163 / 599
エスリアール王城 出会い
移り香side***ラナ&レオナルド1
しおりを挟む
アーヤさんと別れて私は真っ直ぐ、レオナルドの元へ転移した。
シュン
「こんばんは。レオ。」
「お前、学院以外だといつも突然だな。俺だからいいようなものの、少しは考えろよ。」
外出前に薄手のコートを羽織ったところで突然ラナが室内に現れた。
「考えていますよ。レオなら今の時間、一度帰宅して身軽に着替えてから夕食も後回しにそろそろ飲みに行く頃だろうことを予想して来ました。」
「はぁ…で?俺が飲みに行く事がわかってて来たってことはお前にしては珍しい相談事か?」
「流石レオ。貴方のそういう所が好きですよ。話が早くて助かります。」
「お前、そういう言い方やめろって。鳥肌たつだろう。」
「今日は何処の店にするんですか?ほら、行きますよ?」
私はレオの横を通り過ぎ、早速先導しながら何処の店に行くのか急かして玄関を開く夕陽の日差しと風が私の頬を掠めるのを感じた。
「はぁ、何処にするか俺が決めるのに、なんで偉そうに俺より先に出発しようとしてん……ん?やっぱり…お前石鹸でも変えたのか?」
俺の横を通りすぎた時と玄関に入り込む風がラナの香りを漂わせた。
長年、ラナ独特の甘ったるい香りに慣れているが、それに紛れて何とも言えない花の香りを微かに感じた。
そんな些細な変化がわかる自分にも嫌気がさすが、違和感に思わず口にしてしまった。
「いいえ?」
「気のせいか?…なんかいつもと違う気がしたんだが。」
石鹸なんて変えていませんよ。
「そうですか?変ですね。」
自分の腕や上着の匂いをスンスン嗅ぐラナはなんとも間抜けに見えて笑えた。
が、次の瞬間俺は見てしまった 。
匂いを数回嗅いでから、はっ!と何か思い当たる節があったのだろう、ラナの整った表情が一瞬固まったと思ったら、次の瞬間………
…甘く破顔した。
そして、よりにもよって聞こえてしまった。奴の呟きが。
「そうか…彼女の」
おい、彼女って誰だよ!
移り香が残る程くっついたのか?お前が?一体相手はどこの女だよ。
今時、純粋に自身の香りを纏う者なんて種族は違えど高い魔力、質の持ち位だ。
魔力に比例した自身の香りを気に入らず、見栄から香水で誤魔化す輩輩も多い。
しかし、香水を使って自身の魔力を誤魔化すような考えは魔力への《ぼうとく》冒涜と毛嫌いしていたはず。だからラナが香水を使うことはまず、あり得ない。
一に魔法、二に術式、三度の飯より魔法のことで頭が一杯のお前に何があった。
「事情はわからんが、今日は飲むぞ。俺に聞いて欲しい話があるなら店についてからゆっくり聞いて付き合ってやるから。ほら、行くぞ。」
「はい。」
いつになく素直なラナが心配になってくる。
迷客アーヤ・サトーの魔力抑制やら属性やらで珍しく浮かれていたんじゃないのか?そんなお前にいつ、そんな暇が。その香りの女と一体何があったんだよ。
ツッコミみたいことがありすぎるレオナルド。店は、他者に邪魔されずゆっくり話せることを基準に選んだ。
「よし、今夜はジンに行くぞ。」
「そこは、一緒に行ったことありましたっけ?」
「ないな。少し歩くが、酒と食事がうまくてゆっくりできる個室がある店だ。その方がいいだろ。」
「お気遣い、ありがとうございます。レオ」
素では口が悪いだけで何だかんだ言っても、自分に対して親身になってくれる頼りになる存在であり、持つべきものは親友ですねと歩きながらラナはレオナルドと過ごした学生時代や過去の相談事を思い返していた。
シュン
「こんばんは。レオ。」
「お前、学院以外だといつも突然だな。俺だからいいようなものの、少しは考えろよ。」
外出前に薄手のコートを羽織ったところで突然ラナが室内に現れた。
「考えていますよ。レオなら今の時間、一度帰宅して身軽に着替えてから夕食も後回しにそろそろ飲みに行く頃だろうことを予想して来ました。」
「はぁ…で?俺が飲みに行く事がわかってて来たってことはお前にしては珍しい相談事か?」
「流石レオ。貴方のそういう所が好きですよ。話が早くて助かります。」
「お前、そういう言い方やめろって。鳥肌たつだろう。」
「今日は何処の店にするんですか?ほら、行きますよ?」
私はレオの横を通り過ぎ、早速先導しながら何処の店に行くのか急かして玄関を開く夕陽の日差しと風が私の頬を掠めるのを感じた。
「はぁ、何処にするか俺が決めるのに、なんで偉そうに俺より先に出発しようとしてん……ん?やっぱり…お前石鹸でも変えたのか?」
俺の横を通りすぎた時と玄関に入り込む風がラナの香りを漂わせた。
長年、ラナ独特の甘ったるい香りに慣れているが、それに紛れて何とも言えない花の香りを微かに感じた。
そんな些細な変化がわかる自分にも嫌気がさすが、違和感に思わず口にしてしまった。
「いいえ?」
「気のせいか?…なんかいつもと違う気がしたんだが。」
石鹸なんて変えていませんよ。
「そうですか?変ですね。」
自分の腕や上着の匂いをスンスン嗅ぐラナはなんとも間抜けに見えて笑えた。
が、次の瞬間俺は見てしまった 。
匂いを数回嗅いでから、はっ!と何か思い当たる節があったのだろう、ラナの整った表情が一瞬固まったと思ったら、次の瞬間………
…甘く破顔した。
そして、よりにもよって聞こえてしまった。奴の呟きが。
「そうか…彼女の」
おい、彼女って誰だよ!
移り香が残る程くっついたのか?お前が?一体相手はどこの女だよ。
今時、純粋に自身の香りを纏う者なんて種族は違えど高い魔力、質の持ち位だ。
魔力に比例した自身の香りを気に入らず、見栄から香水で誤魔化す輩輩も多い。
しかし、香水を使って自身の魔力を誤魔化すような考えは魔力への《ぼうとく》冒涜と毛嫌いしていたはず。だからラナが香水を使うことはまず、あり得ない。
一に魔法、二に術式、三度の飯より魔法のことで頭が一杯のお前に何があった。
「事情はわからんが、今日は飲むぞ。俺に聞いて欲しい話があるなら店についてからゆっくり聞いて付き合ってやるから。ほら、行くぞ。」
「はい。」
いつになく素直なラナが心配になってくる。
迷客アーヤ・サトーの魔力抑制やら属性やらで珍しく浮かれていたんじゃないのか?そんなお前にいつ、そんな暇が。その香りの女と一体何があったんだよ。
ツッコミみたいことがありすぎるレオナルド。店は、他者に邪魔されずゆっくり話せることを基準に選んだ。
「よし、今夜はジンに行くぞ。」
「そこは、一緒に行ったことありましたっけ?」
「ないな。少し歩くが、酒と食事がうまくてゆっくりできる個室がある店だ。その方がいいだろ。」
「お気遣い、ありがとうございます。レオ」
素では口が悪いだけで何だかんだ言っても、自分に対して親身になってくれる頼りになる存在であり、持つべきものは親友ですねと歩きながらラナはレオナルドと過ごした学生時代や過去の相談事を思い返していた。
0
お気に入りに追加
532
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?
N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、
生まれる世界が間違っていたって⁇
自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈
嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!!
そう意気込んで転生したものの、気がついたら………
大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い!
そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!!
ーーーーーーーーーーーーーー
※誤字・脱字多いかもしれません💦
(教えて頂けたらめっちゃ助かります…)
※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません
前世の記憶さん。こんにちは。
満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。
周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。
主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。
恋愛は当分先に入れる予定です。
主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです!
小説になろう様にも掲載しています。
異世界でタロと一緒に冒険者生活を始めました
ももがぶ
ファンタジー
俺「佐々木光太」二十六歳はある日気付けばタロに導かれ異世界へ来てしまった。
会社から帰宅してタロと一緒に散歩していたハズが気が付けば異世界で魔法をぶっ放していた。
タロは喋るし、俺は十二歳になりましたと言われるし、これからどうなるんだろう。
仲良しな天然双子は、王族に転生しても仲良しで最強です♪
桐生桜月姫
ファンタジー
愛良と晶は仲良しで有名な双子だった。
いつも一緒で、いつも同じ行動をしていた。
好き好みもとても似ていて、常に仲良しだった。
そして、一緒に事故で亡くなった。
そんな2人は転生して目が覚めても、またしても双子でしかも王族だった!?
アイリスとアキレスそれが転生後の双子の名前だ。
相変わらずそっくりで仲良しなハイエルフと人間族とのハーフの双子は異世界知識を使って楽しくチートする!!
「わたしたち、」「ぼくたち、」
「「転生しても〜超仲良し!!」」
最強な天然双子は今日もとっても仲良しです!!
異世界楽々通販サバイバル
shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。
近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。
そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。
そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。
しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。
「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる