夢じゃなかった！？

エスリアール王城 出会い

はじめてのショッピング～ズボンを求めて～2

一時期、パーソナルカラー診断という物があることを知り、自分に合う色を調べたり、実際に好きな色と照らし合わせたりしたな～。
　

「服の組み合わせは、この２パターンで大丈夫そうですね。サイズもわかりました。では、色は茶系とグレー系にしましょう。

黒は礼節をわきまえる場に着る色なので、私服にはあまり使われません。」


確かに、黒は冠婚葬祭で活躍する色だものね。シックな感じもするし、異世界共通か。

「室内で着れるズボンと上の服は何かありますか？」

「それでしたら、綿素材の柔らかい布地のズボンがあります。ベージュか、グレーがありますよ。ただし、これで人前にでるのはちょっと。寝る時に着るような質素な服ですから。」

「お腹にゴムが入ってる！楽ですね。室内着に持ってこいです　。じゃあ、パジャマ代わりにいいかな。」

上もお揃いの生地で、ボタンの代わりの紐と丸い玉型の紐がアレみたい。カンフー服？中国系？かわいい。

「お気に召しましたか？このデザインは獣人族の民族衣装が元になっているので、動きやすいと評判のようです。絹シルク生地と刺繍ししゅうデザインの手の込んだこちらの様な服を日常着にする獣人も活発なヒトもいるそうですよ。」

「わあ、これとほぼ同じ物は見たことがありますよ！確かに動き易いでしょうね。憧れます。チャイナ服みたい。格好いい。」


上の服は足首位まで長く、両サイドにスリットが入っている。正面にも、背面にも豪華な刺繍入りですよ。艶々な生地と刺繍のコントラストが素晴らしい。ズボンには刺繍なし。

「アーヤ様、この獣人衣装の様な服、是非着て頂きたいデザインが幾つかあります。今、お持ちします！」

リリアさんは、風のようにチャイナ服を取りに行った。そして、アネルさんも…。

「私も、お勧めを見て参ります。この手の服は剣術、体術、魔法の練習にもいいと思います。」

「よろしくお願いします。」

日本で憧れたチャイナ服がまさか異世界で着れようとは、人生わからないものだ。
二人のお勧めを順に試着していった中で、２着に絞ることにした。

本当は二人はあとこれも、あれもと５着は買いそうだったのでもう十分と食い下がり、どうにか減らしてもらうことに成功した。

リリアさん一押しだったのは、フォギムーンという霧がかった月のようなオフホワイトの色調の生地を土台に優美ゆうびな麒麟の刺繍が施ほどこされていた。

鮮やかな鬣たてがみは金箔の様に濃い金色と春先に日本各地に降る黄砂のような色で描かれ、煌きらめく胴体は天使の羽の様な淡い水色や純白の糸などがふんだんに使われていた。

全体的に白と金で淡い感じがする。