夢じゃなかった！？

マジェストーラ国立魔法学院 編入

I ♡（アイ ラブ）Tシャツ7

（あ…消えちゃった。）

再びエルシオンと二人きりになり、アーヤはさっきまでのやり取りと自らがとった言動を思い出し、はっとした。

（そういえばシオンさん、さっき何か言う途中だったよね。やだ、私が中断しちゃったんじゃない！）

「シオンさん、さっき何て言ったんですか？すみません、私が騒いたからちゃんと言えませんでしたよね？それか、私が聞こえなかっただけかもしれないんですけど。」

「いや……今は、特別なものは特に思い浮かばなかったと…そう言おうとしたんだ。」

「え、そうなんですか？」

「ああ。だから、そのことはもう気にしなくていい。私はルヴァニレットと食堂に向かうから、アーヤも同室の…」

「ガルシアちゃん、ですか？」

「そう、彼女も誘って一緒に来るといいよ。」

「そう…しますね。顔も洗ってから着替えようかな。」


出発と同じように学園の正門を通り、無事帰還したエルシオンとアーヤ。


思いもしない第三者、ルヴァニレットの介入で一度はタイミングを逃して言えなかったエルシオン。本当はアーヤに伝えたい言葉が別にあった。

しかし、ルヴァニレットの先見が去った後、改めてアーヤに問われ答えてみれば、何故か口から出たのは全く違う言葉となっていた。


（…これで良かったんだ。）


エルシオンは、伝えられなかったことで心が揺れ動いてしまった。伝えたいが、もし言ったらどうなる？あれだけ時間をかけてだした答えは偽りない真剣なものである。それだけに冗談ではないその言葉は軽はずみな言葉ではない。もし、不快に思われでもしたら…

自分の胸の内にだけその“言葉”を秘めることにしたのだった。