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エスリアール王城 出会い
エスリアール王城へ2
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首都まで馬に揺られての移動にも慣れた頃、休憩中に、お兄ちゃんの迷客の心構え講座が始まった。
「綾子、迷客として、身を護る意味でもいくつか注意しておくからよく聞いて。」
「まず、城下の町に着く前に声をかけたらフードを深く被って止め金で固定しときなさい。」
「それから、入国手続きで何か言われても私が話をするから、そばで控えていて。」
「容姿を見せなくても、母さんの一筆と紋章があれば大丈夫だから。心配いらない。」
「後は、町でゆっくり見て回るのは今度時間作るから先に厄介な要件を済ましてしまおうね。」
「くれぐれも、あの感謝を込めた歌だけは歌わないように。王族といえど、聖獣が現れでもしたらパニックだ。」
「歌いたくなったら、言って。結界を張るから。その場所でなら普通の歌ならせいぜい妖精が寄ってくる位で収まるから我慢はしなくていい。」
「何か不安なことや気になることはある?」
「はい、先生。」
「…先生?」
「あっ、ごめんなさい。つい、ノリで。」
「ふふ、別にいいけど。何ですか?綾子君。」
お兄ちゃんも合わせて答えた。
「お城に行くのに、この格好のままで失礼じゃありませんか?」
「大丈夫。綾子君がマントの下に着ているのは母さんのお古を手直しして貰った衣装で、王族にも通用する正装と言える。よく似合っているし、自信を持ちなさい。」
「うーん、衣装負けしてそう…。」
「お兄様の言うことが信じられないの?」
「信じます!」
先生からいきなりお兄様にジョブチェンジとは。いきなりの変化球にやられた…。
「お兄ちゃんも正装、すごく似合ってるよ。益々王子様みたいで、素敵。」
「綾子にそう言って貰えて嬉しいよ。この正装中位は、それらしく振る舞おうかな。」
王族、王子、そんな肩書きに興味はないし、綾子の為だから窮屈な王宮へも足が向くというものだ。
「いよいよ、町の検問だ。フードを被って、後は、説明の通りに。」
「うん。」
検問は、お兄ちゃんの言った通りに問題なく通過しできた。ほっとして、馬に乗ったままでいると…
「お待ちください。こちらに、馬車を停めてあります。ここからは、馬車にてご案内致しますので、詳しい話はあちらで。そちらの馬は馬屋に預けるので、どうぞこちらに。」
「申し遅れました。私はこの国の王に使える補佐官長レイファンスと申します。主の命によりお迎えに参りました。では、周りの目もありますので馬車へどうぞ。」
私とお兄ちゃんは馬車に並んで座り、向かいに宰相さんが座る。
「すぐにわかりました。貴方がルピナス王女のご子息であることが。よく似ていらっしゃる。」ルピナスさんを知っているのか、親しみを込めた瞳で見つめながら話した。
「わざわざ出迎え感謝します。おっしゃるとおり、私の母の名はルピナス、私はエルシオン・デュカーレと申します。」
二人の会話を静かに聞いて、馬車の以外な揺れに少し戸惑っていた私の方をレイファンスさんが見て話す。
「そして、そちらが…?」
「ええ、私が保護している迷客の方です。」
話に加わっていいものか、わからなくて二人の様子を伺う。
「デュカーレ様。迷客様にお声をかけてもよろしいですか?」
「…構いません。馬車の中でならフードを外してもいいでしょう。」
隣のお兄ちゃんの袖を少しつまんで、ツンツン。いいの?とアイコンタクトを送信。
頷いて大丈夫と返してくれた。
「もう、話しても大丈夫。」
うん、と頷いて少し俯き加減で留め金を外してからフードを脱ぐ。
顔を上げてレイファンスさんの目をきちんと見つめて待つが、目を見開いたままだ。
「…………。」
?あれ、声かけてくるんだよね?
「あの…。大丈夫ですか?ご気分でも悪いのではないですか?」
「!」
しまった。私としたことが、迷客様に気をとられていた。
「いいえ、大丈夫です。ご心配には及びません。失礼い致しました。私はレイファンスと申します。」
「はじめまして。私が異世界から来た迷客と言われている者です。アーヤ・サトーと申します。神託者のエルシオンさんにお世話になっています。」
「アーヤ様…。」
「綾子、迷客として、身を護る意味でもいくつか注意しておくからよく聞いて。」
「まず、城下の町に着く前に声をかけたらフードを深く被って止め金で固定しときなさい。」
「それから、入国手続きで何か言われても私が話をするから、そばで控えていて。」
「容姿を見せなくても、母さんの一筆と紋章があれば大丈夫だから。心配いらない。」
「後は、町でゆっくり見て回るのは今度時間作るから先に厄介な要件を済ましてしまおうね。」
「くれぐれも、あの感謝を込めた歌だけは歌わないように。王族といえど、聖獣が現れでもしたらパニックだ。」
「歌いたくなったら、言って。結界を張るから。その場所でなら普通の歌ならせいぜい妖精が寄ってくる位で収まるから我慢はしなくていい。」
「何か不安なことや気になることはある?」
「はい、先生。」
「…先生?」
「あっ、ごめんなさい。つい、ノリで。」
「ふふ、別にいいけど。何ですか?綾子君。」
お兄ちゃんも合わせて答えた。
「お城に行くのに、この格好のままで失礼じゃありませんか?」
「大丈夫。綾子君がマントの下に着ているのは母さんのお古を手直しして貰った衣装で、王族にも通用する正装と言える。よく似合っているし、自信を持ちなさい。」
「うーん、衣装負けしてそう…。」
「お兄様の言うことが信じられないの?」
「信じます!」
先生からいきなりお兄様にジョブチェンジとは。いきなりの変化球にやられた…。
「お兄ちゃんも正装、すごく似合ってるよ。益々王子様みたいで、素敵。」
「綾子にそう言って貰えて嬉しいよ。この正装中位は、それらしく振る舞おうかな。」
王族、王子、そんな肩書きに興味はないし、綾子の為だから窮屈な王宮へも足が向くというものだ。
「いよいよ、町の検問だ。フードを被って、後は、説明の通りに。」
「うん。」
検問は、お兄ちゃんの言った通りに問題なく通過しできた。ほっとして、馬に乗ったままでいると…
「お待ちください。こちらに、馬車を停めてあります。ここからは、馬車にてご案内致しますので、詳しい話はあちらで。そちらの馬は馬屋に預けるので、どうぞこちらに。」
「申し遅れました。私はこの国の王に使える補佐官長レイファンスと申します。主の命によりお迎えに参りました。では、周りの目もありますので馬車へどうぞ。」
私とお兄ちゃんは馬車に並んで座り、向かいに宰相さんが座る。
「すぐにわかりました。貴方がルピナス王女のご子息であることが。よく似ていらっしゃる。」ルピナスさんを知っているのか、親しみを込めた瞳で見つめながら話した。
「わざわざ出迎え感謝します。おっしゃるとおり、私の母の名はルピナス、私はエルシオン・デュカーレと申します。」
二人の会話を静かに聞いて、馬車の以外な揺れに少し戸惑っていた私の方をレイファンスさんが見て話す。
「そして、そちらが…?」
「ええ、私が保護している迷客の方です。」
話に加わっていいものか、わからなくて二人の様子を伺う。
「デュカーレ様。迷客様にお声をかけてもよろしいですか?」
「…構いません。馬車の中でならフードを外してもいいでしょう。」
隣のお兄ちゃんの袖を少しつまんで、ツンツン。いいの?とアイコンタクトを送信。
頷いて大丈夫と返してくれた。
「もう、話しても大丈夫。」
うん、と頷いて少し俯き加減で留め金を外してからフードを脱ぐ。
顔を上げてレイファンスさんの目をきちんと見つめて待つが、目を見開いたままだ。
「…………。」
?あれ、声かけてくるんだよね?
「あの…。大丈夫ですか?ご気分でも悪いのではないですか?」
「!」
しまった。私としたことが、迷客様に気をとられていた。
「いいえ、大丈夫です。ご心配には及びません。失礼い致しました。私はレイファンスと申します。」
「はじめまして。私が異世界から来た迷客と言われている者です。アーヤ・サトーと申します。神託者のエルシオンさんにお世話になっています。」
「アーヤ様…。」
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