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閑話2

白と美咲のショッピング

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 今回の事件は御杖任せたし、癒しに会いに行こう。

 白は鼻歌を歌いながら美鈴との待ち合わせ場所に向かう。

「あ、みーちゃん!」
「ハーちゃん!」

 まだ待ち合わせの十分前なのにいるんだ。真面目だな。それにしてもかわいいな。いつもはメガネかけてるけど今日はコンタクトだ。しかも服もゆるふわ。誰が見ても可愛い。変な男が寄らないように目を光らせないと。少し圧出しとこ。

「早いね。十分前なのに。」
「楽しみにしてて。」
「私も楽しみにしてたんだ。それにしてもかわいいね。学校もその髪型で来ればいいののに。いつも前髪で顔を隠して。」
「ありがと。でもそれをいうならハーちゃんだってそうじゃん。私セットできるよ?」
「大丈夫。自分で言うのもなんだけど、は上の下ぐらいの顔なんだ。前、小学校で、髪が崩れた時があったんだ。その時に男子にいじめられてね。ついでに女子からも。上の下と言ってもそんなに綺麗じゃないのにな。それから髪型はずっと一緒。」

 これは本当のことだ。一度体育の時に結んでいたゴムが切れた。その時は自分が少し、他の子より可愛いと自覚していた。現実はもっと可愛かったが、結果、男子からモテ、いじめられる。小学生の男の子はそんなものだろう。それを見た女子もいじめ始める。
 そして、小学校はぼっちで過ごした。喋れる人は母と高校生時代の御杖だけ。中学では髪型を変えずに三年間通った。その姿で滲み出ている近ずくなオーラの所為で、これまたぼっち。母が再婚して、美形の兄弟ができて、私を踏み台に近付こうとする者続出。そして、嫉妬でいじめ。
 こんな感じに過ごしてきたために、ずっと地味子スタイルなのだ。それもウィレスノールを通して改善されたが、そんな直ぐには変えられない。

「そっか。私と全く同じだね。」
「え?そうなの?」
「うん。あの時は辛かったな。実を言うとハーちゃんが初めての親友なんだ。」
「………そうなんだ。あ、ついたよ。」

 白は重くなった雰囲気を切り替えるように明るい声で、美鈴に声をかける。丁度その時、美鈴を守るために強化していた聴覚にある音が聞こえた。

『後30分。モールを占領するぞ。人質は十人程度で十分だ。』

 これは……テロか。なんでこんなに嫌なことが重なるのかな…。すぐさま排除しなければ。

「みーちゃん。ずっと喋ってたから喉渇いちゃった。ジュース買ってくるけどいる?」
「いいのの?じゃあしぼりたてオレンジジュースを。」
「了解」

 白はベンチに美鈴を座らせて、ジュース専門店にジュースを買いに行く。そこで、白はを変えた。

 ジョブというのは、色々な職業のことだ。普通は一人一個のジョブしか持ってはいないが、稀に二個や三個持つものもいる。使っているジョブごとに補正されるステータスが違う。それをうまく使い、変更することもできる。
 今回白が使ったのは《暗殺者アサシン》のジョブ。気配を消したり、速さに補正がかかる。因みに白はいくつものジョブを持っている。

 さて、こっちかな?みーちゃんに早くジュース持っていかないと。

 音もなく走り、壁をつたり、気配を追う。もちろん黒いNINJAのくノ一の格好だ。ウィレスノールの仲間が作って来れた者だ。白がその仲間にどれだけNINJAが凄いか力説していたからでもあるが。

 見~つ~けた~。役十人銃で武装している。顔も覆っている。意外と少ない。

 白はテロリスト達に近ずいていく。テロリスト達は全く気づいてない。後一メートル。そこで一人の首が
 それを見た他のテロリスト達は声を上げようとする。それらを順番に音もなく喉を搔き斬る。首を落とされた最初のテロリスト以外は血は最小限だ。そして最後の一人の眉間を苦無で貫く。

 終わった。早く帰ろう。6分もかかってしまった。

 白はくノ一の衣装を着替え、ジュースを買って、美鈴の元へ戻る。

「ごめん!待った?人が結構並んでてさー。」
「全然大丈夫だよ。それじゃあ行こう!」

 この日、白は美鈴とのショッピングを楽しんだ。

 後に、今回のテロを目論んでいたモールにいたテロリスト達のボスはテロが起きなかったことに激怒した。数日後その組織が消えたことはアメリカの国家機密機関しか知らない。因みに白が潰したテロリストグループはアメリカでかなりの大きさだった。国家機密機関が密かに追っていたグループである。


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次も閑話で白の使い魔が出てきます。


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