病んでる先パイの人違い

９：何も考えたくないんです

「姉ちゃんさ、何かあったわけ？」

な、何？急に。

「この前の休みに出掛けてから様子がおかしいじゃんか」

別に何もないから気にしないでよ。

「家に帰ってきてから、ずっと部屋に閉じこもっているじゃねえかよ。前まではリビングでテレビばっかり見てたくせに」

ちょっと部屋でやることがあるのよ。
時々は部屋でゆっくりしてたっていいじゃない。

「あんなにバリバリ食ってたチョコレートも一切手をつけてねえし」

ダ、ダイエットよ。
私だってそういうのを気にする年頃なの。

「気にしてたドラマも、録画だけして全然見てねえだろ？」

気が向いたときに、今度まとめて見るからいいの。
撮り溜めた録画、消したら許さないわよ。

「スマホ中毒かってほどスマホを片手に生活してたのに、学校から家に帰ってきたらリビングにスマホを置いていくのは？」

リビングのコンセントで充電しているのよ。
今まで自分の部屋で充電していたけど、それだと他に集中できないから。
っていうか、あんた私のことスマホ中毒だって思っていたわけ？！

「姉ちゃん、最近じゃずっとスマホ見てニヤニヤしてただろ。立派な中毒だよ」

失礼な弟ね。
もう、私は部屋に行くからっ！
放っといてよね。

「……ったく。自分の部屋のドアは静かに閉めろよな。人が心配してやってるっていうのに」

（姉ちゃん、気がついてないのか？）

（休み以降、自分がずっと泣きそうな顔しているって）