夢じゃなかった!?

Rin’

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エスリアール王城 出会い

夢渡りには御用心?!5

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私はシオンさん(お兄ちゃん)に包み隠さず今朝の夢について、手に残った雫の形をした石のことも話した。起きてからは虹探しまで、ぼへらっと窓辺で過ごしたことも。

すると、また私の頭の上に目線を向けてから目を閉じてから語りだした。

「今朝、私も虹を見てから神託があってね。

結んだえにしがやがてアーヤの手助けとなること、それと…。」

にわかには信じがたかったが、それのことも告げていた。」

「それ?」

「アーヤが水の眷族けんぞくを連れて無事、夢渡りから戻るから心配はいらないという内容だった。」

「アーヤそろそろ気づいておやり。頭の上にいる。」

「へ?!何が?」

キョロキョロ探すと、私の頭の上に浮いていた『それ』の涙の浮かんだ笑顔と目が合った。白くて小さいそれは…て…


“っっひいさま~っ!やっと気づいてくれたにゃ~っ。”


「しゃべった!ひーさま?誰それ?」


ひいさまはひいさまですにゃ~。”


白いそれ…てるてる坊主と会話をしてみる。なかなかシュールな感じがする。


「お、落ちついて。とりあえず説明してちょうだい。私は異世界から来たアーヤサトー。迷客と言われてます。あなたはもしかして、夢にいた?」


“にゃん!”


幾夜いくよもの月の満ち欠けをさかのぼったある日、ふるさとで珍しく夜に月光橋げっこうばしが現れたのにゃ。

月光橋が現れるとみにゃ、探検に行ったり違う土地に出向くモノが多いのにゃん。

例に漏れず、此方こちら彼方あちらの行き来を少しだけしてから帰ろうとした時だったにゃ、あったはずの月光橋はいきなり消えてしまっていたにゃん…。

あれからずっと水の豊かな土地を探すも、再び月光橋が現れることも無くにゃく、月日は流れ、夜に少し降る雨や月光、日光だけでは力の補充も足りず、弱々しくさ迷う日々を送り衰弱していきましたにゃん。

そんな中、ひいさまが作られた依り代の導きを受けまして、そのまま依り代の中で眠って目覚めると、にゃんと力が回復し始めたではにゃいですか。

しかし、僕一人ではふるさとに帰れないので、今できることをしようとしましたにゃ。

依り代へのお礼もねて雨のお手伝いをしたり、ひいさまにも僕のふるさとを知って欲しくなったので、ふるさとの水神さまの夢へ一緒に渡りましたにゃ。”

突っ込みどころが多すぎる。何故、語尾がにゃんとかにゃ?気になるんだけど…。

「…えーと、じゃあ、あなたはそのてるてる坊主…依り代で元気にはなれたの?」


“それはもう、昨日までとは大違いにゃん!”


「よかったね。そうか、夢だったけど微妙に現実だったんだ。」

ここで、ずっと静観していたシオンさん(お兄ちゃん)から声がかかる。

「アーヤ、そのてるてる坊主に入っている声のぬしはたぶん水の精霊か、水獣すいじゅうの類いだと思うんだが何か知っている?」

「夢で聞いた怖い声の話だと、確か水の…眷族けんぞく?とか言っていたような。」

“恐くないにゃ~。水神さまは眠かっただけにゃ。

ひいさまの言うように僕は水の眷族けんぞく、水獣だにゃ。”
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