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エスリアール王城 出会い
ファーストダンスは突然に2
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ザワザワしていた回りの声が、急に大きくなったようで何があったのかわからないが、そちらを見てみると、ホールの向こうで人だかりがあった王族の包囲網から離脱したのか人垣がザザッと割れた。
おお、あそこにモーゼがいるのね。
海が割れるシーンのような現象が起きている。客観的に見ていた綾子だったが、その人垣を割りながら、歩いている張本人が目に入った。
ああ、モーゼの正体はルヴィくんだったんだー。王子様は移動も一苦労だね。ご苦労様です。なんて呑気に思っていながら眺めていた。
すると、さっきまでいた控え席をルヴァニレットが見てから周囲を見回している。
控え席に帰るのかな?あれ?誰か給仕さんに飲み物でも頼みたいのかな。
目の前の給仕さんに声を掛けず素通りしちゃった。あれ?違ったみたい。誰か探してる?はぐれたのかな。
あっ、こっち向いた。わかるかな。軽く手を振ってみる。気づいたみたい。おや、こちらに向かって歩いて来る?新たな人の波を割りながらでも歩き方に気品が溢れているのね。
「ルヴィくんがこっちに気づいて歩い来るみたいね。」
「そのようだね。」
キリッとしたクールビューティーな美少年王子様は今日も健在です。
お兄ちゃんと並んでもらって写メ撮りたいが無理なので、仕方ない。心で拝み、美少年と美形エルフ王子様達を目に焼き付けておく。
「こんな所にいたのか。」
「さっき、こちらに来たばかりで軽く食べていたところなの。」
「ルヴィくんは何か食べた?」
「いや、まだだ。」
「パンと果物しか私は食べてないけれど、美味しかったよ。」
「…………。」
「…?」
「このあと…」
「このあと…」
「このあと?」
「舞踏会の交流といえばダンスだ。」
「はい。」
「国の第一王位である僕が最初に踊らなければ、他の誰も踊り始められない。」
「そうなんですね。」
「…アーヤ、僕と踊れ。」
「え?私?」
「何度も言わせるな。」
「だって、ルヴィくんと踊りたい子沢山いるんじゃ?」
「僕と踊るのが嫌なのか?」
「そんなことないよ。」
「デュカーレ殿、アーヤを借りていく。」
「ええ、構いません。アーヤ、ダンス楽しんでおいで。」
「行くぞ。」
「いっ、今?」
手をとられ、ホールの中央へ移動する間、人の波は勝手に避けていく。おおー、すごい。
回りに誰もいなくなり、生演奏が奏でられる。練習と同じリズムのワルツだ。向かい合って、手を組み引き寄せられる。踊り出すタイミングを図ってルヴァニレットを見つめる。
「僕がリードする。足元を見ないでついて来い。」
「はい。」
大丈夫、練習したし。
そうして最初の一歩は踏み出された。
踊りやすい。これは綾子とルヴァニレット共通に感じた感想だった。
綾子は、練習の甲斐があって足元を見なくても頭の中で基本のステップを理解している為、ルヴァニレットの誘導に任せるだけで華麗な足さばきについていった。
おお、あそこにモーゼがいるのね。
海が割れるシーンのような現象が起きている。客観的に見ていた綾子だったが、その人垣を割りながら、歩いている張本人が目に入った。
ああ、モーゼの正体はルヴィくんだったんだー。王子様は移動も一苦労だね。ご苦労様です。なんて呑気に思っていながら眺めていた。
すると、さっきまでいた控え席をルヴァニレットが見てから周囲を見回している。
控え席に帰るのかな?あれ?誰か給仕さんに飲み物でも頼みたいのかな。
目の前の給仕さんに声を掛けず素通りしちゃった。あれ?違ったみたい。誰か探してる?はぐれたのかな。
あっ、こっち向いた。わかるかな。軽く手を振ってみる。気づいたみたい。おや、こちらに向かって歩いて来る?新たな人の波を割りながらでも歩き方に気品が溢れているのね。
「ルヴィくんがこっちに気づいて歩い来るみたいね。」
「そのようだね。」
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「いや、まだだ。」
「パンと果物しか私は食べてないけれど、美味しかったよ。」
「…………。」
「…?」
「このあと…」
「このあと…」
「このあと?」
「舞踏会の交流といえばダンスだ。」
「はい。」
「国の第一王位である僕が最初に踊らなければ、他の誰も踊り始められない。」
「そうなんですね。」
「…アーヤ、僕と踊れ。」
「え?私?」
「何度も言わせるな。」
「だって、ルヴィくんと踊りたい子沢山いるんじゃ?」
「僕と踊るのが嫌なのか?」
「そんなことないよ。」
「デュカーレ殿、アーヤを借りていく。」
「ええ、構いません。アーヤ、ダンス楽しんでおいで。」
「行くぞ。」
「いっ、今?」
手をとられ、ホールの中央へ移動する間、人の波は勝手に避けていく。おおー、すごい。
回りに誰もいなくなり、生演奏が奏でられる。練習と同じリズムのワルツだ。向かい合って、手を組み引き寄せられる。踊り出すタイミングを図ってルヴァニレットを見つめる。
「僕がリードする。足元を見ないでついて来い。」
「はい。」
大丈夫、練習したし。
そうして最初の一歩は踏み出された。
踊りやすい。これは綾子とルヴァニレット共通に感じた感想だった。
綾子は、練習の甲斐があって足元を見なくても頭の中で基本のステップを理解している為、ルヴァニレットの誘導に任せるだけで華麗な足さばきについていった。
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