夢じゃなかった!?

Rin’

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マジェストーラ国立魔法学院 編入

到着!水の都セルリアン~観光開始12

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「全然気づきませんでしたね。雨なんていつの間に。」

「確かに小雨が降っている。」


「時折こうして短時間降って止むこともあるので、傘の忘れ物は多く、どうしても増えてしまいます。遠慮せずにお使いになってもらった方が傘も役立ち私共も嬉しく思います。」


(なんて素敵な気遣い!?見習いたい。と店員のやり取りは進む。


「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて使わせて頂きます。いえ、ひとつで大丈夫です。」


「そうですか。もし、手荷物で不要になるようでしたら、お手数ですがまたこの店に立ち寄った際にでもこの入り口の傘立てに置いて行ってください。道中お気をつけて。」


(うう…この人、接客のお手本なだけじゃなく、絶対、優しくていい人だ。それに、派手じゃない普通の控えめな容姿にも落ち着く。シオンさんやラナ先生とはまた違う魅力をお持ちです。

そこのお姉さん達、ズルいと騒ぐ前に接客のいろはを学び直して。こんなに素敵な接客のお手本先生がいるのにあれはないよ。

うう…何とか接客が素晴らしいことを伝えたいな…。)



「あの、お兄さんの接客、どこかの執事さんみたいに丁寧で少しの間でしたけど、とっても居心地いごこちも良かったです。ごちそうさまでした。」


アーヤがそう伝えると、男性店員は平静な表情から一瞬だけ目を見開き、柔らかな笑顔で頭を下げた。


「恐れ入ります。…またのお越しをお待ちしております。」



リンリン♪  リンリン♪


出入口のドアをエルシオンが開け、アーヤが続いて出る。


ポツポツ  ポツポツ


ザーーーーーーーー 



「お二人の旅路に全ての青から祝福があらんことを…。」

ガチャン

ザーーーーーーーー

(え?何か言われた?聞き取れなかった…。)


外に出るとポツポツと音をたてて屋根からつたう水滴やザーーッと降る雨音に包まれてしまい、ドアが閉まる直前に背後から掛けられた言葉が何なのか雨音にさえぎられてはアーヤには聞き取ることはできなかった。


(店員のお兄さん、最後になんて言ったんだろう。)


先程の最後の一言が気になったが、今更聞き直しに戻ることもできない。モヤモヤしながら空を見上げれば、雨雲の切れ目には明るい青空と日差しが垣間見えていた。
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