私はモブのはず

シュミー

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「ジル!」

 今私は王立図書館にジルと一緒にいる。それとなんとあと一週間で5歳!こっちの人は5、10、15、20、と5歳ずつ誕生日を祝うらしい。というかいつになったらフィーネの侍女になれるんだろう。言葉ももう流暢!話してることが伝わりにくいのはもどかしかったからね。ジルはもう7歳だ。学校に行く歳だ。

 因にリルは家で待機中。影に隠れさせてつれてきても良いけど、今日はひなたぼっこしたいらしい。

 私は空間魔法で作ったテンプレ中のテンプレ魔法またはスキルのイベントリ(収納魔法)から自前の教科書をだす。

「今日は英語と日本語です!」

 私はジルに、計算、歴史、今の国の状態、この世界にはない知識の科学、理科と言った方がいいかもしれないが。それと、日本語と英語。日本語はこの世界では消えた言語で、日本語で唱えた魔法は威力を増す。そして日本語は解明されていないん英語は少しだけなら知っている人がこの世界にいるらしい。あくまで少しだが、英語で詠唱すれば、日本語の半分だが、威力は上がる。そんなことを教えている。あとたまに体動かしたり。

 ここまで話してわかっただろうが、私は前世のことを少しだけ話した。私は転生者だから。この一言だけ。他には何も言わなかった。いや、の方が正しいか。ジルも気を使って聞いてこなかったし。

〔おお、ちゃんとできてる。凄いじゃん!もうほぼマスターしてるね!〕

 私が渡した宿題を丸付けしてから、日本語で話しかける。

〔まぁね。リナの教え方がうまかったんだよ…〕

 ジルも日本語で返してくる。本当にマスターしている。まだ7歳なのに。これが天才か。これで英語もマスターしてる。因にエルフ語もだ。精霊が使う言語はエルフ語だから、契約する時楽になるからね。

〔リナ〕
〔ん?〕
〔伝えることがあるんだ〕
〔何?真剣な顔して〕
〔俺はもうここには来れない。本格的に学べと言われた。今習っているところはもう習ったし簡単なところだから俺はお前と会えなくなるのは嫌で、つい王国神官になるためのこの国最高難易度のテストを三十分足らずで解いてしまったんだ〕
〔それでなんでこられない理由に?〕

 なんかさらっとすごいこといってたような。

〔親が、俺の父上がお前を後継にするからそれに備えて準備を色々としないといけないんだ。一応剣とかもやらないといけないし…体術ならリナと一緒にやってたからできるけど〕

 今の歳からの教育。結構くらいの高い貴族なのかもしれないな。残念だけど、

〔なるほど……頑張れ。応援するわ〕
〔ッ…!リナ…俺は…〕
〔ジルの未来だ。いつまでも私に頼っちゃいけないし、私もいつまでも縛り続けたくない。…いつか、ジル、君が立派になって私にどれだけ成長したか見せてよ。そして私にジルが見てきた世界を教えてくれ〕

 少し、微笑む。同年代じゃないけど私の唯一の人間の友達。少し、少しだよ?また会えるしね。だけど悲しいな…

〔…わかった。俺、自分自身で生きる。そしていつかリナを驚かせるような生き方をするよ。リナに習ったことも忘れない〕
〔危ないことはしないでね。体には気をつけて〕
〔ああ、それで、これ、いつか会える日に〕

 ジルは懐から一つの指輪を出す。銀の細工に、名前は知らないが、キラキラ光る大、中、小の三つの宝石がはめ込まれていた。跪き、それをそっと私の左手の中指にはめる。この国にも結婚者は指輪をはめる宗風がある。地球と同じで左手の薬指だ。私のは中指だ。だからプロポーズされているわけではない。けど側から見たらそんな風に見える。少しだけだけど、頬が火照る。

〔綺麗だね…〕
〔ああ、ありがとう〕
〔じゃあ私からはこれを貸すよ。いつか再開したときに改めてジルにあげる〕

 私は髪につけていた髪飾りを外し、ジルに渡す。髪は解けたけど別にいい。髪飾りは前に私が魔力で作った、かんざしだ。

〔いいのか?〕
〔うん。それと…〕

 しばらく会えなくなるんだ。自分の姿を、偽りじゃない姿を見せよう。まだ、両親にも見せてない姿。けど、ジルには知ってもらいたいし。

〔気持ち悪いかもしれないけど…私の本当の姿を見せてあげる〕
〔本当の姿?それって、君と会ってない時にリナの顔が思い出せないこと?〕
〔そうだよ。次会った時誰?って言われたくないからね〕
〔リナ...〕

 私は笑うだけ。オッドアイ、この世界では差別される。それにこの世界では無い銀の髪。今では認識阻害をかけている容姿。全部を解く。

「解除」

 そして、髪、目、容姿が全て変わる

「どう、かな?気待ち悪い、かな?」
「……………」

 ジルは私を見て固まっている。容姿はいいと思うよ。私が作ったしね。でもオッドアイだからね。私はかっこいいって思ってこの色にした。でもこれを人に見せるつもりは無かった。もう一つの理由は、前世での私は。だから今世でも異端を手放したくなかった。

〔そんなことはない…〕
〔え?〕

 暖かい。私は何かに包まれた。ジルの白い髪が視界を覆った。ここで私はジルに抱きしめられていることに気がついた。そのtことに気がついたら、顔がだんだん熱くなってくる。

〔え、あ、ジル?〕
〔ありがとう…君の姿を見せてくれて〕
〔え、うん〕
〔綺麗だ。その瞳も髪も…〕

 密着した状態で私の髪をすくい上げ、キスを落とす。えぇ!君まだ7歳だよね!?何!?このませた子!!精神年齢三十路すぎてても5年間子供でいたから体制無いよ!!?私はけっしてショタコンではありません。

〔あ、ありがとう…うぅ…私ってそんなに心配する必要ってあったのかな?〕
〔はは、リナ、その、あと君の髪も1束くれないか?忘れないように…君の色彩を〕

 私から少し離れる。ほっ、私って前世でも男性経験なかったし年齢イコール彼氏いない歴だったし。慣れてないんだよ。しかもジルって美少年、もう美青年か?だし。でも、髪か…少しだけなら。

〔いいよ〕

 私は長い髪の半分のところを少しつまみ、持っていたコンパクトナイフで切る。そして、私の服にたくさんついているリボンを一つ取り、切った髪を束ね、ジルに渡す。

 因にコンパクトナイフは私の魔力で作ったから、魔力の固まりである私の髪を斬ることができる。

〔ありがとう。これで忘れることはないよ。それと何度もあれなんだが、最後にリナの歌を聞かせてくれないか?〕

 私はジルに日本の音楽を聞かせていた。私のスキルで、歌詞がうろ覚えでもCDを作れたからそれを聞かせていた。それと楽器も少々教えていた。ピアノ、バイオリン、ギター、ドラムを教えた。バイオリンは私が作って、ジルにあげた。ジルはバイオリンを弾いてる時が一番カッコよかった。それとこの世界は楽器は発展していなくて、単調なものばかりだ。

 因に上げたバイオリンは子供用と大人用で二つ。魔法も付与してあるから壊れない。

〔わかった。そうだCDはかさばるかあら、ダウンロードしてるやつもあげるよ。人のいないところで聞いてね。では、降りつもる雪、ひらひらひらと、染めて、青い月~~〕

 私は息を吸い込んで歌い始める。この曲はソロでもいい曲だ。う~~~...じっと見てきてる....恥ずかしいな。目をつぶっておこう。

〔赤い、花が咲く、冷たい雪が、降り続け、君が、解けていく~~。最後に気づいた、この気持ち、もう、届かない....〕

 そして、歌はラストパートに入り、終わる。因にこの曲悲恋ソングなんだよね。まぁ、最後に歌うには縁起悪いけど、私が好きな曲だし、聞いて、ずっと忘れられない曲だから、ジルには聞いてもらいたかったのだ。

〔どうだった?〕
〔綺麗だった。さすがだな。でも聞いたこと無い曲だったけど...〕
〔私の好きな曲なんだ。あとこれも、これでいつでも音楽が聴けるよ。さっきの曲も入ってるよ。因に私が歌った奴。それと、この端末は魔力で充電できるから。イアフォンも5個ぐらい渡しておくよ〕
〔ああ、すまない〕
〔うん。頑張ってね。またいつか会える日まで〕
〔ああ、またいつか、約束だ)

 そう言って、ジルは去って行った。頑張ってね。ジル。約束だからね。

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歌は適当に書いた物なので、音程とかありません。
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