夢じゃなかった!?

Rin’

文字の大きさ
上 下
156 / 599
エスリアール王城 出会い

負の連鎖と安らぎの波紋7

しおりを挟む

シュン

只今ただいま戻りました。」

「サリアンさん、お帰りなさい。オーナーさんはまだですよ。」

「間に合ったようで良かったです。」



「お待たせ致しました。アーヤ様、こちらが繋げ直した鈴と玉石です。イヤーフックは、属性を扱うので、初めての作業や術を施すこともありまして、おおよそ六日程かかるかと思われます。」

「受け取りには、またアーヤさんを連れて来ますので、先触れで連絡をください。」

「はい、完成致しましたらサリアン様にご連絡致します。また、お二人でお越しくださいませ。」

「よろしく頼みます。」

「よろしくお願いします。」

二ャ~オ

「またね、ノワール。」


サリアンさんと私は店を出て敷地内の騎獣の視線を受けながら話す。

「本日の目的、魔力抑制具であるピアスも身に付けることができましたし、属性封印具も無事依頼できて良かったですね。イヤーフックとはフフ、楽しみです。」

「イヤーフックしたことないんですけど、憧れていたので挑戦してみます。サリアンさんには色々お世話になりっぱなしですね。今度何かお礼をさせてください。」

「お礼なんて、気にしないでください。」

「これから学院でも生徒としてご迷惑もお掛けしてしまうだろうし、何かお礼がしたいです
。私にできることなら何か考えておいてください。」

「フフ、わかりました。そこまでおっしゃるなら何かお礼として、頼みごとをする機会をひとつ考えておきましょう。」
「はい。」

「さて、エスリアール王城にそろそろお送りしなければ、デュカーレ君のお叱りを受けることになりかねません。アーヤさんを困らせるのは私の本意ではないので、帰りましょうか。」
サリアンさんに言われて、スマホの時刻を見ればなんだかんだで16:20。気づけば夕方になっていた。

「あっという間でしたね。確かにそろそろ帰らないと。」

「転移をする前に、アーヤさん、魔力を体全体に今の状態の三倍厚く纏うように意識してみてください。」
「はい。厚く纏う…厚くイメージ。」

「そうです。お上手ですよ」
「そのままで、転移します。私にまた掴まりますか?」

「はい。」
腕を借りて掴まる。

「転移します。」
「はい。」

シュン
 
…ストン

眩暈しない、今度は大丈夫みたい。
サリアンさんは一瞬の間にラナ先生の姿に早変わりしていた。
「酔わなかったみたいです。ありがとうございました。魔力を纏えば予防できるんですね。」
「体調には影響がないようですね、魔力の波長が乱れないようにする為に効果があって良かったです。
ああ、忘れるところでした。これをアーヤさんに。」

「何ですか?」

「おやつです。何でもライスを潰して油で揚げたものだとか。」

「えっ?!もしかして揚げもち?お煎餅せんべいですか?」

「そう、確かそんな名前だったような。」

「マジェストーラで見かける屋台の定番おやつのようです。過去にアーヤさんのような迷客が広めたのかもしれません。 ライス好きなアーヤさんに食べて頂きたいと思いまして。」

「ありがとうございます!!大事に食べます!」

「喜んで頂けて私も嬉しいです。今度ブルーローズに行く時はライスのあるお店をご紹介しますね。」

「ライス、ご飯のあるお店?!いいんですか?」

「はい。イヤーフックの受け取り日は先触れを送ります。共にお出掛けできる日を心待ちにしておりますね。」

「はい、私も楽しみです。」


あれ?視界にシュナイゼさんが入って、お兄ちゃんも近づいて来るのが見えた。
「お帰りなさいませ。アーヤ様。」

「シュナイゼさん、ただいま戻りました。」

「お帰りなさい、アーヤ。」

「ただいま戻りました。シオンさん、あ、ラナ先生にお土産貰いました。お煎餅せんべいかな?私の世界では馴染みがあるおやつです。お米やもち米を使っていて。っててシオンさん?何してるの?」

頭を撫でたお兄ちゃんから魔法の発動を感じた。
「何でクリーン魔法をかけたんですか?」
と気づいた綾子。

「ああ、外出から帰ったから、手洗いみたいなものだよ。」
「ああ、なるほど。うがい、手洗いね。」

「ブラム先生、今日はアーヤが大変お世話になったようで、無事に送ってくださりありがとうございました。」

「いえ、お気になさらず。かえって、時間が足りないくらい私が楽しませて頂きましたよ。
また近々、追加の属性封印の為にアーヤさんを迎えに来ます。その際もどうぞご安心ください。」

「そうでしたか。わかりました。」

「ラナ先生、お気をつけて帰ってくださいね。今日はありがとうございました。」

「はい、アーヤさんも次にお会いするまですこやかにお過ごしください。お部屋までお送りせずとも、お出迎えが来たようなので名残惜しいのですが、私はこれにて失礼致します。」

胸に手を当てて、お辞儀をするラナ先生。

「さようなら。」

「さようなら。よい週末を。」





***************
次回からしばらく、“同じタイトル”でside誰かの目線で進んでいくので、本編から少し離れます。どうぞお付き合いくださいませ。

sideエルシオン
side綾子
sideラナ&レオナルド
***************
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

異世界営生物語

田島久護
ファンタジー
相良仁は高卒でおもちゃ会社に就職し営業部一筋一五年。 ある日出勤すべく向かっていた途中で事故に遭う。 目覚めた先の森から始まる異世界生活。 戸惑いながらも仁は異世界で生き延びる為に営生していきます。 出会う人々と絆を紡いでいく幸せへの物語。

異世界楽々通販サバイバル

shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。 近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。 そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。 そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。 しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。 「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

異世界でタロと一緒に冒険者生活を始めました

ももがぶ
ファンタジー
俺「佐々木光太」二十六歳はある日気付けばタロに導かれ異世界へ来てしまった。 会社から帰宅してタロと一緒に散歩していたハズが気が付けば異世界で魔法をぶっ放していた。 タロは喋るし、俺は十二歳になりましたと言われるし、これからどうなるんだろう。

異世界転生したら何でも出来る天才だった。

桂木 鏡夜
ファンタジー
高校入学早々に大型トラックに跳ねられ死ぬが気がつけば自分は3歳の可愛いらしい幼児に転生していた。 だが等本人は前世で特に興味がある事もなく、それは異世界に来ても同じだった。 そんな主人公アルスが何故俺が異世界?と自分の存在意義を見いだせずにいるが、10歳になり必ず受けなければならない学校の入学テストで思わぬ自分の才能に気づくのであった。 =========================== 始めから強い設定ですが、徐々に強くなっていく感じになっております。

処理中です...