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エスリアール王城 出会い
腹ごなしは歌で5
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「アーヤさん!待ってください。」
「はい?」
「歩き出す前に、クリーン魔法をかけます。はい、終わりました。」
「おお、服も手のひらも綺麗になりました。ありがとうございます。」
すっきり綺麗になった。便利だねー。私も覚えたい。
「それから、はい。」
「はい?」
「スティールが待つのは、アーヤさんが向かおうとした方角と真逆のこちらです。迷子になったら困るので、このまま手を繋いで行きましょうか。」
「へっ?逆?嘘。」
ガーン。またもやスタートから失敗。
「さあ、参りましょう。」
「すみません。失敗しましたが、ずっと手を繋いでなくても流石に迷子にはならないです。」
「いえいえ、先程麒麟様にも宣言しましたからね。何かあったら顔向けできませんから。」
「いやいや、そうそう何も起きないですよ。方向音痴なのは認めますけど。」
「嫌ですか?私と手を繋いで歩くのは。」
「うっ、嫌じゃないですけど…」
立ち止まって、メガネなしのサリアンさんがこちらをシュンとした眼差しで見つめてくる。
「じゃあ、何の問題はありませんね。」
問題…ないの?お兄ちゃん以外に過保護な人増えた。
「…過保護過ぎますよ。」
「そんなことはありませんよ。 」
スティールは伏せて待っていた。
「お待たせしました。スティール。これからまだしばらく空中散歩をします。エスリアールとマジェストーラ、最後にラナンキュラスの上空を回りましょう。お願いします。」
「よろしくね。スティール。」
グァウルゥー。
スチャ
メガネを装着したサリアンさん。
「アーヤさん、鞍に乗りますよ。失礼します。」
「はい。」
ああ、今日1日で何回お姫様抱っこされたのかな。
「あの、何度も乗り降りで抱えて頂いて面倒をおかけしてすみません。」
「いいえ、アーヤさんは羽のように軽いですし何も迷惑なことはありませんよ。むしろ役得です。」
そうですか。貴方のような超美形様に姫抱きされる身としては、誰も見ていなくても非常に肩身が狭いのですが。
大人な落ち着きと丁寧な紳士口調なのに時々言う冗談やびっくりする行動にハラハラドキドキさせられてしまう。
この甘いバニラみたいな香りにもうっとりしそうになる。こっそりスンスンしちゃいますよ?香水かな。
スティールの肩辺りの鞍の上にまず下ろされて立つ。横向きに座り、浮上に備えて掴まらせて貰う。
「サリアンさんまた、掴まらせてください。」
「どうぞ。落ちないようにしっかりお願いします。私も腕を回しますね。」
腕の中にスッポリと収まってしまう小柄なアーヤさん。
先程の堂々、聖獣を降臨させた歌は圧巻でした。
妖精や精霊、幻獣を惹き付けた最初のものも不思議なオーラを放ち、聖獣が現れるまでは周囲に集まりだしていました。
しかし、この腕の中の存在が、とても同じ人物とは思えませんね。歌を聴いていた間は聖獣の言う通り、自分もその波動、魔力に包まれ実に心地良く、温かく感じました。
魔力感知に敏感な自分が他者の魔力でこんなにも心安らぐなんて想像もしませんでした。
心なしか、空気も澄んでこの森全体が聖域並みに清浄な気配がします。
貴女はどんどん、私を虜にして止まない存在になっているなんて思ってもいないでしょう。
今はまだ秘め事を共有する異性として意識して貰えるだけで構いません。が、一歩も引くつもりはありませんからね。
「はい?」
「歩き出す前に、クリーン魔法をかけます。はい、終わりました。」
「おお、服も手のひらも綺麗になりました。ありがとうございます。」
すっきり綺麗になった。便利だねー。私も覚えたい。
「それから、はい。」
「はい?」
「スティールが待つのは、アーヤさんが向かおうとした方角と真逆のこちらです。迷子になったら困るので、このまま手を繋いで行きましょうか。」
「へっ?逆?嘘。」
ガーン。またもやスタートから失敗。
「さあ、参りましょう。」
「すみません。失敗しましたが、ずっと手を繋いでなくても流石に迷子にはならないです。」
「いえいえ、先程麒麟様にも宣言しましたからね。何かあったら顔向けできませんから。」
「いやいや、そうそう何も起きないですよ。方向音痴なのは認めますけど。」
「嫌ですか?私と手を繋いで歩くのは。」
「うっ、嫌じゃないですけど…」
立ち止まって、メガネなしのサリアンさんがこちらをシュンとした眼差しで見つめてくる。
「じゃあ、何の問題はありませんね。」
問題…ないの?お兄ちゃん以外に過保護な人増えた。
「…過保護過ぎますよ。」
「そんなことはありませんよ。 」
スティールは伏せて待っていた。
「お待たせしました。スティール。これからまだしばらく空中散歩をします。エスリアールとマジェストーラ、最後にラナンキュラスの上空を回りましょう。お願いします。」
「よろしくね。スティール。」
グァウルゥー。
スチャ
メガネを装着したサリアンさん。
「アーヤさん、鞍に乗りますよ。失礼します。」
「はい。」
ああ、今日1日で何回お姫様抱っこされたのかな。
「あの、何度も乗り降りで抱えて頂いて面倒をおかけしてすみません。」
「いいえ、アーヤさんは羽のように軽いですし何も迷惑なことはありませんよ。むしろ役得です。」
そうですか。貴方のような超美形様に姫抱きされる身としては、誰も見ていなくても非常に肩身が狭いのですが。
大人な落ち着きと丁寧な紳士口調なのに時々言う冗談やびっくりする行動にハラハラドキドキさせられてしまう。
この甘いバニラみたいな香りにもうっとりしそうになる。こっそりスンスンしちゃいますよ?香水かな。
スティールの肩辺りの鞍の上にまず下ろされて立つ。横向きに座り、浮上に備えて掴まらせて貰う。
「サリアンさんまた、掴まらせてください。」
「どうぞ。落ちないようにしっかりお願いします。私も腕を回しますね。」
腕の中にスッポリと収まってしまう小柄なアーヤさん。
先程の堂々、聖獣を降臨させた歌は圧巻でした。
妖精や精霊、幻獣を惹き付けた最初のものも不思議なオーラを放ち、聖獣が現れるまでは周囲に集まりだしていました。
しかし、この腕の中の存在が、とても同じ人物とは思えませんね。歌を聴いていた間は聖獣の言う通り、自分もその波動、魔力に包まれ実に心地良く、温かく感じました。
魔力感知に敏感な自分が他者の魔力でこんなにも心安らぐなんて想像もしませんでした。
心なしか、空気も澄んでこの森全体が聖域並みに清浄な気配がします。
貴女はどんどん、私を虜にして止まない存在になっているなんて思ってもいないでしょう。
今はまだ秘め事を共有する異性として意識して貰えるだけで構いません。が、一歩も引くつもりはありませんからね。
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