203 / 599
エスリアール王城 出会い
はじめてのショッピング~ズボンを求めて~3
しおりを挟む
そして、アネルさん一押しは艶めく紺色の生地を土台に迫力ある青龍の刺繍が施されていた。
ドラゴンは渋めの濃い青系の糸が使われ、海の青さを思わせるマリンブルー、瑠璃色よりも暗い瑠璃紺、武士に好まれる勝ち色といわれるごく暗い紫みの青などで躍動感ある登り龍だ。
濃い深みのある青系でキリッとしていて、まるで夜の海みたい。
対照的なこの2着を選び、最初に試着した組み合わせを一式アネルさんチョイスの方で色違いを購入することになったようだ。
にしても、チャイナ服風のこの民族衣装、本当に素敵だな。お、この黒いのもいい。刺繍の赤や金の派手な鳥は朱雀?それとも不死鳥?それか鳳凰とか?
呼び方が違うだけで同じ生き物なのかな。
滑らかな漆黒の生地に鮮やかな赤い糸の濃淡と金糸も贅沢に使われ羽ばたき飛翔する鳥が
描かれている。きっと聖獣シリーズかな。
「アーヤ、気に入ったのあった?」
「はい、何着も選ばせて貰えました。」
「黒も似合いそうだね。」
「白と濃紺は試着して買うことになりました。これは、待ってる間に見ていただけです。」
「かして、それ。」
「?はい。」
シオンさんに黒服を渡すと、手に持ち直して私にあてがって眺めている。
「元の黒髪が更に引き立って、似合うよこれ。買わないの?」
「え?会計にアネルさん行ってますし、もう沢山です。」
「じゃあ、私が買ってあげる。」
「え?!そんな、シオンさんいいですよ。」
「遠慮しないで。一点くらい、黒系の服あった方がいいし、プレゼントさせて。」
「え~?何のプレゼントですか?!」
「…ズボンが履けた記念?」
「何ですか。その記念…。」
「じゃあ、これ買って来る。」
「ちょっ、ちょっと待って、シオンさん。シオンさんの物は買わないんですか?どうせ買うならシオンさんの買いたい物を…。」
「これが買いたい。」
「えぇー。」
「買って来るね。」
「………。」
行ってしまった。
ちなみに、気になるこちらのお金の単位は、1リル=1円。豪華なチャイナ服上下セットは8000リル。
もっと高額かと思った。意外とそうでもないと感じても、やはり他者に買って貰うのは何だか申し訳ない感が否めない。記念にという気遣いは嬉しいんだけど。
服屋を出てから、今度は靴屋に行き運動しやすい少年靴を探して一つ選んだ。
最後に忘れていた普通のカツラを売る店に寄ってセミロングの茶髪を買ってくれた。絶対に切らないでくださいねと頼まれ、必要に迫られい限りは伸ばすことを約束して、やっと安心した様子にアネルさんとリリアさんが落ち着いた。
その後は、皆で馬車に向かって歩き帰ることに。
広場に到着した頃には今日1日楽しかった思いを馬車に乗る前に一人ずつ顔を見ながらお礼を伝えたくなった。
「沢山、買い物しましたね。今日はとっても楽しかったです。アネルさん、リリアさん、シュナイゼさん、シオンさんありがとうございました。」
「勿体ないお言葉です。」
「私もアーヤ様と見て回れて楽しかったです。」
「出国日までにまた、外出したい時はいつでもお声をかけてください。」
「気分転換もできて良かったね。」
「はい。」
帰りの馬車では、うとうと眠くなり、城に着くまでいつの間にかシオンさんの肩に寄りかかり眠ってしまった。
揺られた馬車の中で見た夢は、過去に行ったケーキバイキングの店で誰かと沢山ケーキに囲まれて嬉しい気持ちになった夢を見た。
城に到着後、自室に戻ってから色替え薬の効果を解除する薬を飲んで見慣れた色に戻した。
はぁ…落ち着く~。日本人ならやっぱり黒だよね。
今日買った物は早ければ今日届く物もあり、遅くても明日には全て揃うとのことで、明日は買った一式の確認をしてから男装用の一式も試すことになった。アネルさん、リリアさんが組み合わせ等チェックしたいらしい。
夕食の後、いつもよりは早くお風呂を済ませて、密かにかんがえていた肩揉み計画を実行してアネルさんとリリアさんには改めてお礼を伝えた。
初めは畏れ多いと断られそうになったけれど、私がしつこくお願いしたので二人が折れてくれた。
やっぱり肩は凝っていて、少しでも楽になればいいなと思いながら揉むこと数分、終わってみれば肩凝りなどなかった様に軽くなったと二人には喜ばれ、私もほっこり嬉しくなった。
寝室に戻り、ベッドにゴロン。
明日は今日買った色々な物が城に届くのか。また、チャイナ服着れるのは楽しみだな。
優に今日の色々を話したかったけど、ベッドに横になったらもう…瞼が重くて…もう…無理。
今日はこのまま寝よう。
メールだけ、明日電話するからと送信して私は力尽きて眠ってしまった。
ドラゴンは渋めの濃い青系の糸が使われ、海の青さを思わせるマリンブルー、瑠璃色よりも暗い瑠璃紺、武士に好まれる勝ち色といわれるごく暗い紫みの青などで躍動感ある登り龍だ。
濃い深みのある青系でキリッとしていて、まるで夜の海みたい。
対照的なこの2着を選び、最初に試着した組み合わせを一式アネルさんチョイスの方で色違いを購入することになったようだ。
にしても、チャイナ服風のこの民族衣装、本当に素敵だな。お、この黒いのもいい。刺繍の赤や金の派手な鳥は朱雀?それとも不死鳥?それか鳳凰とか?
呼び方が違うだけで同じ生き物なのかな。
滑らかな漆黒の生地に鮮やかな赤い糸の濃淡と金糸も贅沢に使われ羽ばたき飛翔する鳥が
描かれている。きっと聖獣シリーズかな。
「アーヤ、気に入ったのあった?」
「はい、何着も選ばせて貰えました。」
「黒も似合いそうだね。」
「白と濃紺は試着して買うことになりました。これは、待ってる間に見ていただけです。」
「かして、それ。」
「?はい。」
シオンさんに黒服を渡すと、手に持ち直して私にあてがって眺めている。
「元の黒髪が更に引き立って、似合うよこれ。買わないの?」
「え?会計にアネルさん行ってますし、もう沢山です。」
「じゃあ、私が買ってあげる。」
「え?!そんな、シオンさんいいですよ。」
「遠慮しないで。一点くらい、黒系の服あった方がいいし、プレゼントさせて。」
「え~?何のプレゼントですか?!」
「…ズボンが履けた記念?」
「何ですか。その記念…。」
「じゃあ、これ買って来る。」
「ちょっ、ちょっと待って、シオンさん。シオンさんの物は買わないんですか?どうせ買うならシオンさんの買いたい物を…。」
「これが買いたい。」
「えぇー。」
「買って来るね。」
「………。」
行ってしまった。
ちなみに、気になるこちらのお金の単位は、1リル=1円。豪華なチャイナ服上下セットは8000リル。
もっと高額かと思った。意外とそうでもないと感じても、やはり他者に買って貰うのは何だか申し訳ない感が否めない。記念にという気遣いは嬉しいんだけど。
服屋を出てから、今度は靴屋に行き運動しやすい少年靴を探して一つ選んだ。
最後に忘れていた普通のカツラを売る店に寄ってセミロングの茶髪を買ってくれた。絶対に切らないでくださいねと頼まれ、必要に迫られい限りは伸ばすことを約束して、やっと安心した様子にアネルさんとリリアさんが落ち着いた。
その後は、皆で馬車に向かって歩き帰ることに。
広場に到着した頃には今日1日楽しかった思いを馬車に乗る前に一人ずつ顔を見ながらお礼を伝えたくなった。
「沢山、買い物しましたね。今日はとっても楽しかったです。アネルさん、リリアさん、シュナイゼさん、シオンさんありがとうございました。」
「勿体ないお言葉です。」
「私もアーヤ様と見て回れて楽しかったです。」
「出国日までにまた、外出したい時はいつでもお声をかけてください。」
「気分転換もできて良かったね。」
「はい。」
帰りの馬車では、うとうと眠くなり、城に着くまでいつの間にかシオンさんの肩に寄りかかり眠ってしまった。
揺られた馬車の中で見た夢は、過去に行ったケーキバイキングの店で誰かと沢山ケーキに囲まれて嬉しい気持ちになった夢を見た。
城に到着後、自室に戻ってから色替え薬の効果を解除する薬を飲んで見慣れた色に戻した。
はぁ…落ち着く~。日本人ならやっぱり黒だよね。
今日買った物は早ければ今日届く物もあり、遅くても明日には全て揃うとのことで、明日は買った一式の確認をしてから男装用の一式も試すことになった。アネルさん、リリアさんが組み合わせ等チェックしたいらしい。
夕食の後、いつもよりは早くお風呂を済ませて、密かにかんがえていた肩揉み計画を実行してアネルさんとリリアさんには改めてお礼を伝えた。
初めは畏れ多いと断られそうになったけれど、私がしつこくお願いしたので二人が折れてくれた。
やっぱり肩は凝っていて、少しでも楽になればいいなと思いながら揉むこと数分、終わってみれば肩凝りなどなかった様に軽くなったと二人には喜ばれ、私もほっこり嬉しくなった。
寝室に戻り、ベッドにゴロン。
明日は今日買った色々な物が城に届くのか。また、チャイナ服着れるのは楽しみだな。
優に今日の色々を話したかったけど、ベッドに横になったらもう…瞼が重くて…もう…無理。
今日はこのまま寝よう。
メールだけ、明日電話するからと送信して私は力尽きて眠ってしまった。
0
お気に入りに追加
534
あなたにおすすめの小説
異世界楽々通販サバイバル
shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。
近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。
そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。
そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。
しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。
「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
異世界でタロと一緒に冒険者生活を始めました
ももがぶ
ファンタジー
俺「佐々木光太」二十六歳はある日気付けばタロに導かれ異世界へ来てしまった。
会社から帰宅してタロと一緒に散歩していたハズが気が付けば異世界で魔法をぶっ放していた。
タロは喋るし、俺は十二歳になりましたと言われるし、これからどうなるんだろう。
異世界転生したら何でも出来る天才だった。
桂木 鏡夜
ファンタジー
高校入学早々に大型トラックに跳ねられ死ぬが気がつけば自分は3歳の可愛いらしい幼児に転生していた。
だが等本人は前世で特に興味がある事もなく、それは異世界に来ても同じだった。
そんな主人公アルスが何故俺が異世界?と自分の存在意義を見いだせずにいるが、10歳になり必ず受けなければならない学校の入学テストで思わぬ自分の才能に気づくのであった。
===========================
始めから強い設定ですが、徐々に強くなっていく感じになっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる