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エスリアール王城 出会い
夢渡りには御用心?!8
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“ありがたいにゃ!早速、姫さまに|真名をお伝えするのにゃ。それから新しい名をつけてほしいのにゃん。”
「アーヤ、真名のやりとりは以前にも教えた通り、とても大切なことだ。真名を知り、新たな名で縛ることで契約になる。
名を与えたらどちらかが死ぬか、契約解除をしない限りアーヤの使い魔となるからそのつもりでね。」
「私の使い魔…。」
ここまできたら覚悟を決めるしかない。どんとこい!だ。
「わかった。」
「じゃあ、アーヤ。タツノオトシネコの正面から目をじっと見続けて頭の中で真名を読み取って。集中するんだ。」
じーーーーーーーーーー。
「………………。」
頭に響いてくる名。
『…ネ…ティ…』
『…ネ…ティ……シャール』
口に出さないで頭の中で呼んで聞いてみる。
『…ネティシャール?』
ぱあっとタツノオトシネコの体が光り眩しい。
“我が真の名はネティシャール。”
水神又は聖獣と呼ばれる青龍の眷族。
主、アーヤに真名を捧げ、使い魔とにゃることを望む。
さあ、新たな名を。”
「新しい名は…。」
突然だけど、今朝見た夢の情景がふっと頭をよぎった。
『…花水稀。』
花は、白い猫の体毛とゴツゴツした下半身も同じように夢で見た水中の白い花を連想したことから。
水は、単純に水獣という水のイメージと、目の色と夢の中の綺麗な水色が重なったこと、周りに潤いをわけてあ げられるくらいの器量と優しい存在となって欲しい願いを込めた。
稀は、珍しい稀な存在、その稀な力は誰かの幸せの為に使って欲しい、これから行く先に困難があっても互いに希望を捨てず乗り越えていきたい等の気持ちも込めて希望の希が入った漢字にした。
うん、連想した順に並べただけだけど、もともとハナミズキという言葉は聞いたことがあって知っていたし、漢字をそれぞれ当てはめて花水稀。
ストンと悩まず思いついて良かった。
風もないのに私達のいる場所を中心にブワッと青い|魔力の波長が螺旋状に広がって私の髪も一緒に靡いた。
“契約は成功しましたにゃ。”
「シオンさん。この子の真名じゃない呼び名は水稀と呼ぶことにしました。」
「いい名を選んだね。」
“とっても嬉しいにゃん!姫さま、そういえばこのエルフの男は誰にゃんですか?”
「ああ、水稀に紹介しなきゃ。私がこちらの世界に来た時、初めて会って保護してくれたエルシオン・デュカーレさんです。神託者をしていて、話すと長くなるけれど…使い魔だし伝えてもいいかな?シオンさんいい?」
「使い魔となれば、アーヤの不利になることは決してしないから教えても大丈夫だ。私が言おう。
私の前世は、アーヤの世界での実の兄だ。事故で短い人生に幕を閉じてからこちらで生まれ、成人の儀式で自身の真名を知り、前世の記憶を思い出した。
神託でアーヤが迷客となることを知り得てから出会い、必ず護ると心と私の真名に誓っている。過去も現在も兄のように在りたいと…そうこれからも思っている。」
“何と!?ほう…。数奇なこともあるもんですにゃ。”
「だから、シオンさんのことは二人きりの時はお兄ちゃんって呼ぶけど、普段はシオンさんって呼んでるの。内緒にしてね。」
“なるほど、姫さまの兄者殿でしたか。てっきり…つが、にゃ?にゃにをする?!兄者殿離すのにゃ~!”
お兄ちゃんは水稀の首の後ろをひょいとつまんで私に手渡した。
「いや…、そろそろ朝食に行かないとね。はい、アーヤ。水稀を連れて向かおうか。」
「う、うん?」
“手荒い扱いをしおって。”
ふふ、やっぱり兄弟なんだ…。何で急にそうしたかはわからないけど首の後ろをひょいってするやり方が何となく優(優也)と一緒だ。はいはい、いいから行くぞ~みたいな。
「ふふ。」
こっそり水稀に話す。
「行こう水稀。そう、怒らないで。お兄ちゃん、私がきちんと食べないと心配だから急ぎたかっただけだと思う。」
“そうでしょうか?何か邪魔されたようにゃ気が…。まあ、姫さまがそうおっしゃるならいいにゃ。”
「アーヤ、行くよ?」
「はぁい。」
夢から始まった新たな出会いをきっかけに水稀という使い魔が加わった。
まだ、謎の雫の石のこともあるけれど、渡された水稀を抱っこして部屋の扉で待つ背中を追いかける。
少しぽっちゃりした白いモフモフさともっちり感、下半分はタツノオトシゴで硬いという不思議な体をしっかり抱いて部屋を出る。
入り口で待機していたシュナイゼがアーヤ(綾子)の胸に抱かれる異形の存在を凝視し、説明を求めたのは言うまでもない。
「アーヤ、真名のやりとりは以前にも教えた通り、とても大切なことだ。真名を知り、新たな名で縛ることで契約になる。
名を与えたらどちらかが死ぬか、契約解除をしない限りアーヤの使い魔となるからそのつもりでね。」
「私の使い魔…。」
ここまできたら覚悟を決めるしかない。どんとこい!だ。
「わかった。」
「じゃあ、アーヤ。タツノオトシネコの正面から目をじっと見続けて頭の中で真名を読み取って。集中するんだ。」
じーーーーーーーーーー。
「………………。」
頭に響いてくる名。
『…ネ…ティ…』
『…ネ…ティ……シャール』
口に出さないで頭の中で呼んで聞いてみる。
『…ネティシャール?』
ぱあっとタツノオトシネコの体が光り眩しい。
“我が真の名はネティシャール。”
水神又は聖獣と呼ばれる青龍の眷族。
主、アーヤに真名を捧げ、使い魔とにゃることを望む。
さあ、新たな名を。”
「新しい名は…。」
突然だけど、今朝見た夢の情景がふっと頭をよぎった。
『…花水稀。』
花は、白い猫の体毛とゴツゴツした下半身も同じように夢で見た水中の白い花を連想したことから。
水は、単純に水獣という水のイメージと、目の色と夢の中の綺麗な水色が重なったこと、周りに潤いをわけてあ げられるくらいの器量と優しい存在となって欲しい願いを込めた。
稀は、珍しい稀な存在、その稀な力は誰かの幸せの為に使って欲しい、これから行く先に困難があっても互いに希望を捨てず乗り越えていきたい等の気持ちも込めて希望の希が入った漢字にした。
うん、連想した順に並べただけだけど、もともとハナミズキという言葉は聞いたことがあって知っていたし、漢字をそれぞれ当てはめて花水稀。
ストンと悩まず思いついて良かった。
風もないのに私達のいる場所を中心にブワッと青い|魔力の波長が螺旋状に広がって私の髪も一緒に靡いた。
“契約は成功しましたにゃ。”
「シオンさん。この子の真名じゃない呼び名は水稀と呼ぶことにしました。」
「いい名を選んだね。」
“とっても嬉しいにゃん!姫さま、そういえばこのエルフの男は誰にゃんですか?”
「ああ、水稀に紹介しなきゃ。私がこちらの世界に来た時、初めて会って保護してくれたエルシオン・デュカーレさんです。神託者をしていて、話すと長くなるけれど…使い魔だし伝えてもいいかな?シオンさんいい?」
「使い魔となれば、アーヤの不利になることは決してしないから教えても大丈夫だ。私が言おう。
私の前世は、アーヤの世界での実の兄だ。事故で短い人生に幕を閉じてからこちらで生まれ、成人の儀式で自身の真名を知り、前世の記憶を思い出した。
神託でアーヤが迷客となることを知り得てから出会い、必ず護ると心と私の真名に誓っている。過去も現在も兄のように在りたいと…そうこれからも思っている。」
“何と!?ほう…。数奇なこともあるもんですにゃ。”
「だから、シオンさんのことは二人きりの時はお兄ちゃんって呼ぶけど、普段はシオンさんって呼んでるの。内緒にしてね。」
“なるほど、姫さまの兄者殿でしたか。てっきり…つが、にゃ?にゃにをする?!兄者殿離すのにゃ~!”
お兄ちゃんは水稀の首の後ろをひょいとつまんで私に手渡した。
「いや…、そろそろ朝食に行かないとね。はい、アーヤ。水稀を連れて向かおうか。」
「う、うん?」
“手荒い扱いをしおって。”
ふふ、やっぱり兄弟なんだ…。何で急にそうしたかはわからないけど首の後ろをひょいってするやり方が何となく優(優也)と一緒だ。はいはい、いいから行くぞ~みたいな。
「ふふ。」
こっそり水稀に話す。
「行こう水稀。そう、怒らないで。お兄ちゃん、私がきちんと食べないと心配だから急ぎたかっただけだと思う。」
“そうでしょうか?何か邪魔されたようにゃ気が…。まあ、姫さまがそうおっしゃるならいいにゃ。”
「アーヤ、行くよ?」
「はぁい。」
夢から始まった新たな出会いをきっかけに水稀という使い魔が加わった。
まだ、謎の雫の石のこともあるけれど、渡された水稀を抱っこして部屋の扉で待つ背中を追いかける。
少しぽっちゃりした白いモフモフさともっちり感、下半分はタツノオトシゴで硬いという不思議な体をしっかり抱いて部屋を出る。
入り口で待機していたシュナイゼがアーヤ(綾子)の胸に抱かれる異形の存在を凝視し、説明を求めたのは言うまでもない。
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