夢じゃなかった!?

Rin’

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エスリアール国 出会い

ただ、君のそばに3

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「じゃあ、案内するよ。母さん、後から直接集会場に行くつもりだけどいい?」
「大丈夫よ。母さん達も向こうで準備しとくわね。行ってらっしゃい。」

「行って来る。」
「行ってきます。」

ベランダ玄関から、梯子を移動して縄ばしごも登って、探検気分。枝の道が細くなって、シオンさんが更に上に行くと言って、抱っこ。魔法移動2回目を経験し、ゆっくり上昇したら、お気に入りと言っていた場所に到着した。

緑の葉を掻き分けて伸びた枝振りは立派で二人並んで座るスペースもあり、座ると足元に緑の雲海が広がるようだった。

空も森林も広大だ。見たことのない景色は私の心を清々しくさせてくれた。

「綺麗で、気持ちいい所ですね。」
「気に入ってもらえて良かったよ。」


「…昨日のことだけれど…。」
「はい。」

「…こちらの世界に来たばかりで気持ちがついていかないのは当たり前だ。
昨日のように感情を吐き出すことは恥ではない。私は、綾子が逃げたい時の居場所になってやりたい。」


「…どうしてですか?同情…ですか…。」

「違う。違うんだ。」


「私は………。綾子に隠していたわけじゃないが、一度に知らせるには負担をかけてしまいそうで言い出せなかったことがある。」

「嘘はない。これから話すことは真実だと誓う。今話すべきかどうか迷っていたが、きっと今伝えないと自分が後悔する。私の勝手だが、聞いてもらえるだろうか?」


「…わかりました。何も知らないよりも私は、自分の為にもシオンさんの話を聞きます。」



「ありがとう。」

それから、シオンさんは語り出した。エルシオン・デュカーレとしての自分を。
その前の……前世を。
話終えたシオンさんは目を伏せて私の反応を静かに伺っている。固く握られた手が見える。

にわかには信じがたい話だと思うが、シオンさんの瞳は真剣ながらどこか怯えが混じり、とても嘘をついているようには見えなかった。


前世、生まれ変わり。ずっと…ずっとそばにいてくれていたの?気づいてもらえないのに?あなたは、本当に私の………?
悲しみ、喜び、戸惑い、期待、どう表現していいかわからない。胸が苦しい。


揺れる瞳を見つめて、今度は私から一歩踏み出さないと。

「…私の兄、の名前…あなたの前世の名前を教えてください。」


「……優季。…佐藤…優季。」

嘘なんかじゃない。本当に、本当に私のお兄ちゃんっ!!

「お兄ちゃんなの?本当に。私の。」
「そうだよ。綾子。」

「お兄ちゃん…。」

「生まれ変わりなんて、気持ち悪くない?そばにいてもいいかい?」
「そんなことっ…思うわけない。会えて嬉しい。異世界でお兄ちゃんの生まれ変わりに会えるなんて。奇跡みたい。」

「血の繋がりはもう、ないけれど綾子は一人じゃない。私がいることをずっと知ってもらいたかった。兄だと思ってくれる?」
「うん。」

まさか、異世界でお兄ちゃんの生まれ変わりがシオンさんだったなんて。
家族と離ればなれで不安で昨日は混乱したけど、今は、この瞬間からシオンさんをお兄ちゃんと素直に受け止めることができた。

「これからなんて呼べばいい?」
「綾子が呼びたいように。」

「みんなには秘密なら、普段はシオンさん?二人だけなら……お兄ちゃんって呼んでもいい?」

「………。」!!!
「…やっぱりだめ?」
「だめじゃない。」

「嬉しい。綾子にそう呼んでもらえて。夢のようだ。話し方も今のままでいい。」

「ふふ、いつの間にか敬語じゃなくなってたね。お兄ちゃんなんだってわかったからかな。みんなの前では気をつけなきゃ。」

兄妹の信頼、絆が深まり、二人の距離も短くなった。

その後、集会場へはお兄ちゃんに抱っこのまま行きそうになり、流石さすがにそのまま行くのは恥ずかしいと訴え、少し手前から手を繋いで歩いた。

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