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エスリアール王城 出会い
夢渡りには御用心?!1
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ピチョン………ピチョン……
コポ…… コポポ……… コポ……
…何か聞こえる
姫さま 姫さま♪
姫さま望む 雨降らそう♪
あーめを降らそう 恵みのあーめ♪
水をもらおう 頼みにゆこう♪
水神さまに頼みに行こう♪
ゆくよ ゆくゆく おいでよ おいで♪
水神さまに頼みに行こう♪
あーめをください 恵みのあーめ♪
あーめを降らそう 恵みのあーめ…♪
ピチョン…… ピチョン…… コポ……
トプン…… コポポ……
わらべ歌のようなものを歌う小さな子供の声
が聞こえる。遠くからすぐ近くになったり声の大きさが変わる。ひーさま?あめ?何のこと?
閉じていた瞳を開いてみれば…。
視界一杯に広がるのは透明度の高い水色。
私は…どこかもわからない水の中で漂っていた。
コポ…… コポポ……… コポ……
水の中で息はできない筈なのに何故か苦しくなくて、時折、口から出る気泡がコポポ…と音をたてて浮いていった。
耳に聞こえたコポポという音が自分から出た気泡の音だったことに納得してから目で追い、明るいあっちが水面なんだなと妙に落ち着いて見上げてた。
足下には白い砂。不思議と濡れている感触がない。服もパジャマの簡素な白いワンピースのまま。濡れて重くなるような感じもしない。
ここはなんて気持ちいいのだろう。そして静か。
ほのかに温かくて優しい場所。
色鮮やかな熱帯魚のような魚が周囲にも魚群となって泳いでいる。
のんびりとした気持ちで自分も泳ごうかと思い、まるで人魚にでもなったかのように魚を追いかけるように泳ぎだした。息継ぎいらないってすごい。目を開けていても痛くないし。
水泳習っていてよかった。
水中にサラサラと降り注ぐ光の筋に導かれるように泳いだ先には、キラキラと光る水底が目に入った。
近くまで泳いでわかったが、そこにはオパールのように白を基調として様々な色彩で輝く結晶の花、花、花。辺り一面の花畑。水中に花園が広がっていた。
水中の不思議な花園へ更に近づきたくて再び泳ぐと、平らな地形の先に花に包まれるように丸く盛り上がっている場所があることに気づき、魚達がその丸い盛り上がりに沿って円を描くように泳いでいるのが目に入った。
水底が隆起でもしてできたのか、異世界の自然の凄さのような神秘的な情景はいつまでも見ていたいと思える程に綺麗だと思った。
穏やかな時間…けれど魚達や見たことのない生き物が自由に泳いでいく他は誰もいない。
不意に知らない場所に一人きりでいることへの不安な気持ちが押し寄せる。
好奇心でここまで来てみたはいいが、何故ここに来たのだろうか?何も聞こえない水中に一人きり。
どうやって?振り向いてもここは水の中。帰り道なんてわからない。なにせ、自分は方向音痴だ。
どうしよう…どうしよう。
どうやってここに来たんだっけ?
体をぎゅっと縮こませて落ち着こうと考える。
落ち着け…落ち着け。
帰らなきゃ。帰らなきゃ。
私はどこにいるの?
シャラン… シャラン… シャラン…♪
シャラン… シャラン…♪
“まったく…。”
“こうるさくて眠れぬ。”
“誰じゃ…我の眠りを覚ましおって。”
“クゥア~~~ァ… ”
低く、苛立ちを含んだ声の主は明らかに寝起き…のようで不機嫌さが伝わってくる。長いあくびもしている。
きっと私の動揺に鈴が応えていたから騒がしてしまったかも。
水中だからなのか身体中にビシビシ響き渡る声に身が縮む思いですが、帰り方がわからないんですって言ったら怒りますよね。どうしよう。
シャラン… シャラン… シャラン…♪
シャラン…シャラン…シャラン♪
コポ…… コポポ……… コポ……
…何か聞こえる
姫さま 姫さま♪
姫さま望む 雨降らそう♪
あーめを降らそう 恵みのあーめ♪
水をもらおう 頼みにゆこう♪
水神さまに頼みに行こう♪
ゆくよ ゆくゆく おいでよ おいで♪
水神さまに頼みに行こう♪
あーめをください 恵みのあーめ♪
あーめを降らそう 恵みのあーめ…♪
ピチョン…… ピチョン…… コポ……
トプン…… コポポ……
わらべ歌のようなものを歌う小さな子供の声
が聞こえる。遠くからすぐ近くになったり声の大きさが変わる。ひーさま?あめ?何のこと?
閉じていた瞳を開いてみれば…。
視界一杯に広がるのは透明度の高い水色。
私は…どこかもわからない水の中で漂っていた。
コポ…… コポポ……… コポ……
水の中で息はできない筈なのに何故か苦しくなくて、時折、口から出る気泡がコポポ…と音をたてて浮いていった。
耳に聞こえたコポポという音が自分から出た気泡の音だったことに納得してから目で追い、明るいあっちが水面なんだなと妙に落ち着いて見上げてた。
足下には白い砂。不思議と濡れている感触がない。服もパジャマの簡素な白いワンピースのまま。濡れて重くなるような感じもしない。
ここはなんて気持ちいいのだろう。そして静か。
ほのかに温かくて優しい場所。
色鮮やかな熱帯魚のような魚が周囲にも魚群となって泳いでいる。
のんびりとした気持ちで自分も泳ごうかと思い、まるで人魚にでもなったかのように魚を追いかけるように泳ぎだした。息継ぎいらないってすごい。目を開けていても痛くないし。
水泳習っていてよかった。
水中にサラサラと降り注ぐ光の筋に導かれるように泳いだ先には、キラキラと光る水底が目に入った。
近くまで泳いでわかったが、そこにはオパールのように白を基調として様々な色彩で輝く結晶の花、花、花。辺り一面の花畑。水中に花園が広がっていた。
水中の不思議な花園へ更に近づきたくて再び泳ぐと、平らな地形の先に花に包まれるように丸く盛り上がっている場所があることに気づき、魚達がその丸い盛り上がりに沿って円を描くように泳いでいるのが目に入った。
水底が隆起でもしてできたのか、異世界の自然の凄さのような神秘的な情景はいつまでも見ていたいと思える程に綺麗だと思った。
穏やかな時間…けれど魚達や見たことのない生き物が自由に泳いでいく他は誰もいない。
不意に知らない場所に一人きりでいることへの不安な気持ちが押し寄せる。
好奇心でここまで来てみたはいいが、何故ここに来たのだろうか?何も聞こえない水中に一人きり。
どうやって?振り向いてもここは水の中。帰り道なんてわからない。なにせ、自分は方向音痴だ。
どうしよう…どうしよう。
どうやってここに来たんだっけ?
体をぎゅっと縮こませて落ち着こうと考える。
落ち着け…落ち着け。
帰らなきゃ。帰らなきゃ。
私はどこにいるの?
シャラン… シャラン… シャラン…♪
シャラン… シャラン…♪
“まったく…。”
“こうるさくて眠れぬ。”
“誰じゃ…我の眠りを覚ましおって。”
“クゥア~~~ァ… ”
低く、苛立ちを含んだ声の主は明らかに寝起き…のようで不機嫌さが伝わってくる。長いあくびもしている。
きっと私の動揺に鈴が応えていたから騒がしてしまったかも。
水中だからなのか身体中にビシビシ響き渡る声に身が縮む思いですが、帰り方がわからないんですって言ったら怒りますよね。どうしよう。
シャラン… シャラン… シャラン…♪
シャラン…シャラン…シャラン♪
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