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エスリアール王城 出会い
酒は飲んでも飲まれるな4
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その夜、綾子とエルシオンが晩餐の間から退室してしばらくたってからルヴァニレットもどこか、心ここにあらずな表情で胸を押さえながら退室した。
それらを見送った残り四人…。サジェストがその場で真剣な表情で呼び掛けた。
「これより、エスリアール国王としてではなく、ルヴァニレットの父として緊急会議を行いたい。」
食事前のアーヤ殿への態度から見ても薄々感じてはいたが、人見知りが激しく私達以外に自分からルヴィと呼ばせるなんて今までのルヴィなら考えられなかった。
学園か、帰城してからかわからんが何か心境の変化があったのかも知れない。
「迷客アーヤ殿の歓迎舞踏会を開こう。そして、ルヴァニレットにファーストダンスを任せ、学園に行く前にもっと親しくなれるようにしてやりたい。どうか?」
「私は賛成よ!あの、ルヴィの顔を見たら母として応援してあげたいわ。」
「確かに、アーヤ殿に抱きつかれた時のルヴィも見ものだったが、儂もしてほしかったな。」
「貴方は、そればっかりね。もう。ルヴィの気持ちもわかりますが、エルシオンはどうかしらね?私は、二人には何か奇しきゆかりを感じるのだけれど。」
「うむ…。母上の勘は当たるからな。では、舞踏会会場でのエスコートは、エルシオンでファーストダンスはルヴィになるようにしてはどうか?二人の紹介もその方がしやすいしな。」
「そうね。やっぱりファーストダンスはルヴィに頑張ってもらいましょう。国の第一王位継承者が誰をダンスに誘うのか注目の的ね。」
「エルシオンは第二王位継承者だけれど、あまり王位を気にしていないようよね。アーヤさん、モテモテね。」
ルマニエルと母上で最後はあんな娘が欲しい、花嫁にしたいといった画策が飛び交うが目下、舞踏会のドレスは何色がいいか熱いトークが続いた。
翌朝、綾子は生まれて初めて飲み過ぎて途中から記憶がないことを思いだす経験をしていた。
おかわりどれ位したかわからない。果物と一緒に新しいお酒を始めた辺りからなんだか記憶が曖昧だ。楽しかったり嬉しかった気がするけど、何があったんだろう?
二日酔いはないから体調は問題ないが、気になる。ここは、素直に謝っておくべきだよね。30過ぎたいい大人が、飲み過ぎて記憶がないなんて、なんて失態だ。
ああ、こっちのお酒は程々にしよう。以外にアルコール度数強かったのかも。
朝食で一緒になったお兄ちゃんからは、お説教が入りました。静かに、淡々と怒られました。ごめんなさい。反省しています。
「いくら、お酒で気が大きくなったにしても、きちんと淑女らしく慎みを持たないとだめだからね。」
「はい…。慎みを持ちます。」
?私、何したの?はしたないことしたの?
ルヴィくんにおはようの挨拶をしたら、顔を背けられました。やっぱり、何かしたのですね。顔を見たくなくなる位の何かを。
「ごめんなさい。ルヴィくんに昨日何かしたんでしょう?お酒に強いとか言っといて、ベロベロに酔ってきっと嫌な思いさせちゃったよね。はしたない女でごめんなさい。」
「?!……昨日のこと覚えてるのか?」
「覚えていません。嬉しかったり、楽しかった気がするだけで…。面目ありません。」
「僕に魔法、見せて欲しいと言ってた。」
「私が?」
「他に誰がいる?」
「後で僕の部屋に来い。」
返事を待たず、背を向けられたが二、三歩で立ち止まった。
「……酒はもう、飲み過ぎるな。」
「…はい。」
しょんぼり、朝食を食べてお酒の飲み過ぎには気を付けようと心から後悔した綾子であった。
それらを見送った残り四人…。サジェストがその場で真剣な表情で呼び掛けた。
「これより、エスリアール国王としてではなく、ルヴァニレットの父として緊急会議を行いたい。」
食事前のアーヤ殿への態度から見ても薄々感じてはいたが、人見知りが激しく私達以外に自分からルヴィと呼ばせるなんて今までのルヴィなら考えられなかった。
学園か、帰城してからかわからんが何か心境の変化があったのかも知れない。
「迷客アーヤ殿の歓迎舞踏会を開こう。そして、ルヴァニレットにファーストダンスを任せ、学園に行く前にもっと親しくなれるようにしてやりたい。どうか?」
「私は賛成よ!あの、ルヴィの顔を見たら母として応援してあげたいわ。」
「確かに、アーヤ殿に抱きつかれた時のルヴィも見ものだったが、儂もしてほしかったな。」
「貴方は、そればっかりね。もう。ルヴィの気持ちもわかりますが、エルシオンはどうかしらね?私は、二人には何か奇しきゆかりを感じるのだけれど。」
「うむ…。母上の勘は当たるからな。では、舞踏会会場でのエスコートは、エルシオンでファーストダンスはルヴィになるようにしてはどうか?二人の紹介もその方がしやすいしな。」
「そうね。やっぱりファーストダンスはルヴィに頑張ってもらいましょう。国の第一王位継承者が誰をダンスに誘うのか注目の的ね。」
「エルシオンは第二王位継承者だけれど、あまり王位を気にしていないようよね。アーヤさん、モテモテね。」
ルマニエルと母上で最後はあんな娘が欲しい、花嫁にしたいといった画策が飛び交うが目下、舞踏会のドレスは何色がいいか熱いトークが続いた。
翌朝、綾子は生まれて初めて飲み過ぎて途中から記憶がないことを思いだす経験をしていた。
おかわりどれ位したかわからない。果物と一緒に新しいお酒を始めた辺りからなんだか記憶が曖昧だ。楽しかったり嬉しかった気がするけど、何があったんだろう?
二日酔いはないから体調は問題ないが、気になる。ここは、素直に謝っておくべきだよね。30過ぎたいい大人が、飲み過ぎて記憶がないなんて、なんて失態だ。
ああ、こっちのお酒は程々にしよう。以外にアルコール度数強かったのかも。
朝食で一緒になったお兄ちゃんからは、お説教が入りました。静かに、淡々と怒られました。ごめんなさい。反省しています。
「いくら、お酒で気が大きくなったにしても、きちんと淑女らしく慎みを持たないとだめだからね。」
「はい…。慎みを持ちます。」
?私、何したの?はしたないことしたの?
ルヴィくんにおはようの挨拶をしたら、顔を背けられました。やっぱり、何かしたのですね。顔を見たくなくなる位の何かを。
「ごめんなさい。ルヴィくんに昨日何かしたんでしょう?お酒に強いとか言っといて、ベロベロに酔ってきっと嫌な思いさせちゃったよね。はしたない女でごめんなさい。」
「?!……昨日のこと覚えてるのか?」
「覚えていません。嬉しかったり、楽しかった気がするだけで…。面目ありません。」
「僕に魔法、見せて欲しいと言ってた。」
「私が?」
「他に誰がいる?」
「後で僕の部屋に来い。」
返事を待たず、背を向けられたが二、三歩で立ち止まった。
「……酒はもう、飲み過ぎるな。」
「…はい。」
しょんぼり、朝食を食べてお酒の飲み過ぎには気を付けようと心から後悔した綾子であった。
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