたぞ!」
お父様が指をさした方を見ると、化粧台の上とかに凄いたくさん宝石のついたアクセサリーがたくさん置いてあった。眩しい!!た、高そうだな…まぁ、ね、これでも控えめ…なの、かな?たまに見かける貴婦人?はゴテゴテだったしね。
「あ、ありがとう!!最高のプレゼントだよ!!」
「そうか、喜んでくれて父様嬉しいぞ!!」
「ええ、そうね。それで、リナ」
雰囲気がガラッと変わって重くなる。ワントーン低いお母様の声はよく響いた。
「な、何?」
「貴方の本当の姿を見せてくれないかしら?」
え?…な、なんで?
「ツヨミラ!」
「あなた、良い加減引きずりたくないの。リナ、私達は貴方が生まれた時に位の高い精霊様に会ったの。それで、貴方の色彩は珍しいから隠すと。けど、最初は、赤ちゃんの時は貴方の姿は覚えていたわ。けど段々貴方のいない時に貴方を思い出せなくなるの。自分の産んだ娘だと言うのに。これはもう精霊様のせいじゃないでしょ?貴方自身が隠している。そうとしか思えないの…」
し、知ってたんだ…違和感がないようにしたんだけどな……なんで、私はオッドアイなんかにしたんだろう……
「お母様…お父様………怖がらない?…捨てない?………気持ち悪がらない?」
捨てられた。前世で、親に捨てられた。暴力を振るわれた。罵倒され続けた。その記憶が蘇る。
『お前なんて産まなければよかった!』
『この化け物が!死ね!』
『私の子なんかじゃない!血なんて繋がっていない!!』
『邪魔だ!消えろ!!忌々しい!!』
『ば、バケモノ!!近づくな!!』
罵倒され続けた記憶。痛みの記憶。私を暗殺者にした記憶。
「何言ってるの?私達は貴方の親よ?愛しの娘がどんな姿であろうと、どんな姿になろうと、愛す自信はあるわ」
「ああ、当たり前だ。お前は俺たちの唯一の娘だ」
その言葉を聞いて、考えたことがどうでも良くなった。
嗚呼……なんだか暖かいな…この人達なら……お母様とお父様なら…受け入れてくれるかもしれない………
「わかった………解除………」
私を覆っていた魔力の膜が消えていく。目は金と銀に、肌はより、透き通る白に、髪は流れる銀に、毛先は魔力の濃さが光になり、揺らめく。そして、耳には黒い蝶のイヤリングか現れる。より、明確に顔が露わになる。
「これが…私本来の…姿」
まだ怖い。ああ言ってたけど、前例があるせいで、不安は拭えない。緊張のせいか、喉の水分が乾き、喉と喉が引っ付いてくるような気持ち悪い感覚に襲われる。私は両親の顔をまともに見れなかった。あの時は最初から認めてもらえると思っていたから…期待しないために…
そして、二人は私に手を伸ばす。思わず、肩を揺らしてしまう。
殴られるんじゃないか、突き飛ばされるんじゃないか、と。あの時のように。
けど、私は温もりに包まれた。前に、一度感じたことのある暖かさ。
両親は私を抱きしめてくれていた。
「馬鹿ね。こんなに綺麗なのに、私達が嫌うわけないじゃない」
「心配したのは、目の色か?そんなことはどうでも良いだろ。金の目はツヨミラの色と私の髪と同じじゃないか」
「きっと本で見たのでしょう?あなたは賢いし、絵本にも載っているもの。オッドアイの差別が。それが怖かったのでしょう?大丈夫、リナ。貴方はここにいても良いのよ」
「私………は…ここに…いても………いいの?」
「「当たり前よ(だ)」」
ここにいてもいい。
胸が暖かくなった。
認めてもらえた。
私がオッドアイを選んだ理由。もしかして、差別対象でも、異端でも、認めて欲しかったのかな?前では親に認めてもらえなかったから、今世で認めて欲しかったからなのか。異端を持っていても、認めてくれる人を見つけたかったからか。
前前世のジャンヌも最期は認めてもらえなかった。信じた者に裏切られて、騙された。だからなのかなぁ?ジルには認めてもらえたけど、親は違かった。一番近くて、愛おしい家族。その家族に認めてもらったのが、前と違くて…暖かくて…!認められて!
涙が止まらないんだ!!
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「リナ、愛してるわ」
「俺も、愛してるぞ」
私はその日、お母様とお父様の腕の中で、泣き続けた。大好きな両親の温もりに包まれながら。
× × ×
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「ええ、泣き疲れたのでしょう」
「娘にいらない心配をさせていたな」
「ええ…精霊王様達が教えてくれなければ気づかなかったでしょうね」
「情けないな。娘のことにも気づけなかったなんて」
サヴァンはベットに寝ているリナの頭を優しく撫でる。リナの手はサヴァンの服の裾を掴んで離さない。
「あの時は驚きましたね。精霊王様達が全員リナと契約しているなんて」
「そうだな。けど、最初に訪ねてきた精霊はいなかったな。俺たちの契約精霊は精霊王の次に高位の精霊だ。その精霊が頭を下げていたから精霊王だと思ったんだか…」
「案外一番高位の精霊、精霊帝様かもしれませんね」
「まさか」
ありえない、とサヴァンとツヨミラは笑う。
「リナの周りは高位の力を持った者が沢山いるわね」
「そうだな。リナの拾ってきた犬、リルは犬じゃなくて狼で、伝説のフェンリルだったりするんじゃないか?」
「それこそありえませんよ。あなた」
「それもそうだ」
2人は愛しい娘の寝顔を見ながら、冗談を交えた談笑をする。こうして、夜は更けていった。
だが、この会話を見ていた二つの影があった。二つの影は鏡を通して、三人のいる部屋を覗いていた。
『黒蓮、リナの親って勘、良すぎませんか?合ってますよ?』
『神よ。聞くでない。私も驚いている』
精霊帝の黒蓮とリナを転生させた神様だった。
『そういえばあの二人も結構強かったですよね?』
『ああ、最高位精霊と契約するほどだからな。それより、あのフェンリル、送ったのは貴方だろう?』
『はは、バレバレですね。そうですよ。最初の約束に入っていましたし』
『後で好きなだけ毛並みを触らせるというやつか』
『そうですよ。ああ、黒蓮。後でリナに私があげた収納を見るように言っておいてください。他の神々からの特典と拾って世話をしてくれたしお礼とか、賭けしてたお詫びが入ってるので』
『了解した。では、そろそろ行くとする。私はそのために造られたシステムだからな』
『ごめん』
『謝る必要は無い。貴方は神であろう。それに私には感情というものが無いからな』
『限りなく近いように作ったんだけど…』
『それは、情報でしかない。だから感情があるように見える、ただそれだけのことだ』
『いつか、君がシステムじゃない本当の感情を手に入れられるよう、願おう』
『そうか。役目を果たしたら、我が主人と同じ、人間として生まれてみたいものだ』
『出来る限り、その願いを叶えよう』
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