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わたしを倒す旅のはじまり。
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はじめは花だった。
死体に咲く大輪の花。魔族領に咲くそれは、ラダヒーって呼ばれてる。
わたしはそのラダヒーの突然変異。
植物だったはずが、死体の魔力を吸ううちに意思を持った。
ついでに、死体から種族の特性や個人の能力を吸収できるようになってた。
そして自我を持ったことで欲求を感じて、行動を始めたの。
美味しいご飯(死体)と退屈しのぎの楽しいことを求めて。
で、なんやかんやしたらいつの間にか魔王になってた。
あれー?
魔王になっちゃったから、魔族領の統一を図って色々体制を整えた。
けど、すぐ飽きた。つまんなかった。
だから魔法を極めることにした。
魔力ならたっくさんあるし。今までたくさんのご飯(死体)から吸い取ってきたからね。
かつて滅びてしまった魔法や禁術も覚えきり、次の退屈しのぎがほしいと思って、人間領に行くことにした。
人間って魔族領の中でごくたまに落ちてるユウシャっていう死体しか見たことないんだ。
しかも、ユウシャって魔族よりも美味しくないの。
けど人間は魔族よりもたくさんいるって聞いたんだ。
それなら探せば美味しい人間が見つかるかもしれない!
魔族はどの種族もあらかた食べたことあるし、すごく美味しいのも食べちゃったから、もういいんだ。
だから次は人間の美味しいやつ探しをするの。
魔族領のことは他の魔族に任せるから大丈夫。
思い立ったら、すぐ行動!がモットーのわたしは人間領に飛び立った。
文字通りホントに飛んだよ。これも誰かから取った能力。便利だから重宝してるんだ。
人がワイワイしていて楽しそうなのが見えたから、その地点の近くだけど人がいないところに降り立った。
人がいないっていうことが重要。
わたしだってちゃんと人間の常識について知ってるんだよ。
ここに来る途中で勉強してきたんだもん、偉いでしょ。
魔族領と人間領の境界近くにあった人間の村の住人全員から知識を抜き取った。これも誰かから吸収した能力。
知識を提供してくれた人間は、みんな死んだからそのまま食べてきた。
あんま美味しくなかったけど。
ここは王都って場所でお城があるんだよ。
物知りでしょ?お勉強の成果だよ。
上空から見えた人の多い場所を探す。
それにしても、人間ってのは本当に数が多いね。
生きた人間がこんなにウジャウジャ動いてて感動したよ。
けど、なんでみんなコッチをチラチラ見るのかな?わたしの格好変?
体は人間で言うコドモの大きさで、魔族領にいた時とサイズ的にはあまり大きな違いはない。
今の耳は尖ってないし、顔のパーツの位置も間違ってないはず。なのに、なんで?
「可愛いお嬢ちゃん、迷子かな?」
どこが変なのか分からないわたしに、老爺が話しかけてきた。
もう、分かんないからいいや。それより楽しそうな所に行かなきゃ。
「人間がたくさん集まってて楽しそうな場所はどこ?」
「そこにお母さん、お父さんがいるのかい?人が集まっているとこだと、今日は闘技場かな」
トーギジョー。全然知らない言葉だけど、楽しそう!
「そこに連れてって!」
「そうか、闘技場に来ていてご両親とはぐれたのか。すぐそこだから、付いて来なさい」
はやく、はやく!
すぐに行きたいのに、この老爺は話すのも歩くのも遅い。イライラする。もー。
闘技場という建物が見えたところで、老爺と別れた。
目の前に楽しそうなものが見えてるのに、付き合ってトロトロ歩いてなんて来れない!遅すぎる!
闘技場とその周りの人間の群れに走り寄ればガヤガヤ煩い中で大声で叫ぶ声が聞こえた。
「魔王を倒す勇者ご一行の仲間を決めるための武闘会!もうすぐ参加者の受付を締め切るよー!」
参加できるの!!?
人間領に来て早々こんな楽しそうな催し物に参加できるなんて。
「わたしも参加したい!」
参加のエントリーでちょっと揉めた。
コドモは帰れって。
年齢不問で参加できると言っているのに、だ。
何年生きたか分からないほど生きてるわたしだって参加してもいいじゃないか。
不問って言ってるんだし。
てことで、ちょっと能力を使った。わたしを除け者にすることは許さない。
トーギジョーでの催し物はすごく愉快だった。
ルールで殺しちゃダメって言われたから、殺さないように頑張った。
どれもこれも弱くて危うく殺しそうにはなったけどね。
弱い人間のフリをして、弱い魔法だけ使って勝った。
こういう縛りって、なかなか楽しいね。いつもは派手に一発で終わっちゃうから。
そしてわたしはこの催し物のルール通り、ユウシャご一行の仲間として魔王を倒す旅に参加する。
ユウシャな王子と、その幼馴染の騎士、お城の魔法使いと、ゴツいおじさん。
そして優勝したわたし。周りからは天才魔法少女って言われた、やったね。
遠足ってやつだよね、これは。
ちょうどいい退屈しのぎになりそうな予感。
一緒に遠足に行くおやつ達は美味しいのかな?
ああ、食べる時が楽しみだな。
死体に咲く大輪の花。魔族領に咲くそれは、ラダヒーって呼ばれてる。
わたしはそのラダヒーの突然変異。
植物だったはずが、死体の魔力を吸ううちに意思を持った。
ついでに、死体から種族の特性や個人の能力を吸収できるようになってた。
そして自我を持ったことで欲求を感じて、行動を始めたの。
美味しいご飯(死体)と退屈しのぎの楽しいことを求めて。
で、なんやかんやしたらいつの間にか魔王になってた。
あれー?
魔王になっちゃったから、魔族領の統一を図って色々体制を整えた。
けど、すぐ飽きた。つまんなかった。
だから魔法を極めることにした。
魔力ならたっくさんあるし。今までたくさんのご飯(死体)から吸い取ってきたからね。
かつて滅びてしまった魔法や禁術も覚えきり、次の退屈しのぎがほしいと思って、人間領に行くことにした。
人間って魔族領の中でごくたまに落ちてるユウシャっていう死体しか見たことないんだ。
しかも、ユウシャって魔族よりも美味しくないの。
けど人間は魔族よりもたくさんいるって聞いたんだ。
それなら探せば美味しい人間が見つかるかもしれない!
魔族はどの種族もあらかた食べたことあるし、すごく美味しいのも食べちゃったから、もういいんだ。
だから次は人間の美味しいやつ探しをするの。
魔族領のことは他の魔族に任せるから大丈夫。
思い立ったら、すぐ行動!がモットーのわたしは人間領に飛び立った。
文字通りホントに飛んだよ。これも誰かから取った能力。便利だから重宝してるんだ。
人がワイワイしていて楽しそうなのが見えたから、その地点の近くだけど人がいないところに降り立った。
人がいないっていうことが重要。
わたしだってちゃんと人間の常識について知ってるんだよ。
ここに来る途中で勉強してきたんだもん、偉いでしょ。
魔族領と人間領の境界近くにあった人間の村の住人全員から知識を抜き取った。これも誰かから吸収した能力。
知識を提供してくれた人間は、みんな死んだからそのまま食べてきた。
あんま美味しくなかったけど。
ここは王都って場所でお城があるんだよ。
物知りでしょ?お勉強の成果だよ。
上空から見えた人の多い場所を探す。
それにしても、人間ってのは本当に数が多いね。
生きた人間がこんなにウジャウジャ動いてて感動したよ。
けど、なんでみんなコッチをチラチラ見るのかな?わたしの格好変?
体は人間で言うコドモの大きさで、魔族領にいた時とサイズ的にはあまり大きな違いはない。
今の耳は尖ってないし、顔のパーツの位置も間違ってないはず。なのに、なんで?
「可愛いお嬢ちゃん、迷子かな?」
どこが変なのか分からないわたしに、老爺が話しかけてきた。
もう、分かんないからいいや。それより楽しそうな所に行かなきゃ。
「人間がたくさん集まってて楽しそうな場所はどこ?」
「そこにお母さん、お父さんがいるのかい?人が集まっているとこだと、今日は闘技場かな」
トーギジョー。全然知らない言葉だけど、楽しそう!
「そこに連れてって!」
「そうか、闘技場に来ていてご両親とはぐれたのか。すぐそこだから、付いて来なさい」
はやく、はやく!
すぐに行きたいのに、この老爺は話すのも歩くのも遅い。イライラする。もー。
闘技場という建物が見えたところで、老爺と別れた。
目の前に楽しそうなものが見えてるのに、付き合ってトロトロ歩いてなんて来れない!遅すぎる!
闘技場とその周りの人間の群れに走り寄ればガヤガヤ煩い中で大声で叫ぶ声が聞こえた。
「魔王を倒す勇者ご一行の仲間を決めるための武闘会!もうすぐ参加者の受付を締め切るよー!」
参加できるの!!?
人間領に来て早々こんな楽しそうな催し物に参加できるなんて。
「わたしも参加したい!」
参加のエントリーでちょっと揉めた。
コドモは帰れって。
年齢不問で参加できると言っているのに、だ。
何年生きたか分からないほど生きてるわたしだって参加してもいいじゃないか。
不問って言ってるんだし。
てことで、ちょっと能力を使った。わたしを除け者にすることは許さない。
トーギジョーでの催し物はすごく愉快だった。
ルールで殺しちゃダメって言われたから、殺さないように頑張った。
どれもこれも弱くて危うく殺しそうにはなったけどね。
弱い人間のフリをして、弱い魔法だけ使って勝った。
こういう縛りって、なかなか楽しいね。いつもは派手に一発で終わっちゃうから。
そしてわたしはこの催し物のルール通り、ユウシャご一行の仲間として魔王を倒す旅に参加する。
ユウシャな王子と、その幼馴染の騎士、お城の魔法使いと、ゴツいおじさん。
そして優勝したわたし。周りからは天才魔法少女って言われた、やったね。
遠足ってやつだよね、これは。
ちょうどいい退屈しのぎになりそうな予感。
一緒に遠足に行くおやつ達は美味しいのかな?
ああ、食べる時が楽しみだな。
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