夢じゃなかった!?

Rin’

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エスリアール王城 出会い

移り香side***エルシオン3

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「ちょっとお兄ちゃん、後ろを向いてて?」

「いいけれど、何する気?」

綾子に背を向けてとりあえず聞いてみる。


「今日、一日出かけてお兄ちゃん不足だから、ちょっとだけくっついて補充させて貰おうかなと思って。ダメ、かな?」

「………。」

お兄ちゃん不足?くっついて…補充?

「やっぱ、いい!ごめんね。こんな大きな妹にくっつかれたくないよね。もう帰「て…綾子」」

待って。綾子。

グイ  

足早に退室しようとした綾子だが、私が急いで歩み寄れば一瞬でその小さな背中に追い付いて腕を掴み、綾子の足を止めることごできた。

フワッ

気づけば私は背を向けたままの綾子を腕の中に閉じ込めていた。スッポリ収まる綾子の体。いつもの花の香りがする。

先程の言葉は私の聞き間違いではない?私が足りないと…私のことをほっしてくれたのか?兄バカだと自分でも自覚しているが、少しは寂しいと思ってくれたのか?


「綾子…さっきの、本当?」

「さっき?」

「私が不足してるって。」

「ああ!お兄ちゃん不足?」

「そう、それ。」

「本当だよ。」

綾子…

「…私も綾子不足だ。」

「!」


ギュッッ 


「お、お兄ちゃんも?」

「私を好きなだけ綾子に(補充させて)あげるから、私にも綾子を(補充させて)くれる?」

逃がすつもりもないが、わざと耳元に語りかけて綾子にうかがいをたてる。綾子に許しを乞うように。

「う、うん。わかった。」

「しばらくこうして。」



「「・・・・・・・・・・・。」」



「あの、そろそろ大丈夫?」

「まだ…足りない。」

綾子が私の腕に手を重ねて尋ねてきたが、私はまだ綾子を離したくなかった。

あと、少し。もう少しだけ。

ゆっくり腕を緩めて綾子を解放した。

離れたことでぬくもりと香りが遠ざかる。

「ごめん。引き止めて。」

「ううん、私が言い出したんだし。補充…できた?」

「できたよ。ありがとう。」

恥ずかしそうに赤い顔で振り返った綾子。

「私もできた。じゃあ、行くね。おやすみなさい。」

「ああ、おやすみ。」

バタン…部屋から綾子がいなくなった。

綾子を見送り、いなくなった部屋でフラフラとソファー座ろうと移動した。だらしなくも座り、横に倒れた。


パタリ


まだ腕と胸の中に残る綾子のぬくもりと香りそれらの感触に胸が締め付けられた。

綾子と自身の言動を思い出し、
はぁーーーーーーと長いため息を吐いた。

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