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エスリアール王城 出会い
出張はシュッと転移魔法で1
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綾子とエルシオンが国王から説明を受けている頃、学院長室内にてルヴァニレットは預かってきた推薦状とその他書状を学院長へ渡す。
ヒトの国、マジェストーラ国の王弟、レオナルド・マジェストーラ。この学院の最高責任者である。
フワリと柔らかな赤茶色の髪と亜麻色の目をした青年だ。
「ご苦労だったね。ルヴァニレット・エスリアール君。推薦状を確認する間、まだ居てもらいたいんだかいいかい?」
「はい。何か疑問などあればお聞きください。」
「悪いね。」
「……。なるほど。編入の推薦はまさか迷客と神託者だったとは。君は向こうで既に会っているんだね?」
「はい。」
「どんな方達だい?」
「アーヤ…アーヤ・サトーは迷客で女性です。髪色、目も珍しい双黒、成人しているらしいのですが、若干幼くも見える容姿を本人は気にしているようでした。
視力が悪いのでレンズをつけています。人前では弱音を吐かず気丈に振る舞い、不思議と周りが気にかけたくなる人柄かもしれません。魔力関知ができ、魔法を学べる事を喜んでいます。」
「ほぅ…。もう一人は?」
「神託者エルシオン・デュカーレ。彼は王族の血縁に当たりますので、魔力保持量や質は高いでしょう。迷客の保護者としてずっと付き添うようです。」
「うーむ…だ、そうだ。その辺にいるんだろう?そろそろ出て来たらたらどうだ、ブラム先生。」
「!?」
「…おや、学院長は気づかれていましたか。」
「やっぱりいたな。お前のことだエスリアール君が学院に戻ったら、絶対に何か首を突っ込んでくると思っていたから、いる気がした。立ち聞きも良くはないが、認識阻害で堂々居座るのもどうかと思うぞ?」
僕が入る前から居たのか?この腹黒担任め。
「我がSクラスでも特に優秀なルヴァニレット・エスリアール君が戻ったと聞きましてね、何か面白…ゴホン、重大なことがあったのではないかと担任として心配で来てしまいました。」
「……先生、言い直しても面白いことがと言い掛けていたのがバレバレですが。」
「チッ、つい本音が。失礼しました。慣れない嘘は吐くものではありませんね。」
やはり、腹黒だこの担任。しかも、誤魔化しが効かないとあっさり手のひらを返すから尚更質が悪い。
ヒトにしては整った顔立ちでアーヤと同じようにレンズを装着しているのだが、まさか…な。理由まで一緒ではないだろう。
しかし、ジャラジャラと装飾品をつけすぎだ。ピアス、イヤーカフ、ネックレス、リング、ブレスレット本当に講師か最初は疑わしかった位だ。それがどういう訳か、限られた高位魔法士しかなれない学院随一の筆頭魔法講師だなんて未だに信じられない。
しかも上からS・A・B・CクラスのSの担任だ。
「まあ、呼ぶ手間が省けたか。そのまま聞いていけ。」
「了解しました。」
「エスリアール君、二人は魔法適正がありそうだし、未来ある若者が我が学院に編入するのはこちらとしても大歓迎だ。
しかも存在そのものが吉兆のような迷客にお目にかかれるなど、我が学院始まって以来、前代未聞の吉事といえる。エルフの神託者もヒト前に現れるなど滅多にないし、是非学院の生徒同士交流を図りたいものだ。」
「お二人の魔力にもよるが、AかSは間違いないだろうから、身近にいた君が他の生徒と彼らの間を取り持ってやって欲しい。」
「はい、そのつもりです。」
「それは良かった。君には負担をかけるが頼りにしているよ。」
ヒトの国、マジェストーラ国の王弟、レオナルド・マジェストーラ。この学院の最高責任者である。
フワリと柔らかな赤茶色の髪と亜麻色の目をした青年だ。
「ご苦労だったね。ルヴァニレット・エスリアール君。推薦状を確認する間、まだ居てもらいたいんだかいいかい?」
「はい。何か疑問などあればお聞きください。」
「悪いね。」
「……。なるほど。編入の推薦はまさか迷客と神託者だったとは。君は向こうで既に会っているんだね?」
「はい。」
「どんな方達だい?」
「アーヤ…アーヤ・サトーは迷客で女性です。髪色、目も珍しい双黒、成人しているらしいのですが、若干幼くも見える容姿を本人は気にしているようでした。
視力が悪いのでレンズをつけています。人前では弱音を吐かず気丈に振る舞い、不思議と周りが気にかけたくなる人柄かもしれません。魔力関知ができ、魔法を学べる事を喜んでいます。」
「ほぅ…。もう一人は?」
「神託者エルシオン・デュカーレ。彼は王族の血縁に当たりますので、魔力保持量や質は高いでしょう。迷客の保護者としてずっと付き添うようです。」
「うーむ…だ、そうだ。その辺にいるんだろう?そろそろ出て来たらたらどうだ、ブラム先生。」
「!?」
「…おや、学院長は気づかれていましたか。」
「やっぱりいたな。お前のことだエスリアール君が学院に戻ったら、絶対に何か首を突っ込んでくると思っていたから、いる気がした。立ち聞きも良くはないが、認識阻害で堂々居座るのもどうかと思うぞ?」
僕が入る前から居たのか?この腹黒担任め。
「我がSクラスでも特に優秀なルヴァニレット・エスリアール君が戻ったと聞きましてね、何か面白…ゴホン、重大なことがあったのではないかと担任として心配で来てしまいました。」
「……先生、言い直しても面白いことがと言い掛けていたのがバレバレですが。」
「チッ、つい本音が。失礼しました。慣れない嘘は吐くものではありませんね。」
やはり、腹黒だこの担任。しかも、誤魔化しが効かないとあっさり手のひらを返すから尚更質が悪い。
ヒトにしては整った顔立ちでアーヤと同じようにレンズを装着しているのだが、まさか…な。理由まで一緒ではないだろう。
しかし、ジャラジャラと装飾品をつけすぎだ。ピアス、イヤーカフ、ネックレス、リング、ブレスレット本当に講師か最初は疑わしかった位だ。それがどういう訳か、限られた高位魔法士しかなれない学院随一の筆頭魔法講師だなんて未だに信じられない。
しかも上からS・A・B・CクラスのSの担任だ。
「まあ、呼ぶ手間が省けたか。そのまま聞いていけ。」
「了解しました。」
「エスリアール君、二人は魔法適正がありそうだし、未来ある若者が我が学院に編入するのはこちらとしても大歓迎だ。
しかも存在そのものが吉兆のような迷客にお目にかかれるなど、我が学院始まって以来、前代未聞の吉事といえる。エルフの神託者もヒト前に現れるなど滅多にないし、是非学院の生徒同士交流を図りたいものだ。」
「お二人の魔力にもよるが、AかSは間違いないだろうから、身近にいた君が他の生徒と彼らの間を取り持ってやって欲しい。」
「はい、そのつもりです。」
「それは良かった。君には負担をかけるが頼りにしているよ。」
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