夢じゃなかった!?

Rin’

文字の大きさ
上 下
382 / 599
マジェストーラ国立魔法学院 編入

到着!水の都セルリアン~観光開始19

しおりを挟む
(若い女の子ってああもエネルギッシュなんだね。お兄さんは彼女にぞっこんなんだろうな。にしても、冒険者だったとは意外だったな~。)


「泉に着いたらまず近くを散策したりして、それからお土産も買いましょうね。どんなところか楽しみですね。」

「水源が多い土地柄だけあって、きっと海のように大きい泉かもしれないね。」

「へぇ、異世界こちらにも海ってあるんですね。」

「ある。山、海、空も同じだ。ただ、こちらの方が自然がより豊かで…そうか、ユーヤ・・・は見たことがなくて知らないんだった。驚くと思うが、こちらには空にも山や海があるんだよ。」

「え?!空に山と海ですか?初めて聞きました!空に浮いている島は見ましたけど、なんで山が空に浮いているんですか。っていうか、空に海もあるんですか?!どうやって空に海が…?!」

「落ち着いて。うーん、どうして空に山や海があるのか?それは自然のせる技というかこちらはそれが当たり前なんだ。」

「じゃあ、シオンさんの住んでた村やあのお城での空は普通だったけど、場所によっては空に山があったり、海があったりするってことなんですか?」

「そう。エスリアールは山というか浮き島が多い地域らしい。私自身は最奥の森、神託の聖域に近い村に住んでいたが、空の浮島の森に住むエルフもいる。」

「へぇ~。異世界こちらの当たり前を知るのって楽しくてワクワクします。私にとっては不思議で、何だっそれ?!って驚くことも多くって。」


「そう…。せっかくワクワクしてるところで言いにくいんだが、やはり今伝えておこうかな。」

「はい、何ですか?」

「私の知りうることを教えるのは全然構わないんだが、所詮私も田舎村育ち…世の常識と違うこともあるかもしれない。村では、身内以外の者が私に対して家柄、血筋が違うから同じ田舎村育ちでも賢いとか、やたらと期待したり特別視するものが多かった。神託の力があるからといって、全てを見通すことができるわけでもない。」


「そうでしたか。それなら…。」


(頼れる理想の兄でいたい気持ちもあるが…。完璧ではないこんな私だと知ったら君は私に幻滅げんめつするだろうか。)


「もし、これから何か知っていた知識や経験が世の中の常識と違っていたことに気づいたとしたら…その時は、私と一緒に改めればいいんじゃないですか?」

「一緒に?」


「そうです!別にシオンさんは神託の力があっても、お告げが聞こえるだけであって、何でも知ってるスーパー賢者みたいに思う人が…あ、人じゃないエルフか。えーとつまり、何が言いたいかと言いますと…。

わからないこと、勘違いだって、村だけの常識だって、あって当たり前ですよ。だから…だから…そんな顔しないでください。」


「…顔?」


(どんな顔しているんだ?自分じゃわからない。)


「複雑な顔…です。」


(悲しいような寂しさをこらえるような…。)


「私なんか、シオンさんより知らないことばかりだから、異世界こちらの人達にとって、これだから迷客はとか、非常識だとか思われないか、ふとした時に心配になります。

価値観とかなかなか抜けないし、違いを指摘されるまで自分じゃ気づけないし。

もし、シオンさんが先に私の言動で変なことがあったら遠慮せずに教えて欲しいです。あ、でもやっぱりちょっと恥ずかしいから人目のない時にコッソリと教えてくださいね。」

「コッソリ?」

「はい、お願いしますよ~。シオンさんが頼りなんですからね。」

「ああ、わかった。」


(まるで、私の心に重くのしかかっていたものがふっ…と軽くなったような気持ちだ。

前向きで、好奇心旺盛。そして素直さが共感力を豊かにしているのだろう。

別に完璧主義者を目指してもいないが、こうしていたらないこともあると告げてみても、アーヤは個人的な期待を押しつけることもしてこない。

期待、理想の虚像を重ねた視線はわずらわしさしかなかったのだが、あぁ…。不思議と我が妹君アーヤ…君になら頼られたいと思ってしまう。その為の努力なら何だってできそうな気さえしてくる。

これからも、数々のこちらの世界の常識、知識などを学院生活で知り得たとしても、どうか今のアーヤらしくそのままでいて欲しいものだ。)

エルシオンとアーヤはいつものように互いに言いたいことをスッキリ話したからか、どちらともなく自然と笑顔になった。


しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

異世界楽々通販サバイバル

shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。 近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。 そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。 そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。 しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。 「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

異世界でタロと一緒に冒険者生活を始めました

ももがぶ
ファンタジー
俺「佐々木光太」二十六歳はある日気付けばタロに導かれ異世界へ来てしまった。 会社から帰宅してタロと一緒に散歩していたハズが気が付けば異世界で魔法をぶっ放していた。 タロは喋るし、俺は十二歳になりましたと言われるし、これからどうなるんだろう。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

処理中です...