夢じゃなかった!?

Rin’

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エスリアール王城 出会い

移り香side***ラナ&レオナルド1

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アーヤさんと別れて私は真っ直ぐ、レオナルドの元へ転移した。

シュン
「こんばんは。レオ。」

「お前、学院以外だといつも突然だな。俺だからいいようなものの、少しは考えろよ。」

外出前に薄手のコートを羽織ったところで突然ラナが室内に現れた。

「考えていますよ。レオなら今の時間、一度帰宅して身軽に着替えてから夕食も後回しにそろそろ飲みに行く頃だろうことを予想して来ました。」

「はぁ…で?俺が飲みに行く事がわかってて来たってことはお前にしては珍しい相談事か?」

「流石レオ。貴方のそういう所が好きですよ。話が早くて助かります。」

「お前、そういう言い方やめろって。鳥肌たつだろう。」

「今日は何処どこの店にするんですか?ほら、行きますよ?」

私はレオの横を通り過ぎ、早速先導しながら何処の店に行くのか急かして玄関を開く夕陽の日差しと風が私の頬をかすめるのを感じた。

「はぁ、何処にするか俺が決めるのに、なんで偉そうに俺より先に出発しようとしてん……ん?やっぱり…お前石鹸でも変えたのか?」

俺の横を通りすぎた時と玄関に入り込む風がラナの香りをただよわせた。

長年、ラナ独特の甘ったるい香りに慣れているが、それに紛れて何とも言えない花の香りを微かに感じた。

そんな些細ささいな変化がわかる自分にも嫌気がさすが、違和感に思わず口にしてしまった。

「いいえ?」

「気のせいか?…なんかいつもと違う気がしたんだが。」

石鹸なんて変えていませんよ。
「そうですか?変ですね。」

自分の腕や上着の匂いをスンスン嗅ぐラナはなんとも間抜けに見えて笑えた。
が、次の瞬間俺は見てしまった 。


匂いを数回嗅いでから、はっ!と何か思い当たる節があったのだろう、ラナの整った表情が一瞬固まったと思ったら、次の瞬間………


…甘く破顔はがんした。


そして、よりにもよって聞こえてしまった。奴のつぶやきが。


「そうか…彼女の」

おい、彼女って誰だよ!


移りが残る程くっついたのか?お前が?一体相手はどこのだれだよ。

今時、純粋に自身の香りを纏う者なんて種族は違えど高い魔力、質の持ち位だ。

魔力に比例した自身の香りを気に入らず、見栄から香水で誤魔化ごまかす輩やからも多い。

しかし、香水を使って自身の魔力を誤魔化すような考えは魔力への《ぼうとく》冒涜ぼうとくと毛嫌いしていたはず。だからラナが香水を使うことはまず、あり得ない。

一に魔法、二に術式、三度の飯より魔法のことで頭が一杯のお前に何があった。


「事情はわからんが、今日は飲むぞ。俺に聞いて欲しい話があるなら店についてからゆっくり聞いて付き合ってやるから。ほら、行くぞ。」

「はい。」

いつになく素直なラナが心配になってくる。
迷客アーヤ・サトーの魔力抑制やら属性やらで珍しく浮かれていたんじゃないのか?そんなお前にいつ、そんな暇が。その香りの女と一体何があったんだよ。

ツッコミみたいことがありすぎるレオナルド。店は、他者に邪魔されずゆっくり話せることを基準に選んだ。


「よし、今夜はジンに行くぞ。」

「そこは、一緒に行ったことありましたっけ?」

「ないな。少し歩くが、酒と食事がうまくてゆっくりできる個室がある店だ。その方がいいだろ。」

「お気遣い、ありがとうございます。レオ」


素では口が悪いだけで何だかんだ言っても、自分に対して親身になってくれる頼りになる存在であり、持つべきものは親友ですねと歩きながらラナはレオナルドと過ごした学生時代や過去の相談事を思い返していた。
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