夢じゃなかった!?

Rin’

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エスリアール王城 出会い

エスリアール王城へ7

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「数日しばらくの間、まず旅の疲れを癒し、国の代表として歓迎させてくれ。ヒトの国へ行くのはそれからでもよいだろう?神託は急げとは申してはおるまい?」

「ありがたく、お受けいたします。」
「ありがとうございます。」

「まだ、夕げには時間がある。先に城の浴場にて疲れを癒した方がよいだろう。案内させる。何かあれば、世話役に申せ。

ああ、いい忘れていたが、私の息子がヒトの国へ留学していてな、昨日呼び出しておいたから夕げ位には帰城するだろうから、アーヤ殿が行く国のことを色々聞くといい。」

「城の中では自由に過ごしてよい。大事な身内と迷客どのだ。場外へ行くなら護衛をつけるから遠慮せず出掛けるといい。」

「お心遣い、感謝いたします。」
「何から何まで、ありがとうございます。」

「レイファンス、お二人を案内せよ。頼んだぞ。」
「はっ。」

お風呂に入れる?!
嬉しい!やったー。

ウキウキレイファンスさんの後ろをお兄ちゃんと歩く。アウトドアキャンプは楽しめたけど、やっぱりお風呂にはそろそろ入りたかったので正直に嬉しい!

回廊をスキップしそうなくらい、受かれていた。頭の中ではお風呂っ、お風呂っ、お風呂に入れるわーい、わーい♪ということで一杯
だった。

そんな風に歩いていたら、回廊の明かりが揺らめいて明るさが二倍位にアップした。

これから暗くなるからタイマーでもついているのかな?などと呑気に思っていたら、お兄ちゃんに頭をポンされました。


「おや?明かりが変ですね。」
レイファンスさんの足が止まった。

「何か急激な魔力の影響を受けたのでしょうか。今までこんなことはないのに…。」

お兄ちゃんが囁く。
「アーヤ、嬉しいのはわかるが心を沈めなさい。お前の気持ちに魔力が引きずられたんだろう。」

えっ?ライトアップは私のせい?!魔力?何かしたつもりはないのに…。お風呂の期待は残るも、お兄ちゃんの言葉に頭は少し冷えたのか、ライトも元の明るさに戻った。

やっぱり私が原因か…。
ごめんなさい。平常心…。

「申し訳ありませんでした。照明が揺らいだので、少し気になり足止めしてしまいました。先程の部屋ではなく、お二人にはそれぞれの賓客ひんきゃく用のお部屋にご案内します。こちらへどうぞ。」

「アーヤ様、こちらが滞在するお部屋になります。このように出入口には必ず騎士が護衛しておりますので、世話役が不在の時はお声をかけてくださいね。」
「シュナイゼ、紹介します。こちらが迷客のアーヤ・サトー様だ。滞在中、何事においても最優先で御守りするように。」

「承知致しました。」
「シュナイゼ様、数日こちらでお世話になります。よろしくお願いします。」

騎士様に挨拶をするとレイファンスさんがあたふたした。


「アーヤ様、頭を上げてください。護衛の騎士に貴女がそのようにする必要はありませんし、様もいりません。」
「でも、私がいるせいでシュナイゼ様の普段のお仕事を融通させて護衛して頂いてるのですし…。挨拶で頭を下げるのは私の故郷ではただの習慣ですから。」

「…国王補佐官長のおっしゃる通りです。私にその様なお気遣いは不要です。お気になさらず。」

うーん…。微妙なカルチャーの違いの壁を感じる。お兄ちゃん…。じーー。

「…まあ、アーヤの世界にはエルフも騎士もいませんから、きちんと初対面で挨拶したかっただけなのでしょう。
お二人ともそんなに固く考えずに。こちらの常識はまだ知らないことばかりなのですから、押し付けるのはこくというものですよ。」
流石お兄ちゃん!わかってるー。

「そうですか。アーヤ様申し訳ありませんでした。」
「…アーヤ殿は国の保護すべき迷客なのでどうかシュナイゼ、と呼んで頂きたい。」

「こちらこそ困らせてしまい申し訳ありませんでした。」
「シュナイゼさんとお呼びしますね。」

部屋に入る前にお兄ちゃんへ振り向く。
「シオンさん、また後で。」
「ああ、アーヤ。夕げの前に迎えに来るよ。」


お部屋に入って、スイートホテル以上の豪華さに言葉も出なかった。
ほけーと呆けていたら、ノックが聞こえた。
「失礼致します。浴場へご案内致しますので入室してもよろしいでしょうか?」

「はい。どうぞ。入ってください。」

入って来たのは、これまた美人なお姉さまで、お世話勤めの民族衣装も素敵です。

「では、こちらへ。」
「アーヤ様、自分も同行致します。よろしいですか?」

「はい。よろしくお願いします。」

綺麗なお姉さまの後ろをついて行き、入り口でシュナイゼさんは待機した。

お姉さまはお手伝いしますと、服を脱がせてくれようとしたので、一人でできるからとどうにか説得したが、お世話をさせてもらえないと職なしになります。と言われては、それ以上突っぱねることもできず申し訳ないけれど頼むことにした。

高級エステに来ている、お姫様体験だなどと自分に言い聞かせた。


豪華大浴場で髪も体もお手伝いしてもらった。湯船で髪のトリートメントみたいなヘッドスパを受けていた時は花の香りとマッサージの気持ちよさに体がとろけそうだった。

湯上がり後も至れり尽くせりで、スキンケアから髪を乾かしたり、結ってもらうのも着替えも化粧も全ておまかせしてしまった。

着替えは下着も含め、全てシルク素材のような柔らかく肌触りが良い物だった。服は、ルピナスさんのワンピースに近いデザインで、すみれ色のバージョンだ。まだホカホカしているのでショールは掛けず持つことにした。

浴場から出るとシュナイゼさんが待っていてくれて、お兄ちゃんが少し前に男性用の浴場から出ていったことを教えてくれた。

浴場に来ると中の回廊から中庭に出られるテラスがあったのを思い出して、帰りに通る時ゆっくり眺めたくなった。
「あの、シュナイゼさん。部屋に戻る前に少し夕涼みにテラスから出られる中庭に寄りたいのですが、夕げまでまだお時間ありますか?」
「今からですと、夕げまで涼む位なら大丈夫ですよ。もしかしたらデュカーレ様もいらっしゃるかもしれませんね。」

「行っていいですか?ありがとうございます。」
「参りましょう。アネル、私がついているので、戻ってよい。」
「わかりました。それでは下がらせて頂きます。」

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